逆説の本能寺『変は信長の自作自演であった』魔王信長と救世主イエス、その運命の類似と戦国乱世終結の謎

枢木卿弼

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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎

4 『愛宕百韻』

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○愛宕百韻:説明


愛宕山・西之坊威徳院で行われた連歌会『愛宕百韻』は、

明智光秀を主賓、威徳院住職・行祐を主宰として、有名な連歌師里村紹巴らと巻いた百韻である。(実際は九十九韻)


【連歌会『愛宕百韻』参加者と句数】


明智光秀          15句 

明智十兵衛光慶・光秀の長子  1句 

東六郎兵衛行澄・光秀の家臣  1句 

里村紹巴・連歌師      18句 

里村紹巴一門の連歌師    16句 

里村紹巴一門の連歌師    15句 

愛宕西之坊威徳院住職    11句 

愛宕上之坊大善院住職    11句 

猪名代家の連歌師      12句 


奉納:愛宕山威徳院

時:天正十年五月二十四日

※詠まれた連歌は、奉納されたのですが、

『信長公記』には二十八日とあり、どちらにしても本能寺の変の数日前にあたりますが、開催日時については諸説あります。

本作は主な参考文献をこの『信長公記』としてますので、

五月二八日説を取ります。


この連歌参加者を見てすぐ解るのは、

明智光秀グループと、連歌師グループ、住職グループの三つのグループで行われていることです。


当然、この参加者の中で政治権力を握っているのは、近畿の最高責任者である明智光秀で、しかも光秀が主賓として招かれていることから、この連歌参加者はある程度光秀と近い関係にあると考えられます。


また詠まれた句数から、この百韻は、本職の連歌師と住職そして主賓の光秀本人とのやり取りがメインで、

しかも連歌というのは、即興でその場で句を読んでいくので、

光秀が親しい関係者とある程度くつろいで思いついた句を詠む訳ですから、光秀の心境が出やすい状況・環境だとも言えます。



連歌・百韻の詳細な説明をするとかなり長くなるので割愛しますが、できるだけシンプルにまとめますと――


最初の句を読む者が即興で上の句、五、七、五を詠み、

次の句を読む者が上の句を受けて即興、七、七を詠み、

短歌を完成させる流れを百句になるまで続ける文芸ゲームです。

短歌完成の続きの句は、必ず上の句になるルールなので、

新たに出された上の句に対する下の句は、直前に完成した短歌の下の句がそのまま移行して使われます。


さすがに、百韻全て掲載すると違う作品になってしまいますので割愛しますが、即興で句を詠んでいくので「その句の真意は?」と光秀や参加者の気持ちを一句一句想像していくゲームにもなり、楽しいですよ。


では、遅くなりましたが――

本能寺の変を起こした明智光秀が、本能寺事件直前に詠んだ句、

しかも主賓として連歌会最初に詠んだ発句は――



ときは今 あめが下しる 五月かな



この句は実はかなり有名な句です。

何故なら、通説では明智光秀が織田信長への謀反を決意したものであると言われているからです。


明智氏は名門土岐氏(源氏)血を引くと言われ、また信長は一時、平氏姓を名乗ったこともあるので、源平交代思想もいれて、


この五月に源氏の血を引く土岐氏の私(光秀)が、次は天下をとる!


と解釈されるからです。



――が、はたしてこの句は本当にその解釈、

つまり『光秀の謀反の決意表明』の解釈で、正しいのであろうか?


――本作では、先に「否!」と伝えさせて頂きます。



そう、何故なら実はこの句を――

明智光秀謀反の決意と解釈するには……

かなり問題があるからです。


さぁ、何故かなり問題なのか、それは――




当然、次のページで!





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