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第八章 いざ、決戦!

18.みんな期待してパリピィヤ〜🎵

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 ざわつく大ホールの1階には学園の全生徒が集まり、壁際には教師や職員が並んでいた。2階席には在校生達の親族が着席しているが、身動きできないほど多くの立ち見の者がいる。

(大ホールはでっかいと思ってたけど、予想以上に入って凄いね~。いや、集まった人数の方が凄すぎか)


 理事長代理の肩書で在校生宅に手紙を送ったのは、理事長達と話をした日の夜。

 手紙の作成にはミリーの家の使用人を総動員した。メイナードがサインをする端から封をして、手の空いた使用人達がすぐに配達に出掛ける。作業が終わったのは翌朝の明け方で全員疲れ果てていたが、晴れやかな顔をしていた。


『お疲れ様、迷惑をかけたけど本当に助かったよ。非番の人まで出てきてくれるなんて申し訳なかったけど、今日は全員仕事を休んでゆっくりしてね』

『お役に立てて幸いです。皆で応援しております』


 手紙を受け取った人がどれくらい集まるか予想もつかなかったが、まさかこれほどの人数が集まるとは。

(やっぱりクソ皇子&王子ちゃまの客寄せパンダ効果だよね。使えるものはなんでも使う⋯⋯エコだよね~)


ーーーー 手紙には ーーーー

《 緊急速報! ギルバート王子殿下によるイベント開催のお知らせ 》

 学園大ホールにて行いますが、テオドール皇子殿下のご臨席も予定しております。

ーーーー


 王子と皇子を堂々と利用した内容だったのだから、手紙を読んだ各家が大騒ぎになったのは間違いないだろう。

 因みにユーフェミアを含むミッドランド侯爵一家は既に別室で待機している。何故か上機嫌でやってきた侯爵一家は謁見前の貴族のように着飾り、お茶とお菓子を前に満面の笑みを浮かべて話をしていた。

「やはり式の前にあちらへ行っておかんとな」

「ええ、大切な一人娘が嫁ぐ先ですからね、しっかりとこの目で確認しなくてはなりませんわ」

 どうやらユーフェミアの結婚が決まったらしい。

「まさかユーフェミアの方が身分が高くなるなんて思わなかったよ。結婚後は気軽に名前も呼べないなんて、ちょっと寂しいかも」

 笑顔を浮かべているもののプライドが高いナイジェルは何度も右手で耳たぶを触っている。

「まあ、公の席でなければ構わなくてよ。今もこれから先もわたくしはお兄様の妹ですもの」

(耳たぶを触るなんて⋯⋯お兄様ったら相当不満が溜まってるみたいね。でも仕方ないでしょう? わたくしは代々のミッドランド侯爵家の中でも特に選ばれた令嬢なんだもの。いいえ、神に選ばれたと言った方が良いわね)




「2階席だがな、生徒の親の中に生徒の親でもない議会の議長と副議長が紛れ込んでるぞ(他にもギルド長一家やら平民の爺さん婆さんやら色々⋯⋯)」

「ほっほう、私としてはラッキーだけど、耳が早いね~」

 一晩共に過ごした(?)せいで、ミリーとメイナードの距離がかなり縮まっている。

(となると、予定通り進められたら議長達が慌てふためくのも見られるって事か。ますます張り切っちゃうじゃん。でへ~)

 ミリーが集めたいと願っていた人達が全てこのホールに集まった。

 席に座り友達とおしゃべりに興じる在校生達は、午後の授業がなくなったと無邪気に喜んでいる。2階席の大人達は王族の発表を見逃すわけにはいかないと、気合を入れている気配がする。

 何年も願い続けたこの日の為にイジメに耐え続け、イリス達に心配をかけた。

(絶対に大丈夫。私は絶対に勝つ!)



「なあ、これほど多くの人を集めて何をやるんだ?」

「ひ・み・ちゅ」

 メイナードを信じていないわけではないが、どこに耳があるかわからないので迂闊なことは言えない。

「あ、ひとつだけお願いがあったんだった。もし私が⋯⋯」



『言葉と言うのは証拠としてとても弱く、覚えていないの一言で片付けられてしまいがちです。証拠がないのであれば大勢の証人を作れば良いのです。多くの人の目が集まれば、たとえ誰が何を言い出そうと世論を動かせるのですからね。報告を楽しみにしています』

(オーレリア様、ここまで来ました。絶対に良い報告しますね)






 開始時間10分前にミリーは演壇下の一番前の席に座った。

 5分前にミッドランド侯爵一家がホールに入場すると、何故か会場中から拍手が鳴り響いた。侯爵一家は演壇から最も近い職員席に案内されると、それが気に入らないようでメイナードに文句を言っている。

 仕方なさそうに椅子に腰掛けた侯爵はふんぞり返って足を組み、夫人とユーフェミアは扇子でにやけそうになる口元を隠し、耳たぶを触りながら会場を見回しているナイジェルは誰かを探しているらしい。

(何がそんなに嬉しいんだろうねえ。まあ『天国から地獄へ、落ちてけや~』ってのが、本日のお勧めコースだけどね)

 開始時間ちょうどにギルバートが演壇の中央にある演台の前に立って会場を見渡し、ひとつ咳払いをして話しはじめた。

「突然の連絡にも関わらず、これほど多くの方々が集まってくれた事に感謝を述べたい。
本日は臨時講師としてこの学園に助力してくれているユーフェミア・ミッドランド侯爵令嬢をお呼びしたいと思う。
ミッドランド侯爵令嬢、壇上へ」

 盛大な拍手の中、静かに立ち上がったユーフェミアが少し照れたような笑みを浮かべて演壇に上がっていった。エスコートするのはミッドランド侯爵ハリー。

(メイナード先生の時もびっくりしたけど、王子ちゃまが『手伝いたい』って言い出すとは思わなかったなあ。
気合い入れろよお。もし王子ちゃまがピヨったらすぐに飛び出して、ラリアットかますからな!)

「ミッドランド侯爵令嬢、もう少し近くへ」

 ギルバートの声に頷いたユーフェミアが演台の横に立って会場を見回した。

「綺麗⋯⋯」

「まるで天使のようだ」


「ミッドランド侯爵令嬢は先日、1年生の授業を受け持ってくれたのだが、とても有意義な授業だったとの声が理事長室に届いている」

 再び盛大な拍手が鳴り響き、ユーフェミアに賞賛の声が聞こえてきた。

「流石、ユーフェミア様だね」

「全てを兼ね備えて⋯⋯」

(わたくしの実力をみんなが賞賛してるわ。ああ、なんて気持ちいいのかしら。ここにいる全員がこの後のサプライズの証人になって、明日からのお茶会や夜会はわたくしの話でもちきりに⋯⋯。なんて素敵な演出なの!)

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