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80.奇想天外なセアラ、計画を練りはじめる
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「あの爺さん、ヤバすぎだよぉ! セアラ、さっさとここから逃げ出そう。あんな真面じゃないのを相手にしたら駄目だって」
大司教の話を衣装部屋から聞いていたイリスが震える手でセアラを揺さぶった。
「うん、あの人はヤバい。でも、このまま放っておいたら戦争になるって脅して帰ったから何か考えなくちゃ」
「セアラと戦争は関係ないでしょ? 大司教の話をリチャード殿下に話してアリエノール様と王国へ帰ろう。それが一番だと思う」
大司教の話では全ての準備は終わっていると言う。だとすればこの場でなんとかするしか方法はない。
「アリエノール様達と部屋が離れているのは何か理由があるのかしら?」
「可能性の一つですが、帝国がセアラ様を警戒しているのかもしれません。アリエノール様やリチャード殿下から引き離す事で作戦を立てにくくさせるとか⋯⋯」
「警戒するならウルリカ様の頭脳の方だわ。知識も何もかも私とは段違いだもの」
「大胆さと勇気の違いかと思われます。ウルリカ様はアリエノール様をお守りする事を第一と考えておられますから、その分守りに入られる事が多いように見受けられます。
その点セアラ様は⋯⋯大胆不敵と言うか奇想天外な行動を取られる事がおありなので、敵として見た時予測不能になる一番厄介な相手です」
褒められている気はしない⋯⋯。とんでもないお転婆だと言われている気がした。
「ライルが言いそうな台詞だけど間違ってないわね。セアラは昔から目を離すととんでもない事をしでかす癖があったもの」
「癖って⋯⋯それより明日の事を考えなくちゃ。大司教は明日旧神殿を視察すれば分かるって言ってた。メアリーアンは何か知ってる?」
「いえ、旧神殿には行ったことがありません。破壊された当時のまま保存されていると言われていますが、三百年も経てばかなり風化しているのではないでしょうか?」
「その辺りがどうなってるのか知りたいわね。大司教があんな顔で騒ぐくらいだから余程丁寧な管理がされているんだと思うけど⋯⋯」
大司教の手の者が見張っている事を考えセアラは夕食まで部屋を動かないことにした。その代わりにメアリーアンがアリエノールへ報告に行ってくれた⋯⋯が、帰ってきた時にはアリエノールとリチャード殿下を引き連れていた。
「ごめんなさいね。お兄様がどうしてもセアラに会いたいって煩くて。わたくしはセアラの護衛で来ましたの、お部屋に入っても宜しくて?」
「はい、あの。どうぞ」
パタリとドアが閉まるとそれまで少し困ったような笑顔を浮かべていたアリエノールが真顔になり眉間に皺を寄せた。
「メアリーアン?」
何故アリエノール達を連れてきたのかと言外に匂わせるとメアリーアンが肩をすくめた。
「ルーク達を護衛につけるからセアラは明日の夜明け前に王国に帰ってくれ」
リチャードは今までに見た事がないほど険しい顔をしている。
「大司教がセアラを聖女認定したのならどんな手を使ってくるか分からないんだ。奴の一言でイーバリス教会全員がセアラの捕縛に動き始めるかもしれないし、今ならまだ逃げられる可能性が高いと思うんだ」
「わたくしも同じ意見よ。これ以上大司教に関わってはいけないわ。身の安全を第一に考えなさい」
「それで帝国がリチャード殿下やアリエノール様を捕まえるのを遠くの空から見ていろと仰るのですか?
開戦の準備は済んでいると言ってました。それが本当なら殿下がお休みの所を襲われて拘束されるだけではありませんか?」
「そんなことはさせないよ。前もって分かっていれば隙を見せたりしない。王国を出発する前から可能性があると知っていたからね、それなりの準備はしてあるし国境に見張りも残しておいた」
恐らくリチャードとアリエノールの2人は拘束される前に自害するつもりなのだろう。神殿襲撃の責任を王子王女への襲撃で相殺するつもりだとしか考えられない。
「それは最後の手段。最後の最後まで足掻いてみせるわ」
「⋯⋯中途半端は嫌いなんです。ここで逃げ出すなら初めから同行しませんでした。要は聖女の儀式が終われば良いんですよね。
その上でアリエノール様と私が聖女ではないと公に認められたら問題解決なのではありませんか?」
リチャードとアリエノールは顔を見合わせた。
「そんな都合のいい方法があるとは思えない。聖女の宝物を使ったって神の神託なんて降りないし、降りたかどうか誰が判断するんだ?」
「そこなんです。誰もそれが神の言葉かどうか分からないですよね。大司教が『セアラが聖女だと神の啓示を受けた』なんて偉そうに言ってましたけど、それが真実だと証明する方法なんてないんですから」
セアラの言う話は最もだがそれがどう繋がっていくのかわからないリチャードとアリエノールは首を傾げた。
「皇帝と皇太子はアリエノール様を聖女にしたいと狙っています。ウルリカ様もメンバーとしてご指名を受けておられますからウルリカ様にもお手伝いをお願いするかもです。それと私の3人は必須ですが他にも何人か⋯⋯リチャード殿下とルークにもお手伝いをお願いしようかしら?」
ルークは帝国ともイーバリス教会とも無関係だが、メアリーアンやイーサンは教会と密接な関係があるのでいざという時動きにくくなる可能性がある。
(イリスは破天荒なので却下した方がいいかも)
「そんなに聖女の神託がって騒ぐなら、神の神託⋯⋯降ろしてやりましょう!」
大司教の話を衣装部屋から聞いていたイリスが震える手でセアラを揺さぶった。
「うん、あの人はヤバい。でも、このまま放っておいたら戦争になるって脅して帰ったから何か考えなくちゃ」
「セアラと戦争は関係ないでしょ? 大司教の話をリチャード殿下に話してアリエノール様と王国へ帰ろう。それが一番だと思う」
大司教の話では全ての準備は終わっていると言う。だとすればこの場でなんとかするしか方法はない。
「アリエノール様達と部屋が離れているのは何か理由があるのかしら?」
「可能性の一つですが、帝国がセアラ様を警戒しているのかもしれません。アリエノール様やリチャード殿下から引き離す事で作戦を立てにくくさせるとか⋯⋯」
「警戒するならウルリカ様の頭脳の方だわ。知識も何もかも私とは段違いだもの」
「大胆さと勇気の違いかと思われます。ウルリカ様はアリエノール様をお守りする事を第一と考えておられますから、その分守りに入られる事が多いように見受けられます。
その点セアラ様は⋯⋯大胆不敵と言うか奇想天外な行動を取られる事がおありなので、敵として見た時予測不能になる一番厄介な相手です」
褒められている気はしない⋯⋯。とんでもないお転婆だと言われている気がした。
「ライルが言いそうな台詞だけど間違ってないわね。セアラは昔から目を離すととんでもない事をしでかす癖があったもの」
「癖って⋯⋯それより明日の事を考えなくちゃ。大司教は明日旧神殿を視察すれば分かるって言ってた。メアリーアンは何か知ってる?」
「いえ、旧神殿には行ったことがありません。破壊された当時のまま保存されていると言われていますが、三百年も経てばかなり風化しているのではないでしょうか?」
「その辺りがどうなってるのか知りたいわね。大司教があんな顔で騒ぐくらいだから余程丁寧な管理がされているんだと思うけど⋯⋯」
大司教の手の者が見張っている事を考えセアラは夕食まで部屋を動かないことにした。その代わりにメアリーアンがアリエノールへ報告に行ってくれた⋯⋯が、帰ってきた時にはアリエノールとリチャード殿下を引き連れていた。
「ごめんなさいね。お兄様がどうしてもセアラに会いたいって煩くて。わたくしはセアラの護衛で来ましたの、お部屋に入っても宜しくて?」
「はい、あの。どうぞ」
パタリとドアが閉まるとそれまで少し困ったような笑顔を浮かべていたアリエノールが真顔になり眉間に皺を寄せた。
「メアリーアン?」
何故アリエノール達を連れてきたのかと言外に匂わせるとメアリーアンが肩をすくめた。
「ルーク達を護衛につけるからセアラは明日の夜明け前に王国に帰ってくれ」
リチャードは今までに見た事がないほど険しい顔をしている。
「大司教がセアラを聖女認定したのならどんな手を使ってくるか分からないんだ。奴の一言でイーバリス教会全員がセアラの捕縛に動き始めるかもしれないし、今ならまだ逃げられる可能性が高いと思うんだ」
「わたくしも同じ意見よ。これ以上大司教に関わってはいけないわ。身の安全を第一に考えなさい」
「それで帝国がリチャード殿下やアリエノール様を捕まえるのを遠くの空から見ていろと仰るのですか?
開戦の準備は済んでいると言ってました。それが本当なら殿下がお休みの所を襲われて拘束されるだけではありませんか?」
「そんなことはさせないよ。前もって分かっていれば隙を見せたりしない。王国を出発する前から可能性があると知っていたからね、それなりの準備はしてあるし国境に見張りも残しておいた」
恐らくリチャードとアリエノールの2人は拘束される前に自害するつもりなのだろう。神殿襲撃の責任を王子王女への襲撃で相殺するつもりだとしか考えられない。
「それは最後の手段。最後の最後まで足掻いてみせるわ」
「⋯⋯中途半端は嫌いなんです。ここで逃げ出すなら初めから同行しませんでした。要は聖女の儀式が終われば良いんですよね。
その上でアリエノール様と私が聖女ではないと公に認められたら問題解決なのではありませんか?」
リチャードとアリエノールは顔を見合わせた。
「そんな都合のいい方法があるとは思えない。聖女の宝物を使ったって神の神託なんて降りないし、降りたかどうか誰が判断するんだ?」
「そこなんです。誰もそれが神の言葉かどうか分からないですよね。大司教が『セアラが聖女だと神の啓示を受けた』なんて偉そうに言ってましたけど、それが真実だと証明する方法なんてないんですから」
セアラの言う話は最もだがそれがどう繋がっていくのかわからないリチャードとアリエノールは首を傾げた。
「皇帝と皇太子はアリエノール様を聖女にしたいと狙っています。ウルリカ様もメンバーとしてご指名を受けておられますからウルリカ様にもお手伝いをお願いするかもです。それと私の3人は必須ですが他にも何人か⋯⋯リチャード殿下とルークにもお手伝いをお願いしようかしら?」
ルークは帝国ともイーバリス教会とも無関係だが、メアリーアンやイーサンは教会と密接な関係があるのでいざという時動きにくくなる可能性がある。
(イリスは破天荒なので却下した方がいいかも)
「そんなに聖女の神託がって騒ぐなら、神の神託⋯⋯降ろしてやりましょう!」
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