【短編】ザ・ライジング・猿~the Rising “salu”~日本史上最大のサクセスストーリーはここから始まった!

枢木卿弼

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10:『the Rising sun』(ザ・ライジング・サン)

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「よいかよく聞くである――
余が六つ猿とこれから呼ぶようになれば、
家臣たちもおのずとそう呼ぶようになろう。

――しかも余は、今後――

お主がさっきみたいに、自らの指を捨てようとすることを固く禁じる。
せっかく余が怪我までして止めたのであるからな。
この余の怪我を無駄にされてはさすがにな」
信長は、秀吉が降り下ろした石を受け止めて怪我した手をさすりながら――
「よいかもう一度命言うぞ――
お主のその一本多い指を捨てることは、今後一切ならんであるぞ!」

「はい、信長様に守ってもらったこの指を、捨てるようなことはもう二度と絶対いたしません!」

「うむ、そうするとな、秀吉よ――

そういう指をすてられぬ状況の中であっても、
皆から「六つ猿が」と、


お主が――




――そう、





お主はもう、《太陽》になるしか他に道はないのである――!!

――もう判ったな秀吉」

「――そ、そうか、この六本指を皆の目から……

“消す”ためには――

私が今まで以上に頑張るしかない。
頑張って頑張って輝きを増していけば遂には――




太陽の“眩しさ”で、



……皆のまぶた、



いや、






――皆の口を閉ざすことができるんだ!!」



信長は大きく頷くと――
人さし指で秀吉をさし、



「――そして、いつか、いつかお主はこう思うであろう――









――六本指に生まれて
“良かった”と。





自分が六本指に生まれたのは――
自分が成功する事を天が教えてくれるためだったと――!!」

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