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16.商人は知っていた!
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「イザベル嬢がいつからグレイソン王子と親しくなられたのか、何処に行き何を買ってもらったのか等全て把握しております。その時期からすると間違いないでしょうな。
まあ、婚約破棄の場におられた時婚約者候補になっておられましたし、それだけでイザベル嬢とグレイソン王子の不貞は間違いないと思いますがね」
泰然と構えるマッケナの前でイザベルは扇子を握りしめ怒りに顔を真っ赤にして震えていた。
「イザベル・・部屋に、部屋に戻れ」
「でも、お父様。わたくしのアクセサリーはどう「煩い! 部屋に行け!!」」
キッと宰相を睨みつけたイザベルはフンッと鼻を鳴らした後マッケナをひと睨みして応接室を出て行った。入れ違いに応接室に入ってきたジョージが1枚のメモをマッケナに手渡した。
「貴金属と絵画で借金の3割というところですな。他の部屋も「取り引きしよう」」
「・・ほう、よほど有益な情報であれば考えなくもないですが?」
「貴様の父親と兄に関する情報ならどうだ?」
「聞きましょう。それなりの価値のある話であれば話し合いできるかもしれませんな」
宰相の前にどっかりと座ったマッケナの後ろにジョージが立つと、大きな溜息をついた宰相が虚な目で話しはじめた。
マッケナ達が宰相の屋敷に乗り込むより少し前、フラウド男爵邸の周りをマシューと配下の男達が取り囲んでいた。
「ではワシらは安心して行ってきますかの」
手に貸付証文や請求書を持った金貸しや商人が鼻息荒く頷き合った。取り立てにきた者の中で一番貸付金額の大きい金貸しのニールセンが代表で玄関のノッカーを叩いたがいくら待っても誰も出てこない。
「いねえのか?」
「いや、間違いなく中にいる」
ドンドンと何度も玄関ドアを強く叩き続けているとガチャリと鍵の開く音がして扉が開き薄汚れたエプロンをつけたメイドが顔を出した。
「煩いわね、そんなに強く叩いたら扉が壊れちまう!」
「おい、男爵はいるか!?」
「はあ?」
「男爵、フラウド男爵はいるか? ワシはニールセン、こっちはマクラス、ターナーやカーチスさん達もいる」
安物の香水の匂いをプンプンさせたニールセンがメイドを押し退けて玄関に押し入って行く後ろからマクラス達も入って行った。ニールセン達に押し退けられたメイドは何が起きたのか予想がついたようで、そっとすり足で後ろに下がり脱兎の如く屋敷の奥に駆け込んだ。
ニールセン達の後ろに隠れるようにしてマシューと1人の男がこっそりと男爵邸に入っていった。
「おい! 男爵!!」
小さな玄関ホールにニールセンの酒焼けしたダミ声が響き渡るとドカドカと足音を立ててフラウド男爵がやって来た。寝巻きの上にガウンを羽織った男爵の後ろから顔を覗かせた男爵夫人とエミリーは胸元が大きく開いた派手なドレスを着ている。
「何だ貴様! 朝っぱらから何を騒いでおる!!」
「おー、男爵。金を返してもらいにきましたぜ。何度も言ってますが期限はとっくに過ぎてるんでねえ」
「俺んとこも期限過ぎてるぜ」
「私のところもお支払いいただきます」
ニールセン達全員が証文を突きつけると男爵は顔を真っ赤にして怒りはじめた。
「こんな所まで乗り込んでくるなど・・タダで済むと思ってるのか!! ワシの、ワシの娘のエミリーは王太子の婚約者だぞ!!」
「だから? とっくに期限過ぎてるんでね、払って貰わねえと商売上がったりなんですよ」
「王子殿下の婚約者の生家が借金の踏み倒しはあり得ませんよね?」
慇懃無礼な態度で言い募るニールセン達にタジタジの男爵は冷や汗を垂らし目を泳がせて言い逃れをはじめた。
「・・直ぐに・・いや、少し、そうだ少し待ってくれれば王家から・・あれだ、支度金が入る。王太子の婚約者の支度金だぞ! 今無理に取り立てた奴とは今後の付き合いはせん。そうなれば将来の儲けを「エミリー様は本当に婚約者なんですか? 発表とか聞いてませんけど?」」
男爵のしどろもどろの言い訳に被せるようにマシューの声が響いた。
「え? 婚約者になったんじゃないんですか?」
「もっもうすぐじゃ、もうすぐ発表がある! 前の婚約者は婚約破棄されてエミリーが新しい婚約者になったんだ!」
「王太子の婚約者だっていつも言ってますが、どの王子が王太子になられたんですか? 発表はないですよね」
戸惑う男達の後ろから再びマシューの声がした。
「グレイソン王子が王太子になるに決まってるじゃない! あたしはグレイソン様の側室になるのよ!!」
パタパタと走り出してきたエミリーが腰に手を当ててドヤ顔で宣言すると、顔を見合わせて首を傾げたりヒソヒソ話し込んでいた男達が口をぽかんと開けて呆然とした。
「もう一度教えてあげる。あたしはグレイソン王太子の側妃になって王宮に住むの。だから、支払いくらいでガタガタ言わないで!」
「・・男爵?・・お嬢さんの話は本当ですか? グレイソン王子が王太子になられてお嬢さんが側妃になるのですか?」
商人のカーチスが真っ青な顔でニールセンの後ろから出てきたが、請求書を持つ手は震えこの世の終わりがきたような顔をしている。
「その通り!! エミリーはグレイソン王子から直々に婚約者にと言われたのじゃからな」
「ま・・まさかとは思いますがグレイソン王子殿下がご自分が王太子になりエミリー様を側妃にすると仰られたのですか?」
「そうよ~。だってグレイソン様が第一王子だもん。当然王太子でしょ?」
「国、国王陛下はなんと・・?」
「いい加減になさい! 平民の分際で貴族の言葉を疑うのですか!」
「そうよ、失礼ね。グレイソン様が話してくださったから大丈夫に決まってるでしょ?」
「あり得ない・・こんな馬鹿げた事になるなんて・・とっ当商会はフラウド男爵家とは一切お取引はしておりません。無理矢理持っていかれたドレスとアクセサリーをご返却頂きます! 当商会は今後もフラウド男爵家とはお取引いたしません」
「持ってったんじゃないわ。買ったのよ。おかしな事言わないで!?」
「うちっ、うちの商会はフラウド男爵家とは関わりありませんから。うちの商品を返してください!!」
血相を変えて商品の返却を願うカーチスの様子にニールセン達が不安げな顔になった。
「おい、どうしたんだ?」
「どうもこうもない、早くコイツらと縁を切らないと牢にぶち込まれる。いや、縛り首かも」
「なんでだ? 金を返さない男爵が牢屋行きならわかるが」
「フラウド男爵達は・・」
まあ、婚約破棄の場におられた時婚約者候補になっておられましたし、それだけでイザベル嬢とグレイソン王子の不貞は間違いないと思いますがね」
泰然と構えるマッケナの前でイザベルは扇子を握りしめ怒りに顔を真っ赤にして震えていた。
「イザベル・・部屋に、部屋に戻れ」
「でも、お父様。わたくしのアクセサリーはどう「煩い! 部屋に行け!!」」
キッと宰相を睨みつけたイザベルはフンッと鼻を鳴らした後マッケナをひと睨みして応接室を出て行った。入れ違いに応接室に入ってきたジョージが1枚のメモをマッケナに手渡した。
「貴金属と絵画で借金の3割というところですな。他の部屋も「取り引きしよう」」
「・・ほう、よほど有益な情報であれば考えなくもないですが?」
「貴様の父親と兄に関する情報ならどうだ?」
「聞きましょう。それなりの価値のある話であれば話し合いできるかもしれませんな」
宰相の前にどっかりと座ったマッケナの後ろにジョージが立つと、大きな溜息をついた宰相が虚な目で話しはじめた。
マッケナ達が宰相の屋敷に乗り込むより少し前、フラウド男爵邸の周りをマシューと配下の男達が取り囲んでいた。
「ではワシらは安心して行ってきますかの」
手に貸付証文や請求書を持った金貸しや商人が鼻息荒く頷き合った。取り立てにきた者の中で一番貸付金額の大きい金貸しのニールセンが代表で玄関のノッカーを叩いたがいくら待っても誰も出てこない。
「いねえのか?」
「いや、間違いなく中にいる」
ドンドンと何度も玄関ドアを強く叩き続けているとガチャリと鍵の開く音がして扉が開き薄汚れたエプロンをつけたメイドが顔を出した。
「煩いわね、そんなに強く叩いたら扉が壊れちまう!」
「おい、男爵はいるか!?」
「はあ?」
「男爵、フラウド男爵はいるか? ワシはニールセン、こっちはマクラス、ターナーやカーチスさん達もいる」
安物の香水の匂いをプンプンさせたニールセンがメイドを押し退けて玄関に押し入って行く後ろからマクラス達も入って行った。ニールセン達に押し退けられたメイドは何が起きたのか予想がついたようで、そっとすり足で後ろに下がり脱兎の如く屋敷の奥に駆け込んだ。
ニールセン達の後ろに隠れるようにしてマシューと1人の男がこっそりと男爵邸に入っていった。
「おい! 男爵!!」
小さな玄関ホールにニールセンの酒焼けしたダミ声が響き渡るとドカドカと足音を立ててフラウド男爵がやって来た。寝巻きの上にガウンを羽織った男爵の後ろから顔を覗かせた男爵夫人とエミリーは胸元が大きく開いた派手なドレスを着ている。
「何だ貴様! 朝っぱらから何を騒いでおる!!」
「おー、男爵。金を返してもらいにきましたぜ。何度も言ってますが期限はとっくに過ぎてるんでねえ」
「俺んとこも期限過ぎてるぜ」
「私のところもお支払いいただきます」
ニールセン達全員が証文を突きつけると男爵は顔を真っ赤にして怒りはじめた。
「こんな所まで乗り込んでくるなど・・タダで済むと思ってるのか!! ワシの、ワシの娘のエミリーは王太子の婚約者だぞ!!」
「だから? とっくに期限過ぎてるんでね、払って貰わねえと商売上がったりなんですよ」
「王子殿下の婚約者の生家が借金の踏み倒しはあり得ませんよね?」
慇懃無礼な態度で言い募るニールセン達にタジタジの男爵は冷や汗を垂らし目を泳がせて言い逃れをはじめた。
「・・直ぐに・・いや、少し、そうだ少し待ってくれれば王家から・・あれだ、支度金が入る。王太子の婚約者の支度金だぞ! 今無理に取り立てた奴とは今後の付き合いはせん。そうなれば将来の儲けを「エミリー様は本当に婚約者なんですか? 発表とか聞いてませんけど?」」
男爵のしどろもどろの言い訳に被せるようにマシューの声が響いた。
「え? 婚約者になったんじゃないんですか?」
「もっもうすぐじゃ、もうすぐ発表がある! 前の婚約者は婚約破棄されてエミリーが新しい婚約者になったんだ!」
「王太子の婚約者だっていつも言ってますが、どの王子が王太子になられたんですか? 発表はないですよね」
戸惑う男達の後ろから再びマシューの声がした。
「グレイソン王子が王太子になるに決まってるじゃない! あたしはグレイソン様の側室になるのよ!!」
パタパタと走り出してきたエミリーが腰に手を当ててドヤ顔で宣言すると、顔を見合わせて首を傾げたりヒソヒソ話し込んでいた男達が口をぽかんと開けて呆然とした。
「もう一度教えてあげる。あたしはグレイソン王太子の側妃になって王宮に住むの。だから、支払いくらいでガタガタ言わないで!」
「・・男爵?・・お嬢さんの話は本当ですか? グレイソン王子が王太子になられてお嬢さんが側妃になるのですか?」
商人のカーチスが真っ青な顔でニールセンの後ろから出てきたが、請求書を持つ手は震えこの世の終わりがきたような顔をしている。
「その通り!! エミリーはグレイソン王子から直々に婚約者にと言われたのじゃからな」
「ま・・まさかとは思いますがグレイソン王子殿下がご自分が王太子になりエミリー様を側妃にすると仰られたのですか?」
「そうよ~。だってグレイソン様が第一王子だもん。当然王太子でしょ?」
「国、国王陛下はなんと・・?」
「いい加減になさい! 平民の分際で貴族の言葉を疑うのですか!」
「そうよ、失礼ね。グレイソン様が話してくださったから大丈夫に決まってるでしょ?」
「あり得ない・・こんな馬鹿げた事になるなんて・・とっ当商会はフラウド男爵家とは一切お取引はしておりません。無理矢理持っていかれたドレスとアクセサリーをご返却頂きます! 当商会は今後もフラウド男爵家とはお取引いたしません」
「持ってったんじゃないわ。買ったのよ。おかしな事言わないで!?」
「うちっ、うちの商会はフラウド男爵家とは関わりありませんから。うちの商品を返してください!!」
血相を変えて商品の返却を願うカーチスの様子にニールセン達が不安げな顔になった。
「おい、どうしたんだ?」
「どうもこうもない、早くコイツらと縁を切らないと牢にぶち込まれる。いや、縛り首かも」
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