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第七章 ただいま準備中
06.諦めきれない
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試験会場は貴族と平民に分かれていると受付で聞いたが、会場内にいる受験生は『どの辺りが平民っすか?』と聞きたくなるほどの煌びやかさだった。
(平民でも富裕層ってやつかぁ。この世界っていまだに貴族至上主義だけど、資本主義が台頭しつつあって過渡期って感じだからこんなもんかなあ。余裕のある貴族より金持ちの平民の方が多いって叫んで、議会から叩き出されたのはえーっと誰だっけ?)
受付で見かけた子供達の中には『たかが12歳のお子ちゃまに!』と叫びたくなるような、目の眩むほどデカい宝石を付けた子供もいた。宝石に興味がなく、あっても買えなかった実里の知識では『デカい、眩しい』くらいしか分からないが、ガラス玉やイミテーションではないと思う。
(王立学園の卒業証書は社交界への入館書だって言われてるから、親も張り切ってるのかもね。有名私立にお受験させるのが大変ってのと同じ感じかな)
ミリーはまだ知らないが⋯⋯受験生の中には学園で結婚相手を見つけようとしている者が多く、自分をいかに魅力的に見せるかに最も頭を悩ませている。勉強はそっちのけでも、寄付金を払えば進級&卒業出来ると開き直っているのは(ミリー命名の)カピバラグループ。
呼吸をするだけで生きていくことができると言われているサツマハオリムシが第二候補。カピバラに負けた理由は『この世界にいなさそうだから⋯⋯byミリー。
高位貴族の子息令嬢と懇意になって就職先をゲットしたい者は、周りを蹴落として自分の優位性をアピールする方法ばかり考えている。見た目を整えて話術を磨き媚を売るべき相手を見極め、こっそりガリ勉して成績上位に食い込むのが必須⋯⋯と忙しすぎるのが(ミリー命名の)ハチドリグループ。
第二候補に選ばれたのは、体長約5センチ体重約2グラム。30分毎に食事をしないといけない、北海道在住の『トウキョウトガリネズミ』
受験票を机に置いてぽやっと人間観察をしていると、試験官数名が入って来た。
(わぁ、ザ・教師って感じのや~つ~が来た~。生徒達の上に立つお先生様降臨だよぉ。テンション下がるぅ、ダダ下がりじゃ~ん)
「受験票は机の右上に置くように。使用して良いのは鉛筆と消しゴム。古いパンは却下。使う予定の鉛筆と消しゴムを机の上に出した後、鞄に手を触れたら即退場。削らんと使える鉛筆がなくなった者もそこで試験終了となる。
羽ペンを利用する者は手を挙げるように」
(字消しのパンは『消しパン』で、食べるパンは『食パン』⋯⋯はみパン、腰パン、見~せパン🎵)
やる気ゼロからのマイナスだが『鉛筆が足りないでちゅ~』はミリーのなけなしのプライドが許さない。山盛りの鉛筆と小山くらいの消しゴムを机の上に置いた。
(お! 他の子もおんなじ事してる。ヤバい奴認定されるかと思ったけど、良かった良かった。何事も事前準備が大事だよね、うん)
試験官達が机の上を念入りにチェックする様はテレビで見た鑑識の人のよう。
試験官達が睨みを効かせる中無事に試験が開始されたが、カンニングをする奴がこの中に絶対にいると言わんばかりの態度にミリーのイライラが募っていった。
カリカリ、ポキン。
静まり返った部屋の中、ザラザラした問題用紙に手こずっているのか鉛筆が折れる音がする。
嫌々でもやり出したら止まらないのは、義務教育からの受験戦争を経験した日本人の性。筆記問題では引っ掛けに注意しながらこの世界に合わせた回答を書き込み、解答欄を埋め終わった後は時間の許す限り確認をした。
(名前もオーケー。ってか、お貴族様は名前さえかければ合格って、時間が余りまくって暇なんだろうなぁ)
午前中の筆記が終われば午後の時間は面接となる。試験官のムカつく態度に反発して、うっかり本気になってしまったミリーは途轍もなくお腹が空いていた。
(暇~、暇~、暇ぁ~ひっまああ~🎵 なんか持って来れば良かった。誰かが言ってたんだよね。何事も事前準備が大事だよねって。私だけど)
昼食時と面接前は学園の食堂が開放され、呼び出しがあるまでの待機場所になっている。
雰囲気からの推測だが食堂の奥が高位貴族で、窓側は低位貴族というL字型の配置。残りの場所の中でも入口寄りに座っているのが平民で、その数は20人もいない。高位貴族っぽい子息令嬢からは距離を置いているように見えるが、低位貴族の中には知り合いがいる子もいるよう。
ミリーは食堂の隅っこの席をキープしてボッチな人間観察中。
(ここはお貴族様からも富裕層様からも離れてるから息がしやすくって良いかも)
すみ□□ぐらしの『え◯ふらいのしっぽ』に心を寄せつつ『えびて☆のしっぽ』を気にしていた実里にとっては、非常に心地良い場所。ミリーに憑依(?)してもそこは変わらない。
(熱々の玄米茶が飲みたいなぁ。栗羊羹とか⋯⋯栗はある。羊羹ってどうやって作るんだっけ。確か、小豆と砂糖と寒天?⋯⋯この世界にゼリーがあるからゼラチンはある。でも寒天との違いってなんだっけ⋯⋯えーっと、確か⋯⋯くそぉ、思い出せぇ! あ、小豆がないかも)
ないと思っていた間は諦めがついていた日本食への渇望が、強制里帰りさせられた時に蘇った。
(お汁粉もあんころ餅も無理⋯⋯昆布は海藻だからありそうだけど、醤油がなぁ)
筆記試験が終わった開放感か、友人や顔見知りとテーブルを囲んで試験内容について話す声が聞こえてくる。
「ええ~! マジかぁ、そこってめっちゃくちゃ点が高そうなのに。聞いてた話より難しかったから、俺ヤバいかも」
「2枚目の問題にあった初代国王陛下の名前、綴りが間違ってたよね」
「面接が終わったらどうする? 母さんが内緒で小遣いをくれたから⋯⋯」
「ごめ⋯⋯明後日はお⋯⋯⋯⋯爵家のお⋯⋯さるの」
「臨時講師⋯⋯るって知ってるかい?」
「⋯⋯らなかったみたいだけ⋯⋯普段はあんなに厳しくは⋯⋯のかしら」
「じゃあ、あの噂⋯⋯かも」
平民グループは比較的近くにいるので話がはっきりと聞こえた。とても元気で仲が良さそうな雰囲気が『小豆に醤油に』と落ち込んでいたミリーの心を少し復活させてくれた。試験結果を気にしつつお祝い気分になっているのもなんだか楽しい。
貴族グループの席は少し離れているのでよく聞こえない。試験よりも社交やら噂話の方が気になっているらしいが、それはそれで貴族らしいんじゃないかと聞き流した。
それダメなやつ、心の準備が必要だから⋯⋯と誰かミリーに教えて下さい。
(平民でも富裕層ってやつかぁ。この世界っていまだに貴族至上主義だけど、資本主義が台頭しつつあって過渡期って感じだからこんなもんかなあ。余裕のある貴族より金持ちの平民の方が多いって叫んで、議会から叩き出されたのはえーっと誰だっけ?)
受付で見かけた子供達の中には『たかが12歳のお子ちゃまに!』と叫びたくなるような、目の眩むほどデカい宝石を付けた子供もいた。宝石に興味がなく、あっても買えなかった実里の知識では『デカい、眩しい』くらいしか分からないが、ガラス玉やイミテーションではないと思う。
(王立学園の卒業証書は社交界への入館書だって言われてるから、親も張り切ってるのかもね。有名私立にお受験させるのが大変ってのと同じ感じかな)
ミリーはまだ知らないが⋯⋯受験生の中には学園で結婚相手を見つけようとしている者が多く、自分をいかに魅力的に見せるかに最も頭を悩ませている。勉強はそっちのけでも、寄付金を払えば進級&卒業出来ると開き直っているのは(ミリー命名の)カピバラグループ。
呼吸をするだけで生きていくことができると言われているサツマハオリムシが第二候補。カピバラに負けた理由は『この世界にいなさそうだから⋯⋯byミリー。
高位貴族の子息令嬢と懇意になって就職先をゲットしたい者は、周りを蹴落として自分の優位性をアピールする方法ばかり考えている。見た目を整えて話術を磨き媚を売るべき相手を見極め、こっそりガリ勉して成績上位に食い込むのが必須⋯⋯と忙しすぎるのが(ミリー命名の)ハチドリグループ。
第二候補に選ばれたのは、体長約5センチ体重約2グラム。30分毎に食事をしないといけない、北海道在住の『トウキョウトガリネズミ』
受験票を机に置いてぽやっと人間観察をしていると、試験官数名が入って来た。
(わぁ、ザ・教師って感じのや~つ~が来た~。生徒達の上に立つお先生様降臨だよぉ。テンション下がるぅ、ダダ下がりじゃ~ん)
「受験票は机の右上に置くように。使用して良いのは鉛筆と消しゴム。古いパンは却下。使う予定の鉛筆と消しゴムを机の上に出した後、鞄に手を触れたら即退場。削らんと使える鉛筆がなくなった者もそこで試験終了となる。
羽ペンを利用する者は手を挙げるように」
(字消しのパンは『消しパン』で、食べるパンは『食パン』⋯⋯はみパン、腰パン、見~せパン🎵)
やる気ゼロからのマイナスだが『鉛筆が足りないでちゅ~』はミリーのなけなしのプライドが許さない。山盛りの鉛筆と小山くらいの消しゴムを机の上に置いた。
(お! 他の子もおんなじ事してる。ヤバい奴認定されるかと思ったけど、良かった良かった。何事も事前準備が大事だよね、うん)
試験官達が机の上を念入りにチェックする様はテレビで見た鑑識の人のよう。
試験官達が睨みを効かせる中無事に試験が開始されたが、カンニングをする奴がこの中に絶対にいると言わんばかりの態度にミリーのイライラが募っていった。
カリカリ、ポキン。
静まり返った部屋の中、ザラザラした問題用紙に手こずっているのか鉛筆が折れる音がする。
嫌々でもやり出したら止まらないのは、義務教育からの受験戦争を経験した日本人の性。筆記問題では引っ掛けに注意しながらこの世界に合わせた回答を書き込み、解答欄を埋め終わった後は時間の許す限り確認をした。
(名前もオーケー。ってか、お貴族様は名前さえかければ合格って、時間が余りまくって暇なんだろうなぁ)
午前中の筆記が終われば午後の時間は面接となる。試験官のムカつく態度に反発して、うっかり本気になってしまったミリーは途轍もなくお腹が空いていた。
(暇~、暇~、暇ぁ~ひっまああ~🎵 なんか持って来れば良かった。誰かが言ってたんだよね。何事も事前準備が大事だよねって。私だけど)
昼食時と面接前は学園の食堂が開放され、呼び出しがあるまでの待機場所になっている。
雰囲気からの推測だが食堂の奥が高位貴族で、窓側は低位貴族というL字型の配置。残りの場所の中でも入口寄りに座っているのが平民で、その数は20人もいない。高位貴族っぽい子息令嬢からは距離を置いているように見えるが、低位貴族の中には知り合いがいる子もいるよう。
ミリーは食堂の隅っこの席をキープしてボッチな人間観察中。
(ここはお貴族様からも富裕層様からも離れてるから息がしやすくって良いかも)
すみ□□ぐらしの『え◯ふらいのしっぽ』に心を寄せつつ『えびて☆のしっぽ』を気にしていた実里にとっては、非常に心地良い場所。ミリーに憑依(?)してもそこは変わらない。
(熱々の玄米茶が飲みたいなぁ。栗羊羹とか⋯⋯栗はある。羊羹ってどうやって作るんだっけ。確か、小豆と砂糖と寒天?⋯⋯この世界にゼリーがあるからゼラチンはある。でも寒天との違いってなんだっけ⋯⋯えーっと、確か⋯⋯くそぉ、思い出せぇ! あ、小豆がないかも)
ないと思っていた間は諦めがついていた日本食への渇望が、強制里帰りさせられた時に蘇った。
(お汁粉もあんころ餅も無理⋯⋯昆布は海藻だからありそうだけど、醤油がなぁ)
筆記試験が終わった開放感か、友人や顔見知りとテーブルを囲んで試験内容について話す声が聞こえてくる。
「ええ~! マジかぁ、そこってめっちゃくちゃ点が高そうなのに。聞いてた話より難しかったから、俺ヤバいかも」
「2枚目の問題にあった初代国王陛下の名前、綴りが間違ってたよね」
「面接が終わったらどうする? 母さんが内緒で小遣いをくれたから⋯⋯」
「ごめ⋯⋯明後日はお⋯⋯⋯⋯爵家のお⋯⋯さるの」
「臨時講師⋯⋯るって知ってるかい?」
「⋯⋯らなかったみたいだけ⋯⋯普段はあんなに厳しくは⋯⋯のかしら」
「じゃあ、あの噂⋯⋯かも」
平民グループは比較的近くにいるので話がはっきりと聞こえた。とても元気で仲が良さそうな雰囲気が『小豆に醤油に』と落ち込んでいたミリーの心を少し復活させてくれた。試験結果を気にしつつお祝い気分になっているのもなんだか楽しい。
貴族グループの席は少し離れているのでよく聞こえない。試験よりも社交やら噂話の方が気になっているらしいが、それはそれで貴族らしいんじゃないかと聞き流した。
それダメなやつ、心の準備が必要だから⋯⋯と誰かミリーに教えて下さい。
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