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6.エリオットの思惑
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「私もミリアと同じ意見なの。私一人の意見だと不安だから黙ってたんだけど。
修道士になる為には自身の資産を寄進するって言うでしょう? それを逆手に取ってるんじゃないかしら」
「つまりエリオット様には個人資産があるって事?」
「確か、亡くなられたお爺様から領地を頂いてるってお手紙に書いてあったはず。社交界とかには興味がないから、爵位は弟に譲って将来はそこでのんびり暮らしたいって」
リリアーナはパンと手を打ってにっこりと笑った。
「では、これから先はシエナとエリオット様にお任せするわ。私は協力を求められたら何時でもお手伝いするから仰ってね。シエナは私の大切なお友達だし、エリオット様には何年もの間一杯お世話になったから」
「はぁ、なんだかすごい話になっちゃったわね。お馬鹿ルーカス達の話を聞こうと思ってたらシエナの恋バナになって、飛ぶ鳥落とす勢いって言われてる侯爵家の裏を知って。
こんな時こそ・・甘い物が(もぐもぐ)」
「「「流石マチルダ」」」
キョトンとしながら周りを見回すマチルダと、三人の淑女らしくない笑い声が響いた。
ーーーーーー
その後は学園での噂話や再来週ある期末試験の話に花を咲かせていた四人だったが、話の合間にふとミリアが聞いてきた。
「突然なんだけど本って何?」
「あっ、それ私も気になってたの。あの子が随分と偉そうにリリアーナに押し付けてた本って何だったのかなぁって」
ニコニコしながらお菓子を選んでいたリリアーナが眉間に皺を寄せた。
「最近流行ってる恋愛小説なの。この間のが三冊目だったんだけど、どれもよく似た内容で。ああいうのは苦手なのよね」
最近恋愛小説にハマっているミリアが、
「あー、悪役令嬢とヒロインって奴かしら? 結構面白いのもあるけど、何であの子がリリアーナに読ませたがるの? 自分がヒロインですってアピールしてるつもりかしら?」
「三冊ともよく似た内容だったわ。
可愛らしくて健気な幼馴染と愛し合う貴族の令息の仲を、性格の悪い令嬢が邪魔してくるお話。
頭の悪い私に現状を理解させる為にって言って持ってくるの」
三人の手がピタリと止まった。
「学年首位をキープしてるリリアーナに?」
「学年最下位辺りをうろついてる子が?」
「可愛らしくて健気って誰?」
三人が声を合わせてリリアーナに頭を下げた。
「「「お疲れ様」」」
「まぁ、ヒロイン気取りなのは確かよね。
礼儀作法のなってない低位貴族や平民の子が、学園で婚約者のいる高位貴族の令息と真実の愛を見つけて婚約破棄とかって一時期本がいっぱい出てたもの」
「それって以前どこかの国で実際にあった話しでしょ? その所為でお花畑な子が学園でやらかして顰蹙をかってたんだよね。うちの学園もあの子のお陰で去年から嫌な雰囲気になったもの」
「最近の流行りはヒロインの方が断罪されちゃうんだけど。
あの子はハーレムからの高位貴族狙いよね。
これで王子とか出てきたらまた騒ぎ出すのかしら」
「・・縁起の悪い話はやめましょう。ね?」
これ以上騒ぎを大きくしたくないと思ったのかどうか、リリアーナが顔を青くしていた。
エマーソン男爵家は男爵夫妻と年の離れた兄が一人。家族は全員領地で暮らしており、領地で家族と暮らしていたジェシカは学園に通う間だけ王都の借家にメイドと暮らしている。
学園に入学したばかりの頃、貴族の礼儀作法さえ覚えていないジェシカは友達が出来ず昼食も一人ポツンととっていた。
ところが二年生になったあたりから複数の男子生徒と腕を組み、学園内を歩く姿が見受けられるようになり今に至る。ジェシカが付き合うのは高位貴族の令息のみで、婚約者がいても気にしない。
小柄なジェシカの武器は、柔らかなハニーブロンドの髪と大きな青い目。彼女の魅力に惹かれて婚約破棄した令息も・・。
「ルーカスと幼馴染って一体何時頃の事なんだろう」
と首を傾げているリリアーナ達だった。
修道士になる為には自身の資産を寄進するって言うでしょう? それを逆手に取ってるんじゃないかしら」
「つまりエリオット様には個人資産があるって事?」
「確か、亡くなられたお爺様から領地を頂いてるってお手紙に書いてあったはず。社交界とかには興味がないから、爵位は弟に譲って将来はそこでのんびり暮らしたいって」
リリアーナはパンと手を打ってにっこりと笑った。
「では、これから先はシエナとエリオット様にお任せするわ。私は協力を求められたら何時でもお手伝いするから仰ってね。シエナは私の大切なお友達だし、エリオット様には何年もの間一杯お世話になったから」
「はぁ、なんだかすごい話になっちゃったわね。お馬鹿ルーカス達の話を聞こうと思ってたらシエナの恋バナになって、飛ぶ鳥落とす勢いって言われてる侯爵家の裏を知って。
こんな時こそ・・甘い物が(もぐもぐ)」
「「「流石マチルダ」」」
キョトンとしながら周りを見回すマチルダと、三人の淑女らしくない笑い声が響いた。
ーーーーーー
その後は学園での噂話や再来週ある期末試験の話に花を咲かせていた四人だったが、話の合間にふとミリアが聞いてきた。
「突然なんだけど本って何?」
「あっ、それ私も気になってたの。あの子が随分と偉そうにリリアーナに押し付けてた本って何だったのかなぁって」
ニコニコしながらお菓子を選んでいたリリアーナが眉間に皺を寄せた。
「最近流行ってる恋愛小説なの。この間のが三冊目だったんだけど、どれもよく似た内容で。ああいうのは苦手なのよね」
最近恋愛小説にハマっているミリアが、
「あー、悪役令嬢とヒロインって奴かしら? 結構面白いのもあるけど、何であの子がリリアーナに読ませたがるの? 自分がヒロインですってアピールしてるつもりかしら?」
「三冊ともよく似た内容だったわ。
可愛らしくて健気な幼馴染と愛し合う貴族の令息の仲を、性格の悪い令嬢が邪魔してくるお話。
頭の悪い私に現状を理解させる為にって言って持ってくるの」
三人の手がピタリと止まった。
「学年首位をキープしてるリリアーナに?」
「学年最下位辺りをうろついてる子が?」
「可愛らしくて健気って誰?」
三人が声を合わせてリリアーナに頭を下げた。
「「「お疲れ様」」」
「まぁ、ヒロイン気取りなのは確かよね。
礼儀作法のなってない低位貴族や平民の子が、学園で婚約者のいる高位貴族の令息と真実の愛を見つけて婚約破棄とかって一時期本がいっぱい出てたもの」
「それって以前どこかの国で実際にあった話しでしょ? その所為でお花畑な子が学園でやらかして顰蹙をかってたんだよね。うちの学園もあの子のお陰で去年から嫌な雰囲気になったもの」
「最近の流行りはヒロインの方が断罪されちゃうんだけど。
あの子はハーレムからの高位貴族狙いよね。
これで王子とか出てきたらまた騒ぎ出すのかしら」
「・・縁起の悪い話はやめましょう。ね?」
これ以上騒ぎを大きくしたくないと思ったのかどうか、リリアーナが顔を青くしていた。
エマーソン男爵家は男爵夫妻と年の離れた兄が一人。家族は全員領地で暮らしており、領地で家族と暮らしていたジェシカは学園に通う間だけ王都の借家にメイドと暮らしている。
学園に入学したばかりの頃、貴族の礼儀作法さえ覚えていないジェシカは友達が出来ず昼食も一人ポツンととっていた。
ところが二年生になったあたりから複数の男子生徒と腕を組み、学園内を歩く姿が見受けられるようになり今に至る。ジェシカが付き合うのは高位貴族の令息のみで、婚約者がいても気にしない。
小柄なジェシカの武器は、柔らかなハニーブロンドの髪と大きな青い目。彼女の魅力に惹かれて婚約破棄した令息も・・。
「ルーカスと幼馴染って一体何時頃の事なんだろう」
と首を傾げているリリアーナ達だった。
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