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66.間抜けな兄ちゃんはいないからね
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「子供じゃないし! ちょっとクロケルを見つけたか⋯⋯あ、いやぁ、なんだっけな~」
「ク、クロケルですってぇぇぇ!」
「クロケルって良い子なんだよ? すっごく良い子、うん。うちの子達とも仲が良くてさ、こないだピッピがいたずらした時は⋯⋯ちょっと山が揺れたりしたけど、『いいよ』って許してくれたしね⋯⋯泣いてたけど」
(流石に『卵産んでたの~』はヤバかった⋯⋯優しい子達でほんと助かったよね~)
「な、なに⋯⋯どう言う事なの!? えっと、ピッピって⋯⋯ぺぺ、ペットでも飼ったのかしら?」
手を握りしめてワナワナと震えていたジルベルト司祭の目が泳ぎ、ソワソワと落ち着かなげな態度で、着ているローブの裾を直しはじめた。
「⋯⋯見えてるくせに⋯⋯見えてないふりとかセコい。大人ってや~ねえ。ああ、汚い大人ってすぐ嘘つくからなあ」
つ~んとそっぽを向いていたロクサーナがチラ見しながら口を尖らせた。
ジルベルト司祭がミュウ達の動きに反応する時があると気付いたのは、3年以上前になる。
ミュウが突然テーブルの上に飛び乗った時には仰け反っていたし、ピッピが暖炉の中から飛び出してきた時は、目と顎が落ちそうになっていた。
ウルウルが飛ぶのを優しげな目で追いかけていたので、ジルベルト司祭には見た目重視のショタコン疑惑がかけられている。
(畑でモグモグに挨拶していたのは見られていないつもりのようだけど、仁王立ちして睨みつけていたクロノスの前で小さく頭を下げた後に、目が合ったのを忘れたとは言わせないからね!)
「そそ、それは⋯⋯」
「ええい! 素直に吐けぇぇ! 見えてたよね?」
「はぃ、見えてました。いつもじゃなくて時々ですけど、黙っててごめ⋯⋯はっ! てか、誤魔化されるとこだったじゃない! クロケルってなに! そっちを先に話すわよ!」
「チッ!(思い出したか)えーっと、クロケルはぁ、クロケル? 友達になったばかりの子って感じですね」
「だ、ダメよ! クロケルって悪魔じゃないの、いくらなんでも危険だわ」
「いや、うちの子達は水竜。ドラゴンだから全然問題なしの超絶大人しい子達よ? 絶賛子育て⋯⋯卵あっため中だから」
島の山頂に住んでいるドラゴンのところにロクサーナ達が遊びに行くと必ず『川の本流を流れる水の音』が聞こえる。
『ドラちゃんは水竜っぽいね~。だから、この辺りの海って穏やかなのかな?』
【水を操ることに長け、水の流れを支配することで荒れた海を静める⋯⋯機能付き】
【ピッピ、温泉作ってもらう~】
『温泉!? じゃあ、ハプスシード公国まで行かなくても良くなるじゃん。ドラゴン達、最高!』
【芸術に造詣が深いから、話が面白かったな】
【幾何学や数学に長けていたぞ、教養豊かなのもいい】
『ええ! みんなとっくに仲良しさんだったの? が~ん、ちょっとショック』
【ローブ作りで忙しそうだったから】
【ローブ作りに夢中になってたから】
『ううっ⋯⋯よっし、仲間にい~れ~て! って言ってみる。が、頑張る』
「でもね『元浴槽公爵』って言ったら泣くから気を付けてね」
「つまり、ロクサーナの島に住んでたドラゴンが水竜のツガイだったと。悪魔じゃない⋯⋯はあ、心臓が潰れそう」
ソファの背にぐったりともたれたジルベルト司祭が、顔を覆って溜め息をついた。
「ほんと、ロクサーナって目が離せないわ」
因みに、銀の髪と金色の猫のような目を持ち、黒衣の天使の姿をとると言われているクロケルは元は堕天した悪魔。
「悪魔になっちゃったクロケルの方は、決して溶けることのない氷の剣を持ってるんだよね~。で、その剣で傷つけられると必ず凍傷になって腐り落ちるんだけど⋯⋯1本もらってきてって頼んだの。テヘッ」
「⋯⋯はあぁぁ!? あ、悪魔におねだりさせたの!?」
「元は同じ⋯⋯ほら、人間同士とか精霊仲間みたいなもんだからさ。ダメ元で頼んでみたら『昔の知り合いだから、頼んでみる』って。で、それを錬金しちゃったの」
鑑定すると、腐り落ちるのは『呪い』のせいだった。そこは遠慮したいので、呪いを解呪し粉砕して錬金素材にしてしまった。
「やっぱり元天使の武器ってすごいんだよ。微妙な調整とかしやすいし、何度錬金し直しても劣化しないんだもん⋯⋯もう1本もらっとけばって後悔した。あ、もう頼まないけどね。
パパのクロケルは泣き虫ゴン太君で、ママのクロケルはおっとりのドラ美ちゃん」
「精霊達以外にも友達ができて良かった? のよね⋯⋯多分」
「精霊達と時の神とドワーフとアラクネとドラゴン⋯⋯中々大所帯になってきたよね!」
「⋯⋯ねえ、途中に違和感バリバリのセリフがあったんだけど。時の神ってなに?」
「カイロスは時の神で空間魔法、クロノスは時の神で時間魔法。だから、異空間収納と転移が使えるんだけど、人間嫌いなんだって」
いずれキルケーに会いに行く時は、フェイと一緒にカイロスが手伝ってくれるらしい。
(みんなに大感謝、何かお礼できればいいんだけどね)
「ド、ドワーフの引越しは無事に済んだのね」
どうやら、カイロスとクロノスの話は聞かなかったことに決めたらしい。
「うん、緊急避難みたいな感じだけど、うちの山にも鉱石があるって言ってたから、多分大丈夫かな。北の森に鉱石を掘りに行きたい時は転移門を開くしね」
帝国からの危険が解消されるまでの一時避難先として『島に来ませんか?』と声をかけると予想以上の反響で、その日のうちに荷造りがはじまった。
『長いこと寒いとこに住んどったけん、暖かい島は楽しみじゃのう』
『いっぱいご飯作ったげるけん、おっきゅうなりんちゃいよ』
『アブサンの地元じゃろ? 買ってきといてくれんね』
『島じゃったら泳げる?』
『しょっぱいゆうんは、ほんまなん?』
大きな荷物は異空間収納で運び、ドワーフ達は手荷物を抱えて恐る恐る転移門に入って行った。
『おろろろ⋯⋯』
『ウグッ⋯⋯』
初転移後の儀式を乗り越えたドワーフ達には、好きな場所に自由に家を建ててもらうと決め、ロクサーナは足りない資材の調達だけ手伝う事になった。
森の中から毎日トンカンと音が聞こえてきた。美味しそうな匂いと子供達の元気な声。
気の早いドワーフが鉱石を掘りに行こうとして、奥さんから怒鳴りつけられたり、酔っ払って池に飛び込んでみんなに叱られていたり。
静かだった島に笑い声が響くのがなんとなく面映い感じがして、ソワソワと落ち着かなくなる。
(池はあるけど、子供達が安全に海で遊ぶ方法を考えようかな⋯⋯崖の一部を壊して⋯⋯)
「うん、楽しんでくれてる」
話し込んでいるうちに、外はすっかり暗くなってしまった。
「わあ、ごめん! 仕事する時間がなくなっちゃったね」
「大丈夫だよ、今日の仕事はあとひとつだけって決めてたからね」
ジルベルト司祭が執務机から持ってきた書類は、『契約完了』の手続きの為のもの。
「結構あるから、サインするの頑張って。まずは⋯⋯」
内容を精査してサインをしていくごとに、ロクサーナの肩から力が抜けていくような気がする。
バーラム男爵家が勝手に養子縁組していたのも、正式に無効になった。
(聖女でも、なんちゃって男爵令嬢でもなくなった⋯⋯押し付けられた肩書きはいらない)
「さて、これで書類は全てだ。そこで、ロクサーナに俺から質問」
「ク、クロケルですってぇぇぇ!」
「クロケルって良い子なんだよ? すっごく良い子、うん。うちの子達とも仲が良くてさ、こないだピッピがいたずらした時は⋯⋯ちょっと山が揺れたりしたけど、『いいよ』って許してくれたしね⋯⋯泣いてたけど」
(流石に『卵産んでたの~』はヤバかった⋯⋯優しい子達でほんと助かったよね~)
「な、なに⋯⋯どう言う事なの!? えっと、ピッピって⋯⋯ぺぺ、ペットでも飼ったのかしら?」
手を握りしめてワナワナと震えていたジルベルト司祭の目が泳ぎ、ソワソワと落ち着かなげな態度で、着ているローブの裾を直しはじめた。
「⋯⋯見えてるくせに⋯⋯見えてないふりとかセコい。大人ってや~ねえ。ああ、汚い大人ってすぐ嘘つくからなあ」
つ~んとそっぽを向いていたロクサーナがチラ見しながら口を尖らせた。
ジルベルト司祭がミュウ達の動きに反応する時があると気付いたのは、3年以上前になる。
ミュウが突然テーブルの上に飛び乗った時には仰け反っていたし、ピッピが暖炉の中から飛び出してきた時は、目と顎が落ちそうになっていた。
ウルウルが飛ぶのを優しげな目で追いかけていたので、ジルベルト司祭には見た目重視のショタコン疑惑がかけられている。
(畑でモグモグに挨拶していたのは見られていないつもりのようだけど、仁王立ちして睨みつけていたクロノスの前で小さく頭を下げた後に、目が合ったのを忘れたとは言わせないからね!)
「そそ、それは⋯⋯」
「ええい! 素直に吐けぇぇ! 見えてたよね?」
「はぃ、見えてました。いつもじゃなくて時々ですけど、黙っててごめ⋯⋯はっ! てか、誤魔化されるとこだったじゃない! クロケルってなに! そっちを先に話すわよ!」
「チッ!(思い出したか)えーっと、クロケルはぁ、クロケル? 友達になったばかりの子って感じですね」
「だ、ダメよ! クロケルって悪魔じゃないの、いくらなんでも危険だわ」
「いや、うちの子達は水竜。ドラゴンだから全然問題なしの超絶大人しい子達よ? 絶賛子育て⋯⋯卵あっため中だから」
島の山頂に住んでいるドラゴンのところにロクサーナ達が遊びに行くと必ず『川の本流を流れる水の音』が聞こえる。
『ドラちゃんは水竜っぽいね~。だから、この辺りの海って穏やかなのかな?』
【水を操ることに長け、水の流れを支配することで荒れた海を静める⋯⋯機能付き】
【ピッピ、温泉作ってもらう~】
『温泉!? じゃあ、ハプスシード公国まで行かなくても良くなるじゃん。ドラゴン達、最高!』
【芸術に造詣が深いから、話が面白かったな】
【幾何学や数学に長けていたぞ、教養豊かなのもいい】
『ええ! みんなとっくに仲良しさんだったの? が~ん、ちょっとショック』
【ローブ作りで忙しそうだったから】
【ローブ作りに夢中になってたから】
『ううっ⋯⋯よっし、仲間にい~れ~て! って言ってみる。が、頑張る』
「でもね『元浴槽公爵』って言ったら泣くから気を付けてね」
「つまり、ロクサーナの島に住んでたドラゴンが水竜のツガイだったと。悪魔じゃない⋯⋯はあ、心臓が潰れそう」
ソファの背にぐったりともたれたジルベルト司祭が、顔を覆って溜め息をついた。
「ほんと、ロクサーナって目が離せないわ」
因みに、銀の髪と金色の猫のような目を持ち、黒衣の天使の姿をとると言われているクロケルは元は堕天した悪魔。
「悪魔になっちゃったクロケルの方は、決して溶けることのない氷の剣を持ってるんだよね~。で、その剣で傷つけられると必ず凍傷になって腐り落ちるんだけど⋯⋯1本もらってきてって頼んだの。テヘッ」
「⋯⋯はあぁぁ!? あ、悪魔におねだりさせたの!?」
「元は同じ⋯⋯ほら、人間同士とか精霊仲間みたいなもんだからさ。ダメ元で頼んでみたら『昔の知り合いだから、頼んでみる』って。で、それを錬金しちゃったの」
鑑定すると、腐り落ちるのは『呪い』のせいだった。そこは遠慮したいので、呪いを解呪し粉砕して錬金素材にしてしまった。
「やっぱり元天使の武器ってすごいんだよ。微妙な調整とかしやすいし、何度錬金し直しても劣化しないんだもん⋯⋯もう1本もらっとけばって後悔した。あ、もう頼まないけどね。
パパのクロケルは泣き虫ゴン太君で、ママのクロケルはおっとりのドラ美ちゃん」
「精霊達以外にも友達ができて良かった? のよね⋯⋯多分」
「精霊達と時の神とドワーフとアラクネとドラゴン⋯⋯中々大所帯になってきたよね!」
「⋯⋯ねえ、途中に違和感バリバリのセリフがあったんだけど。時の神ってなに?」
「カイロスは時の神で空間魔法、クロノスは時の神で時間魔法。だから、異空間収納と転移が使えるんだけど、人間嫌いなんだって」
いずれキルケーに会いに行く時は、フェイと一緒にカイロスが手伝ってくれるらしい。
(みんなに大感謝、何かお礼できればいいんだけどね)
「ド、ドワーフの引越しは無事に済んだのね」
どうやら、カイロスとクロノスの話は聞かなかったことに決めたらしい。
「うん、緊急避難みたいな感じだけど、うちの山にも鉱石があるって言ってたから、多分大丈夫かな。北の森に鉱石を掘りに行きたい時は転移門を開くしね」
帝国からの危険が解消されるまでの一時避難先として『島に来ませんか?』と声をかけると予想以上の反響で、その日のうちに荷造りがはじまった。
『長いこと寒いとこに住んどったけん、暖かい島は楽しみじゃのう』
『いっぱいご飯作ったげるけん、おっきゅうなりんちゃいよ』
『アブサンの地元じゃろ? 買ってきといてくれんね』
『島じゃったら泳げる?』
『しょっぱいゆうんは、ほんまなん?』
大きな荷物は異空間収納で運び、ドワーフ達は手荷物を抱えて恐る恐る転移門に入って行った。
『おろろろ⋯⋯』
『ウグッ⋯⋯』
初転移後の儀式を乗り越えたドワーフ達には、好きな場所に自由に家を建ててもらうと決め、ロクサーナは足りない資材の調達だけ手伝う事になった。
森の中から毎日トンカンと音が聞こえてきた。美味しそうな匂いと子供達の元気な声。
気の早いドワーフが鉱石を掘りに行こうとして、奥さんから怒鳴りつけられたり、酔っ払って池に飛び込んでみんなに叱られていたり。
静かだった島に笑い声が響くのがなんとなく面映い感じがして、ソワソワと落ち着かなくなる。
(池はあるけど、子供達が安全に海で遊ぶ方法を考えようかな⋯⋯崖の一部を壊して⋯⋯)
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話し込んでいるうちに、外はすっかり暗くなってしまった。
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「大丈夫だよ、今日の仕事はあとひとつだけって決めてたからね」
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内容を精査してサインをしていくごとに、ロクサーナの肩から力が抜けていくような気がする。
バーラム男爵家が勝手に養子縁組していたのも、正式に無効になった。
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