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14.大激怒のヒューゴ
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「窓がないのがね。仕方ないんだけど、長時間いる所じゃないって感じ」
「従業員や俺達も第四と第五は短い時間しか滞在しないようにしてますから」
「その方が正解だと思う」
「まだ暫くかかるんですよね」
「結構あるから・・持って帰らなきゃ良かったって後悔しそう」
王都の中でも比較的裕福な人達が住んでいるこの辺りは、人通りもすでになく静まりかえっている。
石畳を歩く四人の足音が響き、通り過ぎる家々の灯りがチラチラと見え隠れしている。
「明日もこの時間になるなら馬車を待たせておいた方が良さそうです」
「たった五分なのに?」
ルーシーは吃驚して周りを見回した。
「この辺りは人通りもありませんし、五分あればなんでも出来ます。
大人数でかかられたら護衛二人では守りきれない」
「帰ったら父さんも同じことを言いそうだわ」
ヒューゴとの攻防を想像して溜息を吐くルーシー。
「それにしても住宅街にあんなでっかい倉庫って、何度見ても違和感しかないんだけど。
街の人達はよく許してくれたわよね」
閑静な住宅街に聳え立つ巨大で堅牢な倉庫は街の景観を損ねている気がする。
倉庫が建設された頃この街を離れていたルーシーは、初めて倉庫を見た時吃驚しすぎてポカンと口を開けたまま動けなくなったのを今でも覚えている。
『街のみんなは逆に喜んでくれたぞ。
警備隊や夜警は平民の街を守ってくれないが、倉庫の前にいる警備員が異変を知らせてくれそうだって』
そう言えばそうかもと何となく納得したルーシーだったが、確かに街の治安は良くなったらしい。
と言うのも、どうやらヒューゴは警備員の交代時に街の巡回をさせているよう。
『まあ、警備だけだと身体が鈍るからな。行き帰りに街中を一周するだけでもいい運動になるだろ?』
警備員の制服は街の人々に周知されており、巡回中に声を掛けられることもあると言う。
(持ちつ持たれつなのかしら)
家に着くとヒューゴが腕を組んで玄関に仁王立ちしていた。
「こんな時間まで何やってんだ? 誘拐されたいか?」
「心配かけてごめんなさい。つい夢中になって時間を忘れてたの」
無言でルーシーを睨みつけるヒューゴ。『じゃあ俺たちはここで』と言いつつ、すかさず逃げ出した護衛二人を横目に見ながら、
「アリス、お前は飯食ってさっさと休め。今日の仕事は終わりだ。
それと、明日は休みだ。仕事したらけつを引っ叩くからな」
「でも、あの」
「アリス、お疲れ様。しっかり休んでね、後は大丈夫だから」
未だにルーシーを睨んでいるヒューゴと青い顔で立ち尽くすルーシーを交互に見ながらアリスは悄悄と屋敷に入って行った。
「俺の言いたい事は分かってるな」
「ええ、悪かったと思ってます。みんなに無茶させた「だけじゃないだろ!」」
「・・ごめんなさい」
「今朝俺はなんて言った?」
「青い顔してるって」
「で、この時間か?
俺はいつも言ってるよな、時間配分を間違えるなって。
昨日の夜と今日は違う。焦って無茶して肝心な時に動けなかったらどうすんだ?
これはお前と俺の戦いだが、メインになるのはお前だって事を覚えとけ!
大将が潰れたらおしまいなんだよ」
「ごめんなさい。食事を済ませて休みます」
ヒューゴの後をついて食堂に行くと、二人分の食事の支度ができていた。
「ほら、さっさと食うぞ。倉庫から連絡が来たから全部並べといた」
(父さん、待っててくれたんだ)
マルフォー家ではいつも一人で食事をしていた。
待ってくれる人がいる、一緒に食事を出来る人がいる・・ルーシーは涙腺が緩むのを止められなかった。
「従業員や俺達も第四と第五は短い時間しか滞在しないようにしてますから」
「その方が正解だと思う」
「まだ暫くかかるんですよね」
「結構あるから・・持って帰らなきゃ良かったって後悔しそう」
王都の中でも比較的裕福な人達が住んでいるこの辺りは、人通りもすでになく静まりかえっている。
石畳を歩く四人の足音が響き、通り過ぎる家々の灯りがチラチラと見え隠れしている。
「明日もこの時間になるなら馬車を待たせておいた方が良さそうです」
「たった五分なのに?」
ルーシーは吃驚して周りを見回した。
「この辺りは人通りもありませんし、五分あればなんでも出来ます。
大人数でかかられたら護衛二人では守りきれない」
「帰ったら父さんも同じことを言いそうだわ」
ヒューゴとの攻防を想像して溜息を吐くルーシー。
「それにしても住宅街にあんなでっかい倉庫って、何度見ても違和感しかないんだけど。
街の人達はよく許してくれたわよね」
閑静な住宅街に聳え立つ巨大で堅牢な倉庫は街の景観を損ねている気がする。
倉庫が建設された頃この街を離れていたルーシーは、初めて倉庫を見た時吃驚しすぎてポカンと口を開けたまま動けなくなったのを今でも覚えている。
『街のみんなは逆に喜んでくれたぞ。
警備隊や夜警は平民の街を守ってくれないが、倉庫の前にいる警備員が異変を知らせてくれそうだって』
そう言えばそうかもと何となく納得したルーシーだったが、確かに街の治安は良くなったらしい。
と言うのも、どうやらヒューゴは警備員の交代時に街の巡回をさせているよう。
『まあ、警備だけだと身体が鈍るからな。行き帰りに街中を一周するだけでもいい運動になるだろ?』
警備員の制服は街の人々に周知されており、巡回中に声を掛けられることもあると言う。
(持ちつ持たれつなのかしら)
家に着くとヒューゴが腕を組んで玄関に仁王立ちしていた。
「こんな時間まで何やってんだ? 誘拐されたいか?」
「心配かけてごめんなさい。つい夢中になって時間を忘れてたの」
無言でルーシーを睨みつけるヒューゴ。『じゃあ俺たちはここで』と言いつつ、すかさず逃げ出した護衛二人を横目に見ながら、
「アリス、お前は飯食ってさっさと休め。今日の仕事は終わりだ。
それと、明日は休みだ。仕事したらけつを引っ叩くからな」
「でも、あの」
「アリス、お疲れ様。しっかり休んでね、後は大丈夫だから」
未だにルーシーを睨んでいるヒューゴと青い顔で立ち尽くすルーシーを交互に見ながらアリスは悄悄と屋敷に入って行った。
「俺の言いたい事は分かってるな」
「ええ、悪かったと思ってます。みんなに無茶させた「だけじゃないだろ!」」
「・・ごめんなさい」
「今朝俺はなんて言った?」
「青い顔してるって」
「で、この時間か?
俺はいつも言ってるよな、時間配分を間違えるなって。
昨日の夜と今日は違う。焦って無茶して肝心な時に動けなかったらどうすんだ?
これはお前と俺の戦いだが、メインになるのはお前だって事を覚えとけ!
大将が潰れたらおしまいなんだよ」
「ごめんなさい。食事を済ませて休みます」
ヒューゴの後をついて食堂に行くと、二人分の食事の支度ができていた。
「ほら、さっさと食うぞ。倉庫から連絡が来たから全部並べといた」
(父さん、待っててくれたんだ)
マルフォー家ではいつも一人で食事をしていた。
待ってくれる人がいる、一緒に食事を出来る人がいる・・ルーシーは涙腺が緩むのを止められなかった。
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