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9:『あだ名』
しおりを挟む「――猿よ、太陽になれ――!
太陽の様に誰からも届かぬくらい成功しろ、その為に今まで以上にはげめ。
さすればその輝きが――
皆の悪い口をおのずと閉ざすであろう!!」
「の……信長様」
「……だから余は、
これからはお主を――猿とは呼ばぬ!」
「えっ……今なんと……」
と答えつつ、少し期待する秀吉。
も、もしかして……
「――もう一度言う、余は、
今後お前の事を猿と呼ぶ事を一切止める!」
「の……信長様……!」
もしかしたら、あだ名の猿ではなく、本名の秀吉と呼んでくれるのですか……
主君である信長様が秀吉と呼んでくだされば、
――そしたら皆も……。
「だから余は、これからはお主を猿とは呼ばぬのであるから今後は……」
「はい」期待に胸膨らませる秀吉。
――秀吉!と、本名で呼んでくださるのですね。
「そう今後は、そう今日からは――」
「……」あまりの期待に頬を紅潮させる秀吉。
「――そうお前は、六本指の猿だから……」
「えっ……」
いきなり、嫌な予感……。
「――《六つ猿》と呼ぶことにするである!」
「……えっ、“六つ猿”……」
と絶句し急速に顔が青ざめる秀吉。
……期待した私が馬鹿だった。なんたって我が子の幼名に“奇妙丸”(後の信忠)と名付けるほどの……
奇妙な感性をお持ちの方なのだからな……。
……それにしても、六つ猿とは。
……これでは、以前のただの“猿”のがましでは?
「……猿より呼びにくいが、あえてそう呼ぶ!
――そっちのが
――“面白い”であろうからな」
「面白いであろう…?」
秀吉少し嫌な予感――
信長様も皆と一緒になって……
私をいじめて楽しむ?
「――はは、面白いぞ秀吉、
余が今日より六つ猿と呼ぶことの意味が分かるか――?」
――皆さんはどうでしょう?
……《六つ猿》と信長が呼ぶ理由。
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