もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけだった

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10.姉

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 俺たちは委員会の仕事を終え、学校内を2人で並んで歩いていた。男女問わず、生徒たちが俺たち2人に注目している。思ったよりも人が残っているものなんだなと思った。

「王子2人がならんで歩いてる!」
「やば、絵になる」
「カッケエ」

 気がついた。弥生くんと2人でいれば、注目はされるけど、俺しか王子がいない場合と違って、話しかけてくる人はいないし、ファンサを求めてくる人もいない。2人の王子の関わり合いを邪魔したくないからか……?

「……人と話す気分じゃない時は弥生くんの隣に居ようかな」
「え、いつでもいてよ」

 弥生くんは、当然のことのようにそう言った。ドキッとした。聞き耳を立てていた人が息を飲むのが分かった。分かる、そうなるよな。

「ウン。イル」
「フッ……」

 学校の敷地を出て、とりあえず歩く。2人とも、方向は同じである。

「どっか行こうよ」
「うん。行きたい」
「そんなに時間ないから……カラオケか、ファストフード店か……あとは……ゲーセンか。あ、公園って手もあるな」
「うーん……カラオケかな?」
「オッケー」
「カラオケなら、誰にも邪魔されずに2人で過ごせるだろ? 個室だし」
「……そうだな」

 この会話、カラオケの個室で何かしそうに聞こえるが、2人で普通にカラオケして帰った。

______

 家に帰り、郵便受けを確認すると、姉の言っていた通り、姉宛ての封筒が届いていた。アイドルグッズを売っている店のオンラインショップで何かを買ったらしい。こんな薄っぺらいものなら、アイドルのブロマイドか何かだろう。家の鍵を開けて中に入る。姉の部屋に入るのは何年ぶりだろうか。姉に言われた通り、姉の部屋の机に封筒を置いた。
 なんだか視線を感じて、そちらを見ると、壁に大きなポスターが貼られていた。人気のアイドル、たしか、高瀬なんとか君のポスターだ(下の名前は忘れた)。今まで意識して顔を見たことはないが、心なしか晴人に似ている。
姉弟で好みが同じなのか……? なんか嫌だな。

______

 夜ご飯を食べ終え、食器をシンクに置いていると、同じく食器をシンクに運んできた姉・葉月が話しかけてきた。

「あんた今日カラオケ行ってたでしょ」
「え、うん。姉ちゃんも行ってたの?」
「うん。太陽王子と月王子が2人でいるって、一緒に行ったミーハーなクラスメイトが騒いでたわ……太陽王子って、あんな顔してんのね」

 姉の部屋に貼ってあったポスターが頭をよぎった。

「は、晴人に近づかないでね!」

 とっさにそんなことを口走った。姉が晴人に近づいたら、晴人のことを好きになってしまうかもしれない。なんせ僕らは姉弟で好みが似ている。そんなことは避けたい。

「何言ってんの。近づかないわよ。近づく理由がないじゃない」

 姉はキョトンとしていた。

「だって、高瀬くんが好きなんでしょ? 系統同じじゃん」
「ああ、ポスター……系統は同じだけど、私は高瀬くんが好きなのであって、アイドルじゃない一般人なんて興味ない」

 なら、良いか……

「安心して。あなたのやっとできた友達を取り上げるようなことはしないし、まじで高瀬くんにしか興味ないから」

 姉は「フッ」と笑って、去って行った。
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