心の穴を埋めるには

こぐま

文字の大きさ
1 / 2

思い出

しおりを挟む


中学生までは私は1人でいて、
友達なんか居なかった。


「高校生になったら、人間関係が大事だからね。
友達作りの努力をしないとね。
きっと、もっと楽しくなるわよ!」


と、中学の先生に言われ、
その言葉を信じ、高校生になってからは
積極的に友達を作るようになった。


「なにそれー!」
「あんたの変顔面白すぎ!」


なんでもない事で笑ったり、
ふざけてみたり、笑ったり泣いたり、
楽しい毎日を過ごし、
友達は楽しいと知った…。


平日は学校で会い、休日も友達と遊びに行く。


そんな毎日が続くと思っていた。
…いや、勘違いしていた…。





高校を出た後、私は就職した。

最初は体がきつく、友達と連絡する間もなく、
毎日が過ぎていった…。





2ヶ月経つと、やっと余裕ができ、みんなに

『みんないつ遊べる?』
と連絡してみた。

が…

『ごめ!一時、大学の課題しなきゃ、やばめ』
『遊べるなら2ヶ月後かな?自動車学校行ってるの』
『私も、一時厳しい~ごめんね、また遊ぼ!』

みんなこうだ。





また遊ぼうと言って、2ヶ月待ってみたが
連絡は、なし…。


なのにSNSでは、みんな今の友達と楽しそうに
映る友達達がいる…。


私や高校のみんなの事は、もうどうでもいいの?
昔の事はどうでも良くて、
今の友達がみんないいの?

頭のモヤモヤが取れなくて、
気晴らしに休日に海に出かけた。


一人で海を眺めながら途中、
自動販売機で買ったカフェオレを飲みながら、
そんな孤独な自分が悲しくなってきた…。


寂しさで目から涙があふれ、


「高校のあの日々に戻りたい…
みんなでバカして笑ってたい…」


心から願ったと同時に、


「そうだ…中学までの自分に戻っただけだ…」


なんだ…ただそれだけなのに…
ただそれだけなのに!


なんで…こんなに苦しくて…寂しいの?


そうして、スマホで高校時代の
写真を見た。

みんな、楽しそうにしてるな…。


そっか…楽しい生活があったから、
友達がいたから、友達は楽しいと知ってしまったから、
今、友達がそばにいつも居ないのが…
寂しいんだ…。


中学のまま、1人ぼっちの自分だったら、
この感情はなかったんだ…。
そう思うと、今の自分の気持ちが
愛おしくなった。


みんなありがと…
私に寂しい感情を与えてくれて…。


そんな意味を込め、
SNSに、今いる海の写真を送る。


「めっちゃ綺麗な景色で1人を満喫!」


みんな、私は今でも1人楽しんでるよ…。
みんなも楽しんで…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい 

設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀ 結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。 結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。 それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて しなかった。 呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。 それなのに、私と別れたくないなんて信じられない 世迷言を言ってくる夫。 だめだめ、信用できないからね~。 さようなら。 *******.✿..✿.******* ◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才   会社員 ◇ 日比野ひまり 32才 ◇ 石田唯    29才          滉星の同僚 ◇新堂冬也    25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社) 2025.4.11 完結 25649字 

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

処理中です...