33 / 93
33.杜撰すぎる計画に呆れ返るセアラ
しおりを挟む
「じゃあ、私達の友情に乾杯!!」
ジーニアとユリスがジュースを口にしながらセアラの動向を凝視している。
セアラはグラスに口を付けかけてグラスの中を覗き込んだ。
「あらまあ。メアリーアン、申し訳ないけれどこれを下げて新しいジュースを持ってきてくださる? 時間が経ったからかしら、虫が入っているの」
慌ててジュースを受け取りにやってきたメアリーアンの後ろからドアの外に待機していたらしいメイドも駆けつけた。
「申し訳ありません。すぐにお取り替え致します」
「人の具合が悪くなるような虫が入ってるのだといけないから十分に注意してね」
状況が掴めないジーニアとユリスはメアリーアンに手渡されていくジュースを呆然と見つめていた。
「念の為詳しくお調べ致します。王宮内でそのような危険な薬⋯⋯いえ、虫が発見された場合は直ちに衛兵と近衛に知らせなくてはなりませんから」
「「まっ、待って!!」」
「アルセント伯爵令嬢とデンロー伯爵令嬢、そんなに慌ててどうされましたの?」
「だっ、だってたかが虫でしょう!? 大騒ぎすることなんてないじゃない!!」
「そうよ。新しいのを入れ直すだけでいいにしなさいよ!」
「虫って怖いんですのよ。伝染病を運ぶ危険な虫もいると言いますしね」
「まさか! でっ、でも」
「安易な考えでいて王侯貴族の方々に何かあったら大変ですもの。メアリーアンの判断は正しいと思いますわ」
「私⋯⋯私は関係ないから!」
「私も関係ないもの! 両親が待ってるから失礼するわ」
慌てて部屋を逃げ出そうとする二人の前にメイドが立ち塞がった。
「恐れ入りますが身体検査をさせて頂いても宜しいでしょうか? 変な虫がついていないかどうか確認させて下さいませ。もしこの虫が大広間からきた物であればドレスに付着しているかもしれません」
「侍女のくせに身体検査ですって! 私は伯爵令嬢よ! 使用人風情が偉そうにしないで!!」
「誠に失礼ながら縁あって王女殿下専属の侍女に引き立てていただきましたが、爵位で申し上げるならばわたくしは侯爵家の次女でございます」
「「!!」」
「王女殿下の専用侍女であれば高位貴族の方であって当然ですわ。ポケットの中とか調べさせて頂いても宜しいかしら?」
ジーニアとユリスは真っ青な顔でへなへなと座り込んだ。
「私、ごめんなさい。頼まれたの。だから許して⋯⋯失敗したってバレたら」
「ホントにごめんなさい。断れなかったの。セアラならわかるでしょう? 言う事を聞かなかったら酷い目に遭うの。仲間はずれにされるし叩かれるし⋯⋯お願い」
「アメリア様の機嫌を損ねたなんてバレたらお父様にも叱られちゃうの。だから⋯⋯ちょっとお腹が痛くなるだけだって。夜会から帰らなきゃいけなくなるだけだからって言ってた」
「で? わたくしがそれを許容しなければならない理由が分かりませんわ」
「それは」
「学園でもお話ししたことはございませんし、ご挨拶にお返事をいただいたこともございませんでしょう? それほど親しくない方の窮状をお助けするとか、わたくしに対して悪意のある行為を見逃すとか⋯⋯逆の立場であれば如何ですかしら? お二人なら『許す』と仰いますの?」
「言う! 言うわ。何があっても許すから」
「ではこのジュースをお二人で半分ずつ召し上がってくださいませ。そうすればわたくしはお二人を許しますし何もなかった事にいたします。
そして、ジュースを飲ませたわたくしに『許す』と仰ってくださいませ」
「⋯⋯許してくれるなら飲むわ。たかがお腹が痛くなるくらいだもの」
「それで秘密にしてくれるならお腹を壊すくらい⋯⋯」
「あの方はとても苛烈な方ですからどのようなお薬だったのかわかりませんけども、王宮には侍医が常駐しているでしょうから問題はありませんわ」
「「⋯⋯」」
「どのようなお薬であるかわからないと言っても、少なくとも命は取られないと確約できますから遠慮なくお飲みになられて宜しいかと」
「「⋯⋯」」
「あの方のご気性を考えればそれなりのお薬の可能性はありますが、たかだか半分程度と言える物かもしれませんしね」
「ごめんなさい。飲めません」
「私も無理」
「では衛兵を呼びます。詳しくお話を聞かせて頂いて宜しいでしょうか?」
メアリーアンの言葉にジーニアとユリスは力なく頷いた。
「ご両親にも来ていただいた方が良いのではありませんか? 真実を話した後あの方からの報復を逃れるためには体調不良で領地に戻ったとか、ご両親に協力して頂くのが最善かもしれません」
セアラの提案にジーニアとユリスが声を上げて泣き出した。
ジーニアとユリスの両親が呼ばれるとセアラを心配していたアリエノールとマーシャル夫人も一緒にやって来た。
「話は聞いたわ。大丈夫?」
「はい、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。アメリア様の計画が杜撰すぎたおかげで事なきを得ました」
娘二人から事の次第を聞いた親達は怒り狂い手を上げようとした。
「おやめなさい。手を出すことは許しません!」
「しかし! このような事をしでかすなど許される事ではありません」
「王家が派閥内の問題に関わることはできませんが、二人だけの問題ではないのではないかしら? それよりも二人を今夜の内に病気療養と称して領地へ戻すべきだと思いますわ」
悲壮な面持ちで肩を落とした伯爵達は娘から目を背け溜息をつき、夫人達はその後ろで泣き崩れた。
「わたくしはこのままお暇させていただきたいと思います。お二人がアメリア様から聞いていたお薬の効果からするとこのまま暫くの間自室に籠るのが一番良いのではないかと」
「そうね、薬を飲んで具合が悪い事にすればアメリアはこの二人への報復を考えないわね。
今夜中に薬の成分を知らせるわ」
「それは⋯⋯」
「セアラの状況は知っています。自室に軟禁状態だと言っても王家の影なら忍び込めますから」
「宜しいのですか? わたくしなどの為にそのような」
「大切な友を守る為ですもの。なんの問題もありません。この件にわたくしの影を使うことは内密に。両伯爵家の娘と家名を守る為ですからね」
言葉の最後は二人の伯爵に向けられた物だった。
「「ありがとうございます」」
デンロー伯爵とアルセント伯爵はアリエノールに向けて頭を下げた。
「⋯⋯ユリス嬢とジーニア嬢のしでかした事も二人のセアラに対する態度も問題ですが、両伯爵は自身の娘が毒を盛ろうとしたセアラに対し謝罪の言葉がないのですね。
ましてこの事件を公にしない為に行動しようとしているセアラに感謝の言葉もなくわたくしだけに頭を下げました。
我が国の由緒ある貴族としてあるまじき事だとお気づきではないのかしら? 陛下がお知りになれば大変悲しまれると思いますわ」
「もっ、申し訳ありません。セアラ様、謝罪が遅れました。心よりお詫び申し上げます。今回の件を内密に済ませようと心を砕いてくださったこと、感謝いたします」
セアラの事をたかが養女と侮って馬鹿にしていた伯爵達はアリエノールの言葉に益々血の気を失った。
ジーニアとユリスがジュースを口にしながらセアラの動向を凝視している。
セアラはグラスに口を付けかけてグラスの中を覗き込んだ。
「あらまあ。メアリーアン、申し訳ないけれどこれを下げて新しいジュースを持ってきてくださる? 時間が経ったからかしら、虫が入っているの」
慌ててジュースを受け取りにやってきたメアリーアンの後ろからドアの外に待機していたらしいメイドも駆けつけた。
「申し訳ありません。すぐにお取り替え致します」
「人の具合が悪くなるような虫が入ってるのだといけないから十分に注意してね」
状況が掴めないジーニアとユリスはメアリーアンに手渡されていくジュースを呆然と見つめていた。
「念の為詳しくお調べ致します。王宮内でそのような危険な薬⋯⋯いえ、虫が発見された場合は直ちに衛兵と近衛に知らせなくてはなりませんから」
「「まっ、待って!!」」
「アルセント伯爵令嬢とデンロー伯爵令嬢、そんなに慌ててどうされましたの?」
「だっ、だってたかが虫でしょう!? 大騒ぎすることなんてないじゃない!!」
「そうよ。新しいのを入れ直すだけでいいにしなさいよ!」
「虫って怖いんですのよ。伝染病を運ぶ危険な虫もいると言いますしね」
「まさか! でっ、でも」
「安易な考えでいて王侯貴族の方々に何かあったら大変ですもの。メアリーアンの判断は正しいと思いますわ」
「私⋯⋯私は関係ないから!」
「私も関係ないもの! 両親が待ってるから失礼するわ」
慌てて部屋を逃げ出そうとする二人の前にメイドが立ち塞がった。
「恐れ入りますが身体検査をさせて頂いても宜しいでしょうか? 変な虫がついていないかどうか確認させて下さいませ。もしこの虫が大広間からきた物であればドレスに付着しているかもしれません」
「侍女のくせに身体検査ですって! 私は伯爵令嬢よ! 使用人風情が偉そうにしないで!!」
「誠に失礼ながら縁あって王女殿下専属の侍女に引き立てていただきましたが、爵位で申し上げるならばわたくしは侯爵家の次女でございます」
「「!!」」
「王女殿下の専用侍女であれば高位貴族の方であって当然ですわ。ポケットの中とか調べさせて頂いても宜しいかしら?」
ジーニアとユリスは真っ青な顔でへなへなと座り込んだ。
「私、ごめんなさい。頼まれたの。だから許して⋯⋯失敗したってバレたら」
「ホントにごめんなさい。断れなかったの。セアラならわかるでしょう? 言う事を聞かなかったら酷い目に遭うの。仲間はずれにされるし叩かれるし⋯⋯お願い」
「アメリア様の機嫌を損ねたなんてバレたらお父様にも叱られちゃうの。だから⋯⋯ちょっとお腹が痛くなるだけだって。夜会から帰らなきゃいけなくなるだけだからって言ってた」
「で? わたくしがそれを許容しなければならない理由が分かりませんわ」
「それは」
「学園でもお話ししたことはございませんし、ご挨拶にお返事をいただいたこともございませんでしょう? それほど親しくない方の窮状をお助けするとか、わたくしに対して悪意のある行為を見逃すとか⋯⋯逆の立場であれば如何ですかしら? お二人なら『許す』と仰いますの?」
「言う! 言うわ。何があっても許すから」
「ではこのジュースをお二人で半分ずつ召し上がってくださいませ。そうすればわたくしはお二人を許しますし何もなかった事にいたします。
そして、ジュースを飲ませたわたくしに『許す』と仰ってくださいませ」
「⋯⋯許してくれるなら飲むわ。たかがお腹が痛くなるくらいだもの」
「それで秘密にしてくれるならお腹を壊すくらい⋯⋯」
「あの方はとても苛烈な方ですからどのようなお薬だったのかわかりませんけども、王宮には侍医が常駐しているでしょうから問題はありませんわ」
「「⋯⋯」」
「どのようなお薬であるかわからないと言っても、少なくとも命は取られないと確約できますから遠慮なくお飲みになられて宜しいかと」
「「⋯⋯」」
「あの方のご気性を考えればそれなりのお薬の可能性はありますが、たかだか半分程度と言える物かもしれませんしね」
「ごめんなさい。飲めません」
「私も無理」
「では衛兵を呼びます。詳しくお話を聞かせて頂いて宜しいでしょうか?」
メアリーアンの言葉にジーニアとユリスは力なく頷いた。
「ご両親にも来ていただいた方が良いのではありませんか? 真実を話した後あの方からの報復を逃れるためには体調不良で領地に戻ったとか、ご両親に協力して頂くのが最善かもしれません」
セアラの提案にジーニアとユリスが声を上げて泣き出した。
ジーニアとユリスの両親が呼ばれるとセアラを心配していたアリエノールとマーシャル夫人も一緒にやって来た。
「話は聞いたわ。大丈夫?」
「はい、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。アメリア様の計画が杜撰すぎたおかげで事なきを得ました」
娘二人から事の次第を聞いた親達は怒り狂い手を上げようとした。
「おやめなさい。手を出すことは許しません!」
「しかし! このような事をしでかすなど許される事ではありません」
「王家が派閥内の問題に関わることはできませんが、二人だけの問題ではないのではないかしら? それよりも二人を今夜の内に病気療養と称して領地へ戻すべきだと思いますわ」
悲壮な面持ちで肩を落とした伯爵達は娘から目を背け溜息をつき、夫人達はその後ろで泣き崩れた。
「わたくしはこのままお暇させていただきたいと思います。お二人がアメリア様から聞いていたお薬の効果からするとこのまま暫くの間自室に籠るのが一番良いのではないかと」
「そうね、薬を飲んで具合が悪い事にすればアメリアはこの二人への報復を考えないわね。
今夜中に薬の成分を知らせるわ」
「それは⋯⋯」
「セアラの状況は知っています。自室に軟禁状態だと言っても王家の影なら忍び込めますから」
「宜しいのですか? わたくしなどの為にそのような」
「大切な友を守る為ですもの。なんの問題もありません。この件にわたくしの影を使うことは内密に。両伯爵家の娘と家名を守る為ですからね」
言葉の最後は二人の伯爵に向けられた物だった。
「「ありがとうございます」」
デンロー伯爵とアルセント伯爵はアリエノールに向けて頭を下げた。
「⋯⋯ユリス嬢とジーニア嬢のしでかした事も二人のセアラに対する態度も問題ですが、両伯爵は自身の娘が毒を盛ろうとしたセアラに対し謝罪の言葉がないのですね。
ましてこの事件を公にしない為に行動しようとしているセアラに感謝の言葉もなくわたくしだけに頭を下げました。
我が国の由緒ある貴族としてあるまじき事だとお気づきではないのかしら? 陛下がお知りになれば大変悲しまれると思いますわ」
「もっ、申し訳ありません。セアラ様、謝罪が遅れました。心よりお詫び申し上げます。今回の件を内密に済ませようと心を砕いてくださったこと、感謝いたします」
セアラの事をたかが養女と侮って馬鹿にしていた伯爵達はアリエノールの言葉に益々血の気を失った。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)
婚約破棄された悪役令嬢、実は最強聖女でした〜辺境で拾った彼に一途に愛され、元婚約者が泣きついてきてももう遅い〜
usako
恋愛
王太子の婚約者でありながら「悪女」と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢リディア。
国外追放されたその日、命を救ってくれたのは無骨な騎士ルークだった。
彼に導かれた辺境の地で、本来の力――“聖女”としての奇跡が目覚める。
新たな人生を歩み始めた矢先、かつて自分を貶めた王太子が後悔とともに現れるが……。
もう遅い。彼女は真の愛を知ってしまったから――。
ざまぁと溺愛が交錯する、爽快逆転ラブファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる