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第16話 ホワイトデー:別ルート
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NTRから始まる悲哀の別ルートとして作っていたものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お母さん、いつも僕のために働いてくれてアリガトー!
今日はホワイトデー。目に入れてもいたくないほど愛している息子から白いチョコを受け取った私。なんて優しい息子に育ったのだろう、感激に思わず涙してしまう。そしてホワイトデーで思い出すのは結婚前の元彼の事だった。
・・・・・・・・・・
今日はバレンタインのお返しにプレゼントを持って自宅に来てくれるという彼を私は今か今かと待っていた。私の部屋の掃除をして奇麗なシーツをベットにかぶせ、何かあってもいいように準備は万全。
ピンポーン
「あ、マコトくんだわ」
私は彼を迎えようと玄関に走って行った。
「早かったわね」
『ああ、交通事情が良くてスムーズに来れたよ』
「入って。親は今日、遅くなるって」
『そうか。お邪魔します』
彼はにっこりと微笑んだ。靴を脱ぎ、うえに上がった彼を私の部屋に通して、小さな丸テーブルの横にあるクッションに座ってもらう。
「お茶出すわね、何が好いかな?」
『アイスコーヒーを頂こうかな』
「待ってて。すぐに淹れてくるわ」
『ありがとう』
いつもの他愛もないやり取りで進む。でも、何か彼に違和感があった。何が……という具体的な理由は思いつかなかったけど、生気というか元気がないようなの。今は気にしないようにコーヒーを準備していく。
「はい、どうぞ」
『……』
彼は何も言わずに佇む。どうしたのかしら?
「冷めないうちにどうぞ……」
『なぁ、清美、俺、聞いてしまったんだ』
ドキッとした。まさか、あのことがバレてしまったのかもしれない。いつかバレると思っていた。だけど、ずるずると関係が進んでいた私の隠し事。
「な、なにを……かな?」
『先輩との関係だよ』
ああ、とうとうこの日がやってきたんだ。私が先輩に押し倒されて嫌がったにもかかわらず初めてを奪われ、しかも映像を撮られて関係を持続させるという脅迫を受け、ただ断れずにいて今では麻痺してしまった関係……。
『ホテルからお前が腕を組んで出てきたのも写真である』
先輩は人前でも堂々と私を抱き締めたりするので、大学でサークルや部活の人などにも徐々にバレていき、いつかマコト君の耳に入るんじゃないかと恐れていた。
もうダメだわ……。隠し通せない。
「ごめんなさい、マコト君。私、酷いことしてるよね」
『ああ、初めて聞いた時はショックで死にたくなったよ。俺は心底お前の事が好きで、将来結婚しようと頑張っていたんだからな』
「……ごめんなさい。言い訳を少しだけしてもいいでしょうか?」
『ああ』
「貴方とのお付き合いは本当に幸せで掛け替えのないものでした。でも、あの先輩が私の事を好いてしまい、貴方と別れろと。お断りすると無理やりに押し倒されました。映像を撮られ脅迫され、関係がずるずると続いてしまいました。後悔しかありません」
『俺に相談しなかったのが清美の過ちだ。すぐさま警察にレイプ被害を届ければ済んだ話だ。映像での脅迫も簡単に処理してくれる。苦しい体験は継続しなかった筈だ。それを後から知らされた俺、彼氏としてどう思うのか、どう感じるのか、想像がつかなかったのが清美、お前のミスだ』
「貴方にあげるはずの初めてを奪われたショックで引き籠ってしまったのです……ごめんなさい」
『清美のように黙って引き籠る女性がいるから、ああいうクズが蔓延るのだぞ? 奴の被害者はお前の甘い対応のおかげで増加してしまった。俺の妹も毒牙に掛かってしまった。お前と親しくしている先輩だからとカフェに誘われて無防備について行ってしまった。その後は想像つくだろう?』
「ええっ、由美ちゃんまで……」
『妹は自殺した。間接的にお前のせいだ』
「え……」
『そして警察。確かに警察の中には下種なやつもいるが、ちゃんと婦警に相談すれば男性警官とは接しないような対応をしてくれる』
「……ううう、ごめんなさい」
『まぁ今更言っても仕方がないか。妹の件で警察へは告訴したから奴は終わったぞ、今頃は拘置所の中だ』
「私は……自分の馬鹿さ加減が許せない……死にたくなる」
『責任を取れ。そして俺からの希望を言う』
「私の事は貴方の好きなようにしてください。別れは当然甘受します」
私は正座をして頭を床に擦り付けた。
『自殺を禁じる』
「?」
『お前には何もしないよ、今は。ただ10年後、俺の力が増したら又やってくるからな』
「10年後、力??」
ぷるるるる……
私のスカートの中に入っていたスマホが鳴った。通話だ。誰からだろう?と思ったけど、今の状況でスマホを取りだしてノーテンキな会話なんて出来ない。私は無視した。
『スマホ鳴ってるぞ、出ろよ』
「あ、うん、ごめんね」
スマホを見るとマコト君のお母さんからだった。
「も、もしもし……清美です」
「あ、清美ちゃん! 大変なの、マコトが、マコトが……」
マコト君のお母さんは、マコト君が私の家に来る途中、トラックとの交通事故に遭って即死、つまり急逝してしまったとのことだった。トラックに突っ込むようにマコト君の運転する車が蛇行したらしい。私は何が何やら分からなくて、マコト君の方を見た。電話を代わってもらおうと思ったのもあった。
『あまりにも浮気のショックで死にたくなったんだよ』
……すると、目の前にいた彼は、霧が散るように姿を変えていき、消えてしまった。
「え……」
・・・・・・・・・・
ピンポーーン
玄関から異様な気配が漂ってきた。あの日もマコト君を見た際に感じた何だか分からない違和感がこれだった。
「き、来た……約束通り、来てしまったのね……」
あれから10年経ったのが今日だ。息子はおろすのが間に合わなかった先輩の子供であった。先輩は渋々結婚してくれたけど、愛は全くなかった。今日も浮気女性の家に行っていることだろう。
力を蓄えたマコト君、彼が何をするのかは分からない。理不尽とは思わなかった。私は当時、自殺がしたくてもマコト君との約束で出来なかった。出来れば、私を天国に一緒に連れて行ってくれないだろうか、と薄ボンヤリと思っていた。
ふと息子を見た。
「あなたは頑張って生きなさい。その為に礼儀だけはしっかりできるように躾けたから」
「お、おかあさん、どうしたの? いつもと様子が違うよ」
空元気すら出なかった。玄関を開けるとマコト君がいた。
『清美……』
「マコト君」
『俺が恨むのは裏切ったお前だけだ。地獄へ連れて行く』
「はい……」
「お、お母さん、一体なんなの?」
『おいボウズ』
「う、うん」
『死にたくなければ女を無下にするな。お前の親父からの業が深い。何かしたら俺が許さん。恋人や夫のいる女を寝取るな、分かったな』
「わ、分かりました……」
この息子、実は子供のくせに幼馴染の女の子を既に手籠めにしていたのだった……。
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★マコトが清美の部屋に居る時、飲み物を飲んでいない等、
ここには物理的にいないことに触れられないよう苦心しました。
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お母さん、いつも僕のために働いてくれてアリガトー!
今日はホワイトデー。目に入れてもいたくないほど愛している息子から白いチョコを受け取った私。なんて優しい息子に育ったのだろう、感激に思わず涙してしまう。そしてホワイトデーで思い出すのは結婚前の元彼の事だった。
・・・・・・・・・・
今日はバレンタインのお返しにプレゼントを持って自宅に来てくれるという彼を私は今か今かと待っていた。私の部屋の掃除をして奇麗なシーツをベットにかぶせ、何かあってもいいように準備は万全。
ピンポーン
「あ、マコトくんだわ」
私は彼を迎えようと玄関に走って行った。
「早かったわね」
『ああ、交通事情が良くてスムーズに来れたよ』
「入って。親は今日、遅くなるって」
『そうか。お邪魔します』
彼はにっこりと微笑んだ。靴を脱ぎ、うえに上がった彼を私の部屋に通して、小さな丸テーブルの横にあるクッションに座ってもらう。
「お茶出すわね、何が好いかな?」
『アイスコーヒーを頂こうかな』
「待ってて。すぐに淹れてくるわ」
『ありがとう』
いつもの他愛もないやり取りで進む。でも、何か彼に違和感があった。何が……という具体的な理由は思いつかなかったけど、生気というか元気がないようなの。今は気にしないようにコーヒーを準備していく。
「はい、どうぞ」
『……』
彼は何も言わずに佇む。どうしたのかしら?
「冷めないうちにどうぞ……」
『なぁ、清美、俺、聞いてしまったんだ』
ドキッとした。まさか、あのことがバレてしまったのかもしれない。いつかバレると思っていた。だけど、ずるずると関係が進んでいた私の隠し事。
「な、なにを……かな?」
『先輩との関係だよ』
ああ、とうとうこの日がやってきたんだ。私が先輩に押し倒されて嫌がったにもかかわらず初めてを奪われ、しかも映像を撮られて関係を持続させるという脅迫を受け、ただ断れずにいて今では麻痺してしまった関係……。
『ホテルからお前が腕を組んで出てきたのも写真である』
先輩は人前でも堂々と私を抱き締めたりするので、大学でサークルや部活の人などにも徐々にバレていき、いつかマコト君の耳に入るんじゃないかと恐れていた。
もうダメだわ……。隠し通せない。
「ごめんなさい、マコト君。私、酷いことしてるよね」
『ああ、初めて聞いた時はショックで死にたくなったよ。俺は心底お前の事が好きで、将来結婚しようと頑張っていたんだからな』
「……ごめんなさい。言い訳を少しだけしてもいいでしょうか?」
『ああ』
「貴方とのお付き合いは本当に幸せで掛け替えのないものでした。でも、あの先輩が私の事を好いてしまい、貴方と別れろと。お断りすると無理やりに押し倒されました。映像を撮られ脅迫され、関係がずるずると続いてしまいました。後悔しかありません」
『俺に相談しなかったのが清美の過ちだ。すぐさま警察にレイプ被害を届ければ済んだ話だ。映像での脅迫も簡単に処理してくれる。苦しい体験は継続しなかった筈だ。それを後から知らされた俺、彼氏としてどう思うのか、どう感じるのか、想像がつかなかったのが清美、お前のミスだ』
「貴方にあげるはずの初めてを奪われたショックで引き籠ってしまったのです……ごめんなさい」
『清美のように黙って引き籠る女性がいるから、ああいうクズが蔓延るのだぞ? 奴の被害者はお前の甘い対応のおかげで増加してしまった。俺の妹も毒牙に掛かってしまった。お前と親しくしている先輩だからとカフェに誘われて無防備について行ってしまった。その後は想像つくだろう?』
「ええっ、由美ちゃんまで……」
『妹は自殺した。間接的にお前のせいだ』
「え……」
『そして警察。確かに警察の中には下種なやつもいるが、ちゃんと婦警に相談すれば男性警官とは接しないような対応をしてくれる』
「……ううう、ごめんなさい」
『まぁ今更言っても仕方がないか。妹の件で警察へは告訴したから奴は終わったぞ、今頃は拘置所の中だ』
「私は……自分の馬鹿さ加減が許せない……死にたくなる」
『責任を取れ。そして俺からの希望を言う』
「私の事は貴方の好きなようにしてください。別れは当然甘受します」
私は正座をして頭を床に擦り付けた。
『自殺を禁じる』
「?」
『お前には何もしないよ、今は。ただ10年後、俺の力が増したら又やってくるからな』
「10年後、力??」
ぷるるるる……
私のスカートの中に入っていたスマホが鳴った。通話だ。誰からだろう?と思ったけど、今の状況でスマホを取りだしてノーテンキな会話なんて出来ない。私は無視した。
『スマホ鳴ってるぞ、出ろよ』
「あ、うん、ごめんね」
スマホを見るとマコト君のお母さんからだった。
「も、もしもし……清美です」
「あ、清美ちゃん! 大変なの、マコトが、マコトが……」
マコト君のお母さんは、マコト君が私の家に来る途中、トラックとの交通事故に遭って即死、つまり急逝してしまったとのことだった。トラックに突っ込むようにマコト君の運転する車が蛇行したらしい。私は何が何やら分からなくて、マコト君の方を見た。電話を代わってもらおうと思ったのもあった。
『あまりにも浮気のショックで死にたくなったんだよ』
……すると、目の前にいた彼は、霧が散るように姿を変えていき、消えてしまった。
「え……」
・・・・・・・・・・
ピンポーーン
玄関から異様な気配が漂ってきた。あの日もマコト君を見た際に感じた何だか分からない違和感がこれだった。
「き、来た……約束通り、来てしまったのね……」
あれから10年経ったのが今日だ。息子はおろすのが間に合わなかった先輩の子供であった。先輩は渋々結婚してくれたけど、愛は全くなかった。今日も浮気女性の家に行っていることだろう。
力を蓄えたマコト君、彼が何をするのかは分からない。理不尽とは思わなかった。私は当時、自殺がしたくてもマコト君との約束で出来なかった。出来れば、私を天国に一緒に連れて行ってくれないだろうか、と薄ボンヤリと思っていた。
ふと息子を見た。
「あなたは頑張って生きなさい。その為に礼儀だけはしっかりできるように躾けたから」
「お、おかあさん、どうしたの? いつもと様子が違うよ」
空元気すら出なかった。玄関を開けるとマコト君がいた。
『清美……』
「マコト君」
『俺が恨むのは裏切ったお前だけだ。地獄へ連れて行く』
「はい……」
「お、お母さん、一体なんなの?」
『おいボウズ』
「う、うん」
『死にたくなければ女を無下にするな。お前の親父からの業が深い。何かしたら俺が許さん。恋人や夫のいる女を寝取るな、分かったな』
「わ、分かりました……」
この息子、実は子供のくせに幼馴染の女の子を既に手籠めにしていたのだった……。
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