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片想いの公爵家に住む令嬢に俺は真剣に告白することにした。
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【別の物語です】
もうすぐ祭日だという時期の事。
俺には片想いの女の子がいた。その子は公爵家に住む。令嬢の見本のように、いつも帽子を深くかぶって顔が良く見えないが、当番でもないのにゴミ掃除をするような子。地域での活動を真面目にこなすのはもちろん、朝は花壇の土の世話、各部屋にある花の世話を率先している。落とし物を必ず一番に『落とし物ボックス』に入れることも見逃せない。
彼女の外見は令嬢なのによく分からない、と言ったが、最早、外見なんてものは蚊帳の外であり、心の美しさにノックアウトされた俺は、今年の祭日にプレゼントを渡しながら告白しようと心に決めた。
一方の俺はみすぼらしい。どうやら拾われてきた子らしい。ただ気品はどことなくある、そこはかとなく隠れているものの滲み出る高貴さがある……とよく言われるが、元王家だったら良かったな。
はっきり言えば身分差が激しい。吊り合っていない? それがどうかしたかい。全力を出せばきっと結ばれると信じているよ。
告白……それは一大決心の勇気が必要なイベント。もしゴメンナサイなら凹む割合も大変だ。救いなのは冬季休暇中だから次の日に必ず会うということはない。公爵家でゆっくり暖炉の側で過ごすことも多いだろう。
告白の失敗を前提にするのも何だけど、俺は彼女とあまり会話をしたことがなかった。最初から身分が違い過ぎるからな。でも記憶の中には幼少期に一緒に居たような朧げな記憶があった。
会話をしたことがないのに惚れてしまうという事はままある。人に拠っては外見オンリーの理由だし、スタイルという理由も普通だ。コアな人だと胸や足とか、足首とか、脹脛というピンポイントに惚れることもあるらしい。二の腕とかも好きな人が多いと聞く。しかし俺はノーマルなので、そういう物理的なものよりも性格で好きになる。
男子の友人だって性格で選ぶだろ? だいたい付き合っても良いと思う場合は性格重視、相性というのが背景にあることが多いよな。現在、婚姻するにしても家が勝手に相手を決めることが普通だが、そんなことは関係ないさ。
さて、祭日にプレゼントを渡しながらの告白を計画したのだが、まだ彼女を誘えていない。そもそも祭日に誘うという行為の時点で告白してるも同然じゃないか? そこで悩んでしまうわけだ。
誘ったところで、乗って来てくれればいいのだが、問題は、俺に与えられる時間が短い場合だ。地域の憩いの場である公園に行って告白するにしても、すぐに帰るという内容を言われた場合、高確率で「上役に昨日告白されて付き合うことになったの。ごめんね」というパターンに遭いそう。その上役は球技や剣技などの専用部屋を平気で徘徊するというのが定番と思う。そんな凄い上役が相手では俺ごときだと失恋コースで撃沈だ。
次の課題は告白時に起きる「まだ私、恋愛という感情がよく分からないの」という返事。この場合、どうにか出来れば光明が見えそうではないか。「俺と一緒に恋愛を学んでいかないか?」という説得で地道にスタートすれば、あとは何とか友達として連絡が取れるよう付き合う形に持って行けないだろうか?
こうやってシミュレーションをしているのだが、考えれば考えるほど、不思議と光明が見えなくなっていく。正月が明けてから告白するというように延期してしまいそうだ。いや、ごめん。もうすでに何回も延期してしまって今に至っているんだよな。
ふぅ。やはり告白前に、もう少し会話をして認知してもらう必要がある気がするな。それなら告白の時期は新期が始まって彼女と会話を繰り返した後、つまり春という事になるか。
そもそも俺に対する好感度はどうだろう? 彼女に直接聞いたことがないのは当たり前、会話を少ししたところで好感度があるかどうかなんて分からないよね?
しかもだ、春なら改めて領地の階級クラス替えがある。この領地の大イベントで、もしかしてクラスが変わってしまったりしたらどうか。交流も接点も無くなり、告白のタイミングは掴めなくなる。
彼女の住む豪邸へ行っても門前払いがおちだ。
これは難題だな。令嬢である彼女にどう接すれば……何とか身分差をひっくり返したい。
「あっくん、どうしたの? ぼーってして」
後ろから声が掛かった。振り向くと求める彼女がいた。
「よ、よっちゃん……」
にっこりした美しい顔が見える気がした。たぶん帽子がないからだな。
「う、美しい……何て奇麗なんだ……」俺は息を呑んで見つめ続けてしまった。
女の子とはいえ、貴婦人の顔を見つめ続けるなど失礼極まりない行為だ。
非難されても仕方ないだろう。くっ、君の美しさがつらい。
俺はさっきまで考えていたことを忘れ、衝動的に抱き締めに行く。
そうだ、言葉が何だ。行動で大好きだと、君が大好きなんだと示せば好いじゃないか。
「ちょ、ちょっと、あっくん」
彼女は後ずさりした。少し驚いているようだった。俺の行動のせいだな。
「よっちゃん、お、おれ、おれさ……君の事……あ、いや、その……」
「あっくん、ま、待って。そんないきなり、心の準備が……恋愛の順番を守ってよ」
彼女の願いを無視、そして大切な彼女を押し倒してしまった。
しかも抱き締めた際に首筋を舐めてしまっている。
恋愛の順番とは、告白⇒受け入れ⇒お付き合い開始⇒イチャコラ
幸いなことに、彼女は俺のペロペロを受け止めてくれているようだ。
ちょっと嫌がってるかもしれないけど。
「あっくん、そんな事しちゃ、私ダメになっちゃうよ」
「だ、ダメになってくれっ!」
「何言ってるのよ! い、いや、やめて。早く告白してよ、それからにして!」
「えっ、それって、それじゃぁ……告白したら……してもいいの?」
「ば、ばかっ!」
告白の件はさておき、祭日プレゼントは魚屋さんで掠め盗ってきた『サバ』にしようと思った。
【Fin】
最早スミマセンというしかありません。
もうすぐ祭日だという時期の事。
俺には片想いの女の子がいた。その子は公爵家に住む。令嬢の見本のように、いつも帽子を深くかぶって顔が良く見えないが、当番でもないのにゴミ掃除をするような子。地域での活動を真面目にこなすのはもちろん、朝は花壇の土の世話、各部屋にある花の世話を率先している。落とし物を必ず一番に『落とし物ボックス』に入れることも見逃せない。
彼女の外見は令嬢なのによく分からない、と言ったが、最早、外見なんてものは蚊帳の外であり、心の美しさにノックアウトされた俺は、今年の祭日にプレゼントを渡しながら告白しようと心に決めた。
一方の俺はみすぼらしい。どうやら拾われてきた子らしい。ただ気品はどことなくある、そこはかとなく隠れているものの滲み出る高貴さがある……とよく言われるが、元王家だったら良かったな。
はっきり言えば身分差が激しい。吊り合っていない? それがどうかしたかい。全力を出せばきっと結ばれると信じているよ。
告白……それは一大決心の勇気が必要なイベント。もしゴメンナサイなら凹む割合も大変だ。救いなのは冬季休暇中だから次の日に必ず会うということはない。公爵家でゆっくり暖炉の側で過ごすことも多いだろう。
告白の失敗を前提にするのも何だけど、俺は彼女とあまり会話をしたことがなかった。最初から身分が違い過ぎるからな。でも記憶の中には幼少期に一緒に居たような朧げな記憶があった。
会話をしたことがないのに惚れてしまうという事はままある。人に拠っては外見オンリーの理由だし、スタイルという理由も普通だ。コアな人だと胸や足とか、足首とか、脹脛というピンポイントに惚れることもあるらしい。二の腕とかも好きな人が多いと聞く。しかし俺はノーマルなので、そういう物理的なものよりも性格で好きになる。
男子の友人だって性格で選ぶだろ? だいたい付き合っても良いと思う場合は性格重視、相性というのが背景にあることが多いよな。現在、婚姻するにしても家が勝手に相手を決めることが普通だが、そんなことは関係ないさ。
さて、祭日にプレゼントを渡しながらの告白を計画したのだが、まだ彼女を誘えていない。そもそも祭日に誘うという行為の時点で告白してるも同然じゃないか? そこで悩んでしまうわけだ。
誘ったところで、乗って来てくれればいいのだが、問題は、俺に与えられる時間が短い場合だ。地域の憩いの場である公園に行って告白するにしても、すぐに帰るという内容を言われた場合、高確率で「上役に昨日告白されて付き合うことになったの。ごめんね」というパターンに遭いそう。その上役は球技や剣技などの専用部屋を平気で徘徊するというのが定番と思う。そんな凄い上役が相手では俺ごときだと失恋コースで撃沈だ。
次の課題は告白時に起きる「まだ私、恋愛という感情がよく分からないの」という返事。この場合、どうにか出来れば光明が見えそうではないか。「俺と一緒に恋愛を学んでいかないか?」という説得で地道にスタートすれば、あとは何とか友達として連絡が取れるよう付き合う形に持って行けないだろうか?
こうやってシミュレーションをしているのだが、考えれば考えるほど、不思議と光明が見えなくなっていく。正月が明けてから告白するというように延期してしまいそうだ。いや、ごめん。もうすでに何回も延期してしまって今に至っているんだよな。
ふぅ。やはり告白前に、もう少し会話をして認知してもらう必要がある気がするな。それなら告白の時期は新期が始まって彼女と会話を繰り返した後、つまり春という事になるか。
そもそも俺に対する好感度はどうだろう? 彼女に直接聞いたことがないのは当たり前、会話を少ししたところで好感度があるかどうかなんて分からないよね?
しかもだ、春なら改めて領地の階級クラス替えがある。この領地の大イベントで、もしかしてクラスが変わってしまったりしたらどうか。交流も接点も無くなり、告白のタイミングは掴めなくなる。
彼女の住む豪邸へ行っても門前払いがおちだ。
これは難題だな。令嬢である彼女にどう接すれば……何とか身分差をひっくり返したい。
「あっくん、どうしたの? ぼーってして」
後ろから声が掛かった。振り向くと求める彼女がいた。
「よ、よっちゃん……」
にっこりした美しい顔が見える気がした。たぶん帽子がないからだな。
「う、美しい……何て奇麗なんだ……」俺は息を呑んで見つめ続けてしまった。
女の子とはいえ、貴婦人の顔を見つめ続けるなど失礼極まりない行為だ。
非難されても仕方ないだろう。くっ、君の美しさがつらい。
俺はさっきまで考えていたことを忘れ、衝動的に抱き締めに行く。
そうだ、言葉が何だ。行動で大好きだと、君が大好きなんだと示せば好いじゃないか。
「ちょ、ちょっと、あっくん」
彼女は後ずさりした。少し驚いているようだった。俺の行動のせいだな。
「よっちゃん、お、おれ、おれさ……君の事……あ、いや、その……」
「あっくん、ま、待って。そんないきなり、心の準備が……恋愛の順番を守ってよ」
彼女の願いを無視、そして大切な彼女を押し倒してしまった。
しかも抱き締めた際に首筋を舐めてしまっている。
恋愛の順番とは、告白⇒受け入れ⇒お付き合い開始⇒イチャコラ
幸いなことに、彼女は俺のペロペロを受け止めてくれているようだ。
ちょっと嫌がってるかもしれないけど。
「あっくん、そんな事しちゃ、私ダメになっちゃうよ」
「だ、ダメになってくれっ!」
「何言ってるのよ! い、いや、やめて。早く告白してよ、それからにして!」
「えっ、それって、それじゃぁ……告白したら……してもいいの?」
「ば、ばかっ!」
告白の件はさておき、祭日プレゼントは魚屋さんで掠め盗ってきた『サバ』にしようと思った。
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