もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけだった

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12.匿名の手紙

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 晴人と付き合って1か月が過ぎた。相変わらず僕らは仲が良い。僕が晴人と一緒にいると、晴人に話しかけてくる女子がいない。僕と一緒にいなかったら話しかけてくるんだろうな。モヤっとしなくもないが、晴人は僕のことが大好きだから、そんなに嫉妬しない。
 帰り、下駄箱に手紙が入っていることに気がついた。また告白だろうか。晴人と付き合ってから貰うのは初めてだ。どうしようかと(断るの前提)思い、手紙を手に取ると、封筒に、[人に見られない時に見てください。できれば太陽王子と一緒に]と書いてあった。このパターンは初めてだ。なんだろう。告白ではなさそうだ。

「晴人」

 僕と同じく、靴を履き替えた晴人に声をかけると、僕の手に持っているものに気がついたらしい。

「……ラブレター?」
「違うよ、たぶん。太陽王子と見てって書いてある」
「どういう手紙だ? 王子2人へのファンレター?」
「どうだろう。見られないところでって書いてあるから、行くか。僕の家でも」
「うん」

______

 自分の部屋に晴人を招き、さっそく手紙を読む。そこには、こう書いてあった。

[大崎くんと小山くんが付き合っていることを知っています。誰にも言っていませんし、これからも言うつもりもありません。私は2人の恋を応援しています。ただ、2人がキスしている場面など、明らかに恋人だろと思う場面に何度か遭遇してしまっています。このままでは、私の他にも目撃者が現れるかもしれません。2人が仲が良いのはいいことですが、気をつけて]

 読み終わり、晴人と顔を見合わせる。マジかと言う顔をしていた。たぶん僕も、晴人と同じ顔をしている。

「え、見られてたの!? どれを!? 恥っず!」

 晴人は勢いよく立ち上がり、顔を両手で隠して大声で言った。無理もない。僕も動揺している。

「たた多分、付き合ってるって騒がれてないから、この人だけだよな、目撃者」
「そうだな……」

 まさか人に見られていたなんて……。僕ら2人でいる空間でしかキスなどしていないが、気が付かずにいただけで、この人がいたのだろう。申し訳ない。

「まあ、なんか……言いふらす人じゃなさそうだし、この人に目撃されたのは、不幸中の幸いなのかも……」

 晴人はそう言いながら、また僕の隣に腰を下ろす。

「僕たちからしたら、そうだね……この人は別に見たくもないよ……同じ学校の生徒のキスシーンなんて……」
「それは、そうか……いくら俺らがイケメンでもな」
「そう。いくら僕らがイケメンでも……」
「フッ……」
「ハハ……」
「「ハァ……」」

 いつもなら笑って終わりのこのイケメンネタも、今は苦笑してしまう。

「とりあえず、外とか学校とかではキスは控えるか」
「そうだな。確実に人がいない時じゃないと。キス以外も、恋人らしいことはやめよう」
「……肩組むのはセーフ?」
「セーフじゃない? 普通に友達同士でもやるだろ」

 僕がそう言うと、晴人が僕の頬にチュッと口付けた。タイミングがおかしい。

「は?」
「いや、だって、これからは減るじゃん。弥生の部屋なら、俺らだけだし。弥生の家族も帰って来てないし、いいかなって……ダメか?」
「……ダメじゃない」

 今はこの家には僕と晴人の2人きり。外では控えることになったのだから、触れ合いは減るだろう。今のうちにたくさん恋人らしいことをしよう。

 晴人の顔が近づいてきて、唇が触れた。


______

 
 私、斉木美由が、月王子こと小山弥生くんの靴箱に、匿名の手紙を入れた次の日。2人の触れ合いは、改善したのだろうか。まあ、それは、2人きりっぽい時じゃないと分からないか……なんて思ってた。でも、朝登校して、靴箱に靴を入れている時に聞こえてきた、同級生の会話。

「ねえ、太陽王子が月王子の肩を抱いてるの~、やばい~」
「え、見たい~、まだ肩抱いてるのかな?」
「たぶん! 早く行こ!」
 
 同級生は足早に教室へ向かって行った。匿名の手紙を出した私も確認しなければと、私もいつもより歩くスピードを上げて歩いた。
 
 1組の教室の近くの廊下に、いた。大崎くんが小山くんの肩に手をまわして身体をくっつけて、仲良さそうに話している。

 ……悪化した?

 いや、でも、肩を抱くなんて、他の男子もしてるの見たことあるし……友達同士でもすることだから……良い、のか?
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