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5.軟禁生活終了?
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試験結果が届いたその日から家中の物や使用人に当たり散らすアメリアのせいで公爵邸はピリピリとした緊張感に包まれているとメイド達が愚痴をこぼしていた。
「無駄に頑張りすぎるからよね。いい迷惑だわ」
「バランスとか遠慮とか考えなかったのかしら」
メイド二人がこれ見よがしに話しているのはセアラとアメリアの試験結果について。学園では成績順でクラス分けが行われるが、試験結果が良かったセアラはSクラスでアメリアはBクラスだった。
試験勉強は終わったが相変わらず部屋に軟禁されているセアラは学園がはじまるまで気が狂いそうになる程暇な時間を持て余した。
(メイド達が続き部屋で休憩してくれるようになったのが唯一の救いだわ)
学園の3年間は寮に入る事になるが高位貴族は寮にメイドを連れてくることもできる。勿論メイドなど連れていないセアラは入学式前日寮に入り久しぶりの一人寝を満喫した。
(メイド達の監視の目がないって幸せ! それに1人部屋っていうだけで公爵様に感謝だわ)
(イリスのクラスはどこかしら? イリスもSクラスだったらいっぱいおしゃべりできるんだけど、明日が楽しみだわ)
晴れ渡る夏空の下入学式が学園の大ホールで執り行われた。
席に座りソワソワと辺りを見回しているとイリスが会場に入ってくるのが見えた。イリスも周りをキョロキョロと見回しセアラを見つけると満面の笑みを浮かべて小さく手を振ってくれた。
セアラの近くの席は既に埋まっていてイリスは残念そうにしながら少し後ろの席についた。
(この列に座ったってことはイリスもSクラスだわ!)
レトビア公爵家に行ってからというもの手紙を出すことさえ禁止されていたセアラは一刻も早くイリスと話をしたくて一人ソワソワしていた。
長ったらしい学園長の挨拶が漸く終わったとホッとしていると学園の理事の一人であるレトビア公爵が壇上に上がり穏やかな声でスピーチをはじめた。
(こうして見るとすごく立派な方に見えるわ。内面と外見がこれほど違う人って他にもいるのかしら)
以前から苦手だったレトビア公爵だがこの数ヶ月の軟禁生活でレトビア公爵に対する評価がマイナスに振り切れているセアラは苦々しい思いで、壇上で微笑みながら大袈裟な身振りでアピールするレトビア公爵を睨みつけた。
新入生代表の挨拶を最後に入学式が終わり新入生達は会場を出てそのまま教室に移動する事になった。
前もって決められていた席に着くと直ぐに担任教師が入ってきて自己紹介をはじめた。
「今日からこのクラスを担当するランドルフ・オーシエンだ。この学園では自由七科の文法・修辞学・弁証法の三学と算術・幾何・天文学・音楽の四科の基礎に加えて歴史・剣術・マナーの授業がある。
二学年からは選択制の科目も出てくるが半期ごとの試験結果によってはクラス替えや退学もあり得る。みなしっかりと勉強するように。
ちなみに私の担当は幾何学だ。エウクレイデスの著書『原論』程度は読んでいると想定して授業を進めるからそのつもりでいるように」
思った以上にハードルの高そうな担任のセリフに生徒達が一斉に顔を見合わせ不安そうに首を振った。
「嘘だろ? 兄上はそんなこと言っておられなかったのに」
「やばいよ、即Aクラス落ちしそう」
明日からの授業の持ち物や注意事項について説明があった後早々に解散となった。担任が教室を出るとホッとした空気が流れザワザワと生徒達が話しはじめた。既に顔見知りの人が多いようで午後の予定を話しあったり別のクラスに行こうと誘いあったりしている。
セアラが早速イリスの元へ行こうといそいそと席を立つと目の前に見知らぬ2人の令嬢が立ち塞がった。
「初めまして。セアラ・レトビア様でしょう? わたくしメイヨー侯爵家のシャーロット・メイヨーと申しますの」
「わたくしはルーカン伯爵家のグレイス・ルーカンですわ。同じクラスになれたこの機会に是非お友達になってくださいませんかしら」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
「まあ、それでは是非これからお茶でも致しましょう」
強引に腕を掴まれて食堂に併設されているカフェテラスへ連行されそうになったセアラは足を踏ん張って二人を止めた。
「あの、わたくしはお友達とこの後お約束をしておりますの。また今度お誘いいただけますでしょうか」
シャーロット達がセアラに奇襲をかけるのを見ていたイリスはセアラ達に声をかけられず戸惑っていたが、セアラ達の近くにやってきてカーテシーをした。
「あら、どなたかしら? セアラ様にお友達がいらっしゃるなんて存じませんでしたわ」
「ラーニア子爵家のイリス・ラーニア様ですわ。わたくしの幼馴染ですの」
「まあ、子爵でいらっしゃるのね。ではきっと場を弁えてくださると思いますわ。学園内と言いましても高位貴族と低位貴族ではお話が合いませんものねぇ」
「イリス様とお会いするのをとても楽しみにしておりましたの。大変申し訳ありませんが今日はここで失礼します。お話しできてとても嬉しゅうございました」
セアラのきっぱりとした拒絶にシャーロットとグレイスの強引な行動に眉を顰めていた生徒達がヒソヒソと話しはじめた。
「学園内は一応平等なのに高位貴族とかって」
「場を弁えるって」
「腕を掴むって強引すぎないかしら」
シャーロット達は渋々のように引き下がったが自分達より子爵令嬢を優先したセアラを睨みつけた。
「公爵様がお聞きになられたらご不快な思いをされるでしょうね」
(やっぱり、シャーロット様とグレイス様は公爵様の指示で声をかけてこられたのね)
「ご心配いただきありがとうございます。ではご機嫌よう」
セアラはイリスに目配せして荷物を持って大急ぎで教室を出るとその後をイリスが追いかけてきた。
「無駄に頑張りすぎるからよね。いい迷惑だわ」
「バランスとか遠慮とか考えなかったのかしら」
メイド二人がこれ見よがしに話しているのはセアラとアメリアの試験結果について。学園では成績順でクラス分けが行われるが、試験結果が良かったセアラはSクラスでアメリアはBクラスだった。
試験勉強は終わったが相変わらず部屋に軟禁されているセアラは学園がはじまるまで気が狂いそうになる程暇な時間を持て余した。
(メイド達が続き部屋で休憩してくれるようになったのが唯一の救いだわ)
学園の3年間は寮に入る事になるが高位貴族は寮にメイドを連れてくることもできる。勿論メイドなど連れていないセアラは入学式前日寮に入り久しぶりの一人寝を満喫した。
(メイド達の監視の目がないって幸せ! それに1人部屋っていうだけで公爵様に感謝だわ)
(イリスのクラスはどこかしら? イリスもSクラスだったらいっぱいおしゃべりできるんだけど、明日が楽しみだわ)
晴れ渡る夏空の下入学式が学園の大ホールで執り行われた。
席に座りソワソワと辺りを見回しているとイリスが会場に入ってくるのが見えた。イリスも周りをキョロキョロと見回しセアラを見つけると満面の笑みを浮かべて小さく手を振ってくれた。
セアラの近くの席は既に埋まっていてイリスは残念そうにしながら少し後ろの席についた。
(この列に座ったってことはイリスもSクラスだわ!)
レトビア公爵家に行ってからというもの手紙を出すことさえ禁止されていたセアラは一刻も早くイリスと話をしたくて一人ソワソワしていた。
長ったらしい学園長の挨拶が漸く終わったとホッとしていると学園の理事の一人であるレトビア公爵が壇上に上がり穏やかな声でスピーチをはじめた。
(こうして見るとすごく立派な方に見えるわ。内面と外見がこれほど違う人って他にもいるのかしら)
以前から苦手だったレトビア公爵だがこの数ヶ月の軟禁生活でレトビア公爵に対する評価がマイナスに振り切れているセアラは苦々しい思いで、壇上で微笑みながら大袈裟な身振りでアピールするレトビア公爵を睨みつけた。
新入生代表の挨拶を最後に入学式が終わり新入生達は会場を出てそのまま教室に移動する事になった。
前もって決められていた席に着くと直ぐに担任教師が入ってきて自己紹介をはじめた。
「今日からこのクラスを担当するランドルフ・オーシエンだ。この学園では自由七科の文法・修辞学・弁証法の三学と算術・幾何・天文学・音楽の四科の基礎に加えて歴史・剣術・マナーの授業がある。
二学年からは選択制の科目も出てくるが半期ごとの試験結果によってはクラス替えや退学もあり得る。みなしっかりと勉強するように。
ちなみに私の担当は幾何学だ。エウクレイデスの著書『原論』程度は読んでいると想定して授業を進めるからそのつもりでいるように」
思った以上にハードルの高そうな担任のセリフに生徒達が一斉に顔を見合わせ不安そうに首を振った。
「嘘だろ? 兄上はそんなこと言っておられなかったのに」
「やばいよ、即Aクラス落ちしそう」
明日からの授業の持ち物や注意事項について説明があった後早々に解散となった。担任が教室を出るとホッとした空気が流れザワザワと生徒達が話しはじめた。既に顔見知りの人が多いようで午後の予定を話しあったり別のクラスに行こうと誘いあったりしている。
セアラが早速イリスの元へ行こうといそいそと席を立つと目の前に見知らぬ2人の令嬢が立ち塞がった。
「初めまして。セアラ・レトビア様でしょう? わたくしメイヨー侯爵家のシャーロット・メイヨーと申しますの」
「わたくしはルーカン伯爵家のグレイス・ルーカンですわ。同じクラスになれたこの機会に是非お友達になってくださいませんかしら」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
「まあ、それでは是非これからお茶でも致しましょう」
強引に腕を掴まれて食堂に併設されているカフェテラスへ連行されそうになったセアラは足を踏ん張って二人を止めた。
「あの、わたくしはお友達とこの後お約束をしておりますの。また今度お誘いいただけますでしょうか」
シャーロット達がセアラに奇襲をかけるのを見ていたイリスはセアラ達に声をかけられず戸惑っていたが、セアラ達の近くにやってきてカーテシーをした。
「あら、どなたかしら? セアラ様にお友達がいらっしゃるなんて存じませんでしたわ」
「ラーニア子爵家のイリス・ラーニア様ですわ。わたくしの幼馴染ですの」
「まあ、子爵でいらっしゃるのね。ではきっと場を弁えてくださると思いますわ。学園内と言いましても高位貴族と低位貴族ではお話が合いませんものねぇ」
「イリス様とお会いするのをとても楽しみにしておりましたの。大変申し訳ありませんが今日はここで失礼します。お話しできてとても嬉しゅうございました」
セアラのきっぱりとした拒絶にシャーロットとグレイスの強引な行動に眉を顰めていた生徒達がヒソヒソと話しはじめた。
「学園内は一応平等なのに高位貴族とかって」
「場を弁えるって」
「腕を掴むって強引すぎないかしら」
シャーロット達は渋々のように引き下がったが自分達より子爵令嬢を優先したセアラを睨みつけた。
「公爵様がお聞きになられたらご不快な思いをされるでしょうね」
(やっぱり、シャーロット様とグレイス様は公爵様の指示で声をかけてこられたのね)
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セアラはイリスに目配せして荷物を持って大急ぎで教室を出るとその後をイリスが追いかけてきた。
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