愛が続くまで【BL】

すぅぱぁかっぷ

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【第一話】再会

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毎日のように朝6:30に目が覚める。毎日のように朝ごはんを作って食べて、でも今日は毎日とは違う日だ。の毎日とは。だが俺はあえて気にしていないように装っている。意識し始めると緊張で体を壊してしまったりとどうせ悪いことにしか傾かない。そういうことなら気にせず今まで通りの朝を過ごせばいいと今していることに普段より集中する。まあ普段より集中するという時点でいつもどおりとは言い難いのだが。

そうこうしているうちに家を出る時間になり俺は人生初めて出勤する。何事にも初めてはあるのだと改めて実感するものだ。の毎日とは違う電車に乗り違う駅で降りる。会社までたどり着き初出勤が思っていたより楽に終わったことに安堵の吐息を漏らしていると後ろから聞き慣れた声がした。振り返ってみるとそこにはの毎日にもいた見慣れた顔の一人の男の姿があった。
檜山 妍(ひやま けん)は大学で知り合った同じ学部の友達だ。しょっちゅうお互いの家に泊まったりしていた仲でもある。少し引っ込み思案な俺をなにかと気にかけてくれて、よく飲み会などにも誘ってくれていた。正直俺はあまりそういう場は好かないのだが、人の好意は嬉しいもので断れないからというわけではなかった。檜山と一緒だと楽しかったし、飲み会なども例外じゃなかったから。まさか同じ会社に内定をもらえるとは思ってもいなかったが、ここまで仲がいいやつが同じ会社というのはすごく心強い。流石に同じ部署ではないが、これからも連絡が途絶えることが無いと思うと嬉しい。正直俺はあまり友達と連絡を頻繁に取り合うなどとは結構苦手で、相手からアクションがないと自分からはあまり何をできるわけでもなく連絡が途絶えてしまう。そういうのが高校時代の友達などともあって、なんとなく気まずくて同窓会などにも顔出せないでいる。だからこそ檜山が同じ会社で本当によかった。

新社員紹介などが終わり挨拶をして回っているその時聞いたことのあるような声がした。その声を探すように部署を見渡すと見覚えがある背中を見つけた。俺は息を呑んだ。思わず

「まさか...」

と声に出してしまっていた。

「どうしたの?」

隣に立っている副部長の稲川(いなが)さんが声をかけてくれる。

俺は声も出せずに口をパクパクさせていると稲川さんはおれの視線の先を辿るようにその高身長の男の背中に向けて叫んだ。

「尾河さん!今日は新入社員が来るからって言ったじゃないですか!挨拶ぐらいしっかりしてくださいよ!」

するとその男は振り返るのと同時に俺は逃げるように回れ右。

「えっと、稲川さん、お、俺ちょっとトイレ行ってきてもいいですか?」

「あ、えっと廊下の突き当たりのところよ。だれかついていって..」

「だ、大丈夫です。廊下を通る時に見かけたので、すみません。急いで行ってきます。」

そう言い残すとおれは早歩きで廊下に出た。

お、尾河さん、まさかこの会社にいるなんて。いやでも待ってまだあの尾河さんだなんて誰も言ってないじゃないか。だって、まさか。あの人確か理系科目の方が得意で特進クラスにまで行ってて、わざわざ文系の編集業なんてするわけないじゃないか。きっと違う尾河さんに決まってるのに逃げ出すなんて...、心臓のバクバク治れ、、

「三谷...?」

「っ?!」

おれは思わず振り返る。そこには先ほど稲川さんに呼ばれていた高身長な男の人が立っていた。

「あ、やっぱり!三谷じゃん(笑)」

「お、尾河先輩...」

神さまお願いします、これは何かの間違いでしょう。夢ですよね。ほんとはまだ起きてなんかいなくて、夢の中で初出勤に緊張しすぎて尾河先輩が同じ部署にいるという夢を見ているだけなんですよね。

「尾河先輩、って昔はもっとかわいくゆう先輩ゆう先輩って言ってたのに(笑) 元気にしてた?」

「あ、はい...、えっとほんとにゆう..先輩..?」

「え、なに、俺がまた同じ会社で上司なのは嫌?(笑)」

「いやっ、えっとそうじゃなくて、た、ただちょっと信じられなくて...」

尾河裕先輩。高校時代に俺が一年の時に生徒会長だった。入学式の時俺が駅で具合悪くしているのを助けてくれて、その時からなにかと気にかけてくれるようになった。その時の俺は今よりも引っ込み思案で優しい生徒会長に甘えていた。あまりクラスで馴染めていなかった俺にしょっちゅう構ってくれていた。お陰様で2年に上がってクラス替えがあるのと同時に気の合う友達を作ることができた。
先輩が卒業してからは連絡を取ることもなく、途絶えてしまっていた。噂では海外にいったなどやらなんのやらと聞いていて、俺はそれを疑うこともなく信じていた。裕先輩は頭がよくて顔も良いそのうえ人望もある。誰もが憧れていた。そんな裕先輩に構ってもらえて俺もすごく嬉しかったし自信がついた。

そんな裕先輩と再会できて嬉しくないわけはない。だけど、俺には秘密があってその昔俺の初恋は裕先輩に奪われた。
ゲイというわけではないけど、その時男もイケると自覚した。裕先輩が卒業してしまっても裕先輩への初恋を忘れたわけでもなかったけど、俺には彼女もいたし、初体験も女の子だった。だがそのあとには男の恋人もできたことがあったりで、自分がバイセクシャルなどだと自覚した。

大学に入ってからは俺の初恋は思い出になった。

と思っていた。けど、いざ裕先輩を目の前にすると思い出というだけじゃないと確信した。未だに初恋を引きずっているなんてカッコ悪いけど、でも、それでも、、

俺はどうしたらいいんだ。

【第一話終わり】
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