【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

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45.進化したポンコツ

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「ルークは今回の件について何か聞いてるかい?」

「いえ、マーシャル夫人からの依頼で学園に編入してセアラ嬢の護衛をするようにと言われました」

「セアラは先日毒を飲まされかけたんだ。それを仕掛けた犯人は分かっているんだが今のところ手が出せないし、犯人にはかなりの取り巻きがいてそれを手助けしている。
それに今後はますます危険になる可能性がある」

「もう少し具体的に教えていただくことはできますか? 例えば犯人は誰なのか、何故そんなことになったのかとか」

 教室では寡黙でぶっきらぼうな印象だったが意外に理性的な人のようで、リチャードの説明を落ち着いて聞いている。

「お兄様のせいなの。お兄様ったら婚約間近かもって言われるほど仲の良い方がおられたのにセアラに夢中になってしまわれて」

「それは男としてどうかと」

「いや、婚約間近と言っても向こうが勝手に言ってるだけで。俺から誘ったこともなければ勘違いさせるような事を言ったこともないんだ! これは本当、自信をもって言える」

「⋯⋯それが本当なら、王家との縁をなんとしてでも作りたい貴族が強引に話を進めようとしているということですか?」

「相手はこの国でもかなり力のある高位貴族の為外堀を埋められれば王家としては断りにくいお相手です。ご令嬢もその親も精力的かつ積極的に行動しておられ、社交界では既にリチャード王子とそのご令嬢は結婚間近と有名になっておられます」

「はぁ、ウルリカ嬢が言うと何というか説得力があります」

「で、すっかりその気になってる令嬢に別の方と結婚したいと言うのが難しい状況なの。
だって義理の姉妹なんですもの」

「は?」

「お兄様と婚約直前なのはレトビア公爵令嬢で、お兄様が結婚したくなったのはレトビア公爵家に養女になったセアラなの。
出会った順番が逆であれば良かったのにね」

「失礼を承知で言わせていただきますが諦めた方が良いのではありませんか?
血の繋がった娘と養女であれば親も娘の方を優先するでしょうし、大切な方を命の危険に晒してまで気持ちを貫くというのはいかがなものかと」




「貴族としてとても正しい意見だわ。余程愚かな方でない限りそう考えるわよね。一次試験は合格としましょう。試すようなことをしてごめんなさいね。
ルーク様がどのような考えをする方なのか試したの」

「⋯⋯」

 訳もわからないまま学園に編入させられた上に試されたと知ったルークは目を吊り上げてアリエノールを睨みつけた。


「詳しくは言えないのだけど公爵家の不正を暴きたいと思っているの。その為にルーク様にセアラの護衛をお願いできないかしら?」

「不正ですか?」

「公爵家が持っている盗品を取り戻したい。それの正式な所有者は他国の有力者でね、公になると国同士の争いになる可能性が高いんだ」

「⋯⋯」

「申し訳ないがこれ以上詳しい話は出来ない。俺達はこの国を守る為問題を秘密裏に解決しようと動いているが、敵は巨大な派閥を作っている。誰が敵かどこから話が流れてしまうかはっきりしない状況で動いているんだ」

「⋯⋯協力を依頼しておられるけれど完全に信用したわけではないと仰っておられるのですね」

「ああ、その通りだ。俺たちの判断にこの国がかかっている、希望的観測で動くことも甘い考えを持つこともできない」

「兄に相談は⋯⋯出来そうにないですね」

「ああ、秘密を知るのは必要最小限にしたい」

 膝に置いた手を握りしめたルークは眉間の皺を深くしながら考え込んだ。


「⋯⋯ 直ぐに返答はできません。少し考えさせていただけますでしょうか? 
その間のセアラ嬢の護衛はしますし、もしお断りすることになれば俺はヴァイマル王国に戻り何も聞かなかったことにします」


「ええ、勿論よ。無理やり巻き込んだのだし、あまりにも突然のお話だもの。その間セアラの護衛をして頂けるのはとても助かるわ。他に安心して頼める方がいないから絶対に一人にしないでね」



 ベルを鳴らして料理を下げさせた後紅茶を飲みながら時間がある限り話し合った。ルークは予想に反してベルスペクト王国に詳しく、国内情勢や貴族達の勢力図、近隣諸国との外交や輸出入の状況を聞いてきた。

 リチャードとアリエノールは話せる範囲でと言いながらも真摯に答えていた。特にウルリカの持つ情報に興味を惹かれたようでルークのウルリカに対する苦手意識はなくなったようにみえた。


「マーシャル夫人とはどのような方なのですか?」

「それは俺達も疑問に思ってる。信用できるかと聞かれたら出来ると答えるがその理由を聞かれたらわからないとしか答えられない。今のところは敵ではないと思っている」

「とても素晴らしい方なのは間違いないわ。でも、本心がどこにあるのか何を考えておられるのかは全く読めないの」



「最後にもう一つ。セアラ嬢の警護だけ受けるというのは可能ですか?」

「えっと、どういう意味かな?」

「つまりその、殿下のお話をお断りした上でもセアラ嬢の側にいてもいいかお聞きしたくて」

「まあ! お兄様、ルーク様のお話を詳しく聞いてみられた方が宜しくてよ」

「えーっと、このままSクラスにいたいとか?」

「リチャード王子殿下がセアラ嬢に夢中になったと言う話は嘘だったようなので、俺が立候補したいと思います」

「駄目だ!」

「何でですか!? そこは殿下には関係ないじゃありませんか!」

「ある! 関係はある。絶対にダメだ」

「俺が聞きたいのは断った後で俺がセアラ嬢の側にいるのは殿下達の作戦の邪魔になるかどうかだけで」

「なる、ものすごく邪魔になるからな! 四の五の言わずさっさと帰れ」


 真っ青になって怒鳴りはじめたリチャードと何が起きたのか分からずキョトンとしているセアラの顔を見たアリエノールがケラケラと笑いはじめた。

「お兄様が呑気にしておられるからライバル登場だわ。どちらに軍配が上がるかしら?」

「今のところルーク様の方が優勢ですね」

「は? いやいや、ルークは今日初めてセアラにあったんだろ? だったら俺の方が⋯⋯昔から一日の長って言うし」

「リチャード王子殿下は戦略で既に劣勢ですね。ルーク様の場合、先手必勝若しくは機先を制すを地で行っておられますから」



「ウルリカ、お兄様はポンコツの中のポンコツなんだから少し優しくしてあげてね」

(なんだろう。よく分からないけどリチャード王子のポンコツが進化したってこと?)

 そう考えるセアラは恋愛に関してリチャード王子と同レベルだと言うことに気付かず一人紅茶を楽しんでいた。



(ダージリンのオータムティね。最後にフワッと香るレモンのようなこれが大好きなの。ラーニア子爵家でおば様がいつも出してくださった紅茶と同じだわ)

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