7 / 37
7.眠っている間に
しおりを挟む
吸入麻酔を作る間、アイヴィとリアムは切開後の治療方法について話し合っていた。
アイヴィの博識にカリタス修道士が、
「薬学にお詳しいのですね」
「サレルノ医学校でマッテーオ・シルヴァティコの著書を読みましたので」
カリタス修道士が驚いた顔で、
「サレルノに行かれたのですか?」
「はい、女性を受け入れてくれた医学校はあそこだけだったので」
「サレルノは宗教や修道院とは関わりがありませんから・・独自研究も盛んだとか」
「その通りですわ。お陰で助かりました」
メイド達が部屋の掃除を終える頃、吸入麻酔の準備が出来た。
「王女殿下が眠っているうちに終わらせます。リアム殿とタイラー殿は側で手順に問題がないかしっかり診ていて下さいね」
「助手は必要ないのですか?」
「途中でもし必要になったら、遠慮なく声をかけさせていただきます。
カリタス修道士も宜しければ近くにどうぞ」
カリタス修道士が近づいてきて、
「こんなに大勢に見つめられていては落ち着かないのでは?」
「ここにいるのはたったの四人ですわ。
医学校ではもっと多くの学生が見てましたもの」
王女殿下に麻酔をかけ手術がはじまった。アイヴィは落ち着き払いメスをふるっていく。
膿を出し丁寧に縫合し、包帯を巻いていった。
「凄い、何と素晴らしい手際なんでしょう。医者として仕事が出来ないのは、我が国の損失です」
アイヴィは肩をすくめジョセフと目を見合わせた。
「この後の国王陛下と修道院長への説明はリアム殿にお願いして宜しいでしょうか?
私はただの助手ですし、施術に関して突っ込まれたら父では対応できないかも」
「分かりました。アイヴィ殿の事は状況が落ち着くまで伏せておきましょう。
その方がアイヴィ殿も動きやすいのではないですか?」
「ええ、女同士ですから身の回りのお世話をするふりをして、治療を続けたいと思っています」
アイヴィはリアムと話しながら、修道院長の指示で床屋外科医がつけた傷の手当てをしていった。
「王女殿下の病気は治りますか?」
「分かりません。可能性は半々というところでしょうか。
熱がそれほど上がらず、少しずつでも何か食べられるようになれば可能性は上がります。
それから落ち着いた・・環境を維持できればあるいは」
王女殿下は修道院長に怯えていた。彼が帰ってきて騒ぎ立てないことを祈りたいアイヴィだった。
リアムが疑問に思っていた事を口にした。
「カリタス修道士に聞きたいのですが、修道院長は何故部屋をあのように?」
「私の推測でしかありませんが、修道院長の薬草が効かず瀉血や下剤も効果がなく、王女殿下は日に日に窶れていかれとうとう薬湯を戻してしまわれるようになりました。
それであのような事をされたのではないかと」
「王女殿下は目覚めた時怯えてたわ。あのような状態では何も受け付けなくなっても仕方がないと思う」
「アイヴィ様のおっしゃる通りかと」
「様はやめてください。私は平民で薬剤師の助手なので」
リアムとタイラーは顔を見合わせ頷き合った。
アイヴィの博識にカリタス修道士が、
「薬学にお詳しいのですね」
「サレルノ医学校でマッテーオ・シルヴァティコの著書を読みましたので」
カリタス修道士が驚いた顔で、
「サレルノに行かれたのですか?」
「はい、女性を受け入れてくれた医学校はあそこだけだったので」
「サレルノは宗教や修道院とは関わりがありませんから・・独自研究も盛んだとか」
「その通りですわ。お陰で助かりました」
メイド達が部屋の掃除を終える頃、吸入麻酔の準備が出来た。
「王女殿下が眠っているうちに終わらせます。リアム殿とタイラー殿は側で手順に問題がないかしっかり診ていて下さいね」
「助手は必要ないのですか?」
「途中でもし必要になったら、遠慮なく声をかけさせていただきます。
カリタス修道士も宜しければ近くにどうぞ」
カリタス修道士が近づいてきて、
「こんなに大勢に見つめられていては落ち着かないのでは?」
「ここにいるのはたったの四人ですわ。
医学校ではもっと多くの学生が見てましたもの」
王女殿下に麻酔をかけ手術がはじまった。アイヴィは落ち着き払いメスをふるっていく。
膿を出し丁寧に縫合し、包帯を巻いていった。
「凄い、何と素晴らしい手際なんでしょう。医者として仕事が出来ないのは、我が国の損失です」
アイヴィは肩をすくめジョセフと目を見合わせた。
「この後の国王陛下と修道院長への説明はリアム殿にお願いして宜しいでしょうか?
私はただの助手ですし、施術に関して突っ込まれたら父では対応できないかも」
「分かりました。アイヴィ殿の事は状況が落ち着くまで伏せておきましょう。
その方がアイヴィ殿も動きやすいのではないですか?」
「ええ、女同士ですから身の回りのお世話をするふりをして、治療を続けたいと思っています」
アイヴィはリアムと話しながら、修道院長の指示で床屋外科医がつけた傷の手当てをしていった。
「王女殿下の病気は治りますか?」
「分かりません。可能性は半々というところでしょうか。
熱がそれほど上がらず、少しずつでも何か食べられるようになれば可能性は上がります。
それから落ち着いた・・環境を維持できればあるいは」
王女殿下は修道院長に怯えていた。彼が帰ってきて騒ぎ立てないことを祈りたいアイヴィだった。
リアムが疑問に思っていた事を口にした。
「カリタス修道士に聞きたいのですが、修道院長は何故部屋をあのように?」
「私の推測でしかありませんが、修道院長の薬草が効かず瀉血や下剤も効果がなく、王女殿下は日に日に窶れていかれとうとう薬湯を戻してしまわれるようになりました。
それであのような事をされたのではないかと」
「王女殿下は目覚めた時怯えてたわ。あのような状態では何も受け付けなくなっても仕方がないと思う」
「アイヴィ様のおっしゃる通りかと」
「様はやめてください。私は平民で薬剤師の助手なので」
リアムとタイラーは顔を見合わせ頷き合った。
19
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う
なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。
3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。
かつて自分を陥れた者たち
――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。
これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。
【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】
*お読みくださりありがとうございます。
ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる