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スペンサー商会
2.ジプシーのマリ
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リディア達3人は午前中の涼しい時間から、東の広場にやってきた。
東の広場は周りを木で囲まれた、楕円形のかなり広いスペースだった。
広場には既に屋台や物売りが店を広げており、元気な呼び込みの声が聞こえてくる。
町の人達は家族連れや夫婦、恋人同士などが大勢訪れていて大きなバスケットを持っている。
「すごい人出ね。町は空っぽなんじゃないかしら」
「それに近いものがありそうですね。
物売りは結構遠くからも来てるらしいですよ。
みんな荷馬車でやってきて、テントに泊まるそうです」
「テント、泊まってみたいわ。テントで暮らすのが当たり前の国もあるのよね」
「お嬢様、テントだけはお断りします。どうしてもって言う時は、セオと2人で行って下さいね」
「ええ、流石にそこまでマーサに無茶を言うつもりはないから安心してね」
リディア達は物売りの店を覗いて、綺麗な石や珍しい織りのスカーフを見つけては大はしゃぎだった。
少し離れた所にテントが立っていて、周りには誰もいない。他の場所と違う静けさに包まれているように見えた。
「あそこは何かしら。人が寝泊まりするところではなさそうね」
「ジプシーの占いかも。ちょっと覗いてきます」
セオが様子を見に行くと、やはりジプシーが占いをやっていた。
今は誰もお客がいないと言うので、全員が占ってもらう事にした。はじめはセオで次がマーサ。
セオは眉間に皺を寄せ真剣な顔で出てきたが、マーサはにこにこと笑いながら出てきた。
リディアが中に入って行くと、黒髪でやや褐色の肌の若い女性が床に片膝を立てて座っていた。
様々な色に染められた服で、スカートが大きく広がっている。
「お婆さんじゃなくてびっくりした?」
「お婆さんが占う方が多いのですか?」
「うーん、その方がジプシー占いのイメージに合うらしくって、えっ? つて顔をされることが多いんだよね。
それに肌が思ったより黒くないとかも言われる。私達は白ジプシーだからそんなに黒くないの。
私はマリ。どうする? やる? やらない?」
「是非お願いします」
「じゃあ座って。どれか好きなの選んでくれる? 石・木・葉っぱ、あれは火」
「では、石でお願いします」
マリが布の袋をリディアに手渡した。
「何を聞きたい? 将来とか結婚とか?」
「結婚は全然興味がなくて、将来?」
「じゃあ袋を持って。一番知りたい事を考えながら手を突っ込んで石を掴んで」
リディアがマリの言う通りに袋の中で石を掴んだ。
「その石を床にばらっと落としてくれる?
そうそれでいい」
マリは黙ったまま暫く石を眺めていた。
「へえ、アンタって面白いね。もしかしてその年で物凄い成功を収めてる? 考えることが普通の人と違うみたい」
(スペンサー商会のことかしら?)
東の広場は周りを木で囲まれた、楕円形のかなり広いスペースだった。
広場には既に屋台や物売りが店を広げており、元気な呼び込みの声が聞こえてくる。
町の人達は家族連れや夫婦、恋人同士などが大勢訪れていて大きなバスケットを持っている。
「すごい人出ね。町は空っぽなんじゃないかしら」
「それに近いものがありそうですね。
物売りは結構遠くからも来てるらしいですよ。
みんな荷馬車でやってきて、テントに泊まるそうです」
「テント、泊まってみたいわ。テントで暮らすのが当たり前の国もあるのよね」
「お嬢様、テントだけはお断りします。どうしてもって言う時は、セオと2人で行って下さいね」
「ええ、流石にそこまでマーサに無茶を言うつもりはないから安心してね」
リディア達は物売りの店を覗いて、綺麗な石や珍しい織りのスカーフを見つけては大はしゃぎだった。
少し離れた所にテントが立っていて、周りには誰もいない。他の場所と違う静けさに包まれているように見えた。
「あそこは何かしら。人が寝泊まりするところではなさそうね」
「ジプシーの占いかも。ちょっと覗いてきます」
セオが様子を見に行くと、やはりジプシーが占いをやっていた。
今は誰もお客がいないと言うので、全員が占ってもらう事にした。はじめはセオで次がマーサ。
セオは眉間に皺を寄せ真剣な顔で出てきたが、マーサはにこにこと笑いながら出てきた。
リディアが中に入って行くと、黒髪でやや褐色の肌の若い女性が床に片膝を立てて座っていた。
様々な色に染められた服で、スカートが大きく広がっている。
「お婆さんじゃなくてびっくりした?」
「お婆さんが占う方が多いのですか?」
「うーん、その方がジプシー占いのイメージに合うらしくって、えっ? つて顔をされることが多いんだよね。
それに肌が思ったより黒くないとかも言われる。私達は白ジプシーだからそんなに黒くないの。
私はマリ。どうする? やる? やらない?」
「是非お願いします」
「じゃあ座って。どれか好きなの選んでくれる? 石・木・葉っぱ、あれは火」
「では、石でお願いします」
マリが布の袋をリディアに手渡した。
「何を聞きたい? 将来とか結婚とか?」
「結婚は全然興味がなくて、将来?」
「じゃあ袋を持って。一番知りたい事を考えながら手を突っ込んで石を掴んで」
リディアがマリの言う通りに袋の中で石を掴んだ。
「その石を床にばらっと落としてくれる?
そうそれでいい」
マリは黙ったまま暫く石を眺めていた。
「へえ、アンタって面白いね。もしかしてその年で物凄い成功を収めてる? 考えることが普通の人と違うみたい」
(スペンサー商会のことかしら?)
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★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
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