【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

文字の大きさ
39 / 93

39.初の本格作戦会議

しおりを挟む
「来週参加申し込みの締め切りだから⋯⋯週末集計して月曜に掲示できるようにすれば、再来週の水曜日からはじめられるわ。
ウルリカ、練習場の手配を」

「はい、曜日は水曜以外どうしますか?」

「そうね、今回は強豪相手だし参加者が多いからって理由なら週三でもいけるかしら?」

「そうですね⋯⋯無理をすれば月・水・金で取れると思います。土日は自主練習の為と称して終日押さえておきます。大会が近づいたら確実に必要になりますし」

 パラパラと手元のノートを捲りながらウルリカが話を進めていく。


「相手校の様子はどうなってるの?」

「既に練習がはじまっています。今回はかなりの練度で仕上がってくるかと」

「ではそれを伝えれば学園にかなりゴリ押しできるわね。お兄様もそのつもりで時間調整して下さいね」

「ああ、出来る限り時間を作るよ」

「毎回来ていただこうと思っていますのに。もし毎回来てくださるなら特典としてセアラに専属のお世話係をお願いしようと思っておりましたのに」

「来る」

 ウルリカが吹き出しアリエノールがドヤ顔でセアラにサムズアップした。

 うっかり即答してしまったリチャードは真っ赤な顔を手で隠しリアクションに困ったセアラは俯いて膝に置いた手をじっと見つめるしかなかった。

「アル、何か言う時は心の準備とかする時間を作ってくれないかな。突然言われるとうっかりおかしな事を言ってしまう」

「その方が面白いんですもの」


(役だから。リチャード王子殿下は役作りをしておられるだけなんだから勘違いしないようにしなくちゃ。アメリア除けのお守りみたいなものだし、それほどアメリアの猛攻に困っていらっしゃるって事なんだわ)



「セアラは練習日以外はわたくしと一緒に仕事をしていただくけれど、お兄様のお世話は全面的にお任せするわね。
周りの生徒にも『お兄様の我儘で無理矢理お世話係にされた』って言ってね。その方がアメリアを慌てさせられるから丁度良いわ」

「真実ですし」

 ぽそりと呟くウルリカの言葉に気付かなかったリチャードが『特典だしな』と呑気に呟いていた。


「お兄様の我儘にどこまで付き合うかは二人で相談して欲しいのだけど、お兄様に甘い顔を見せるとキリがないから適当なところで捨てちゃってね。
それから、お兄様もセアラをあまり振り回さないであげてね」

「巣穴に戻る?」

 毒を吐くアリエノールに慣れているのか気にせず受け流したリチャードにセアラは感心した。

(やっぱり兄妹なのね。なんだかアリエノール様に親近感が⋯⋯。私もお兄様に会いたくなっちゃいそう)


「セアラはハリネズミみたいだから。可愛いけど身を守る時は鋭い棘で威嚇してくるわよ」

「今日の食堂のアレだね」

 リチャードもセアラとグレイスの戦いを見ていたらしくニマニマ笑いをしている。

「うん、あれはカッコよかった。毅然としていて理路整然として⋯⋯コテンパンにやっつけて」

 3人の思い出し笑いを見ながらセアラは顔を赤らめた。

「あれは反省していますの。幼馴染の事でちょっと頭に血が上ってしまって言いすぎたんです。あそこまで追い詰めるつもりはなかったのについ⋯⋯」

「イリス・ラーニア子爵令嬢の休学でしょう? そのことも話さなくちゃいけないわね。ウルリカ、報告をお願い」


「セアラ様もご存知の通りラーニア子爵家に対してルーカン伯爵家とアーカンソー伯爵から抗議文が送られましたが、アリエノール様のご指示でラーニア子爵家には騒動に関する真実と王家の保護を保証すると記載された手紙が両伯爵の物より先に届いております。
ラーニア子爵と夫人には当面静観して下さると言う事でご了承をいただいております」

 言葉を切ったウルリカはアリエノールが小さく頷いた事を確認して話を続けた。

「イリス様は現在セアラ様のお兄様のライル様と一緒に帝国でイーバリス神殿襲撃について現地調査を行っておられます。
その事実を隠匿する為領地で静養すると学園には連絡してある状況です」


「まあ! 二人は大丈夫なのでしょうか? 帝国は言語も複雑ですし、見知らぬ土地で調査なんて」

「先発隊と合流しているから大丈夫よ。実はセアラに生徒会長秘書を依頼した日、ウルリカがイリスに接触したの。話せることは少なかったのだけどそれでも調査隊に参加したいって言ってくれて。
ラーニア子爵夫妻の了承をいただいてから終業式の翌日ライル様と一緒に帝国に行ってもらったの」

「終業式の日には違和感なく休学できるようにわざと揉め事を起こしていただきました」

「イリスが色々調べてくれているのは知っていましたが、まさか休学してまで⋯⋯。じゃあ、あの時の口論も」

「セアラにはわざと知らせなかったの。その方が臨場感が出るでしょう?」


「今日まで教えていただけなかったのはもしかして」

「その通りよ。セアラの親友が休学したとなればグレイスかローランドが何かしら確実にしでかすはずだから、それが終わるまでは内緒にしておこうって考えたの。ごめんなさいね」

「いえ、演技なんてできなかったと思うので知っていなくて良かったと思います。
ただ、令嬢らしくない言動をお兄様に知られたくないと言うか知られたら叱られそうだなって思う程度で」

「セアラのお兄様はライル・ホプキンスね」

「ライル・ホプキンス!? 彼なら同じクラスだったからよく知ってるよ。そうかぁ、ライルご自慢の妹がセアラだったのか。ライルからよく話を聞いていたんだ、凄く可愛くて怖い妹が領地にいるって」


「⋯⋯作り込んだイメージだけじゃなくてお兄様って、やっぱりポンコツだわ」

 頭を抱えたアリエノールとウルリカ二人分の溜め息が聞こえた。

しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

婚約破棄された悪役令嬢、実は最強聖女でした〜辺境で拾った彼に一途に愛され、元婚約者が泣きついてきてももう遅い〜

usako
恋愛
王太子の婚約者でありながら「悪女」と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢リディア。 国外追放されたその日、命を救ってくれたのは無骨な騎士ルークだった。 彼に導かれた辺境の地で、本来の力――“聖女”としての奇跡が目覚める。 新たな人生を歩み始めた矢先、かつて自分を貶めた王太子が後悔とともに現れるが……。 もう遅い。彼女は真の愛を知ってしまったから――。 ざまぁと溺愛が交錯する、爽快逆転ラブファンタジー。

処理中です...