笑顔の裏側には

こぐま

文字の大きさ
1 / 1

私の取り柄

しおりを挟む


昔から、親や学校の先生、友達から


芽依めいちゃんの笑顔大好き!」

「いっつもニコニコしてて素敵ね」

「あなたの長所は笑顔ね」


私の周りからのイメージは『笑顔』だ。
そう言われて育ってきた。




でも…家でも学校でも
ずっと笑顔でいるのはきついよ…。


部活が大変できついし、
肩こりで肩が痛い…。
先輩からのプレッシャーや、
後輩への言葉かけだったり、
どんな対応が正解なのか分からない…。


けど、『辛い時こそポジティブで笑顔を作る!』
って、何かで見たし、
私はどんな時も笑顔でいなきゃ!
私の取り柄は笑顔なんだから!





けど、教室だと先輩も後輩も、
夏の大会へのプレッシャーも
緊張感もないから、休み時間はぐったりするし、
笑顔がひきつる…。


「芽依大丈夫?
顔、引きつってるよ」

「え…大丈夫、大丈夫!」


そう言って私は笑顔を作る。


「無理はしなくていいからね?」

「ありがとう…でも大丈夫だよ!」


だめだ、だめだ!
笑顔作ってなきゃ!




7月に入り、部活も大会に向けて
先輩や顧問の先生のプレッシャーも
ピリピリ感も増してくる…。


より一層、教室では休み時間に
伏せて寝るようになった…。


お昼ご飯を食べながら、
友達が、


「芽依、最近疲れてない?
笑顔すっごい引きつってるよ?」


「え…あ…ごめん」


「いやいや、謝ることじゃないから、
大丈夫なんだけど」


どうしよう、私が笑顔じゃないから、
不快な気持ちにさせちゃった…?


笑顔でいなきゃ…。
笑顔でいなきゃ…。


そう思い、笑顔を作るけど、
しんどくて…心が締め付けられてるようで…
そんな自分が悔しい…。


すると、頬にぬるく伝うものがある…。


「芽依?大丈夫?」

「うん…大…丈夫だから…」


そう言いながらも、私の目からは
涙が止まらない!
ほら、友達も困ってるじゃん!


なんで!?
なんで!?
出てこないでよ!


「芽依、どうしたの?」

「なんでもない…」

「なんでもなくない!
ほら、私を信用して話してごらん?」

「ごめん…ね…」

「なんで謝るの?」

「笑顔になれなくてごめんね…」


そう言うと、友達は目を見開いた。
どうしよう…こんな私に苛立ちが募ったのかな?


「なんでそう思うの?
別に人間いつでも笑顔になれないよ?」


「でも、私は笑顔だけが取り柄だから
泣いたらダメなんだよ…」


「そんな事ない!」


「そんな事あるよ!
笑顔じゃなかったら、
取り柄のない人間だもん…」


そう言うと、
友達は私の背中をさすってくれた。
それが少し、安心できて心地よかった。


「芽依は笑顔だけが取り柄じゃないよ。
芽依の取り柄は私がよく知ってる」


「でも…そんなにない…」


「部活大変なんでしょ?」


「うん…楽しいけどね…大丈夫だよ…」


「他の吹奏楽部の子言ってたよ、
先輩ピリピリしてるって。
でも、芽依は全然、弱音ん吐かなくて凄いけど
でもね…私、芽依に頼られたい!」


「え?」


「私はね、泣いてる芽依も、
愚痴ってる芽依でもいいと思ってる!
笑顔じゃなくても芽依は芽依!
私の前では取りつくろわなくていいよ…」



あっけにとられた…。
笑顔じゃなくてもいい?


「ほら、泣け泣け!
思いっきり泣け!」


その言葉がおかしくて笑ったら、


「お、次は笑いたいか?
笑え笑え!」


「もー変なの!」


「何よ、せっかく慰めてんのに!
ま、それでいいけど」


「うん…」


「もっと自由にしなね?」


「ありがと…」




この子の前では、
無理に笑わなくていいのかも。
そんな感情が
私の心を軽くしてくれた…。


この子の前では自由にしよう。
そして探そう、
笑顔以外の自分だけの取り柄を。

きっとあるよね。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...