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27.ラストバトル開始
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イーサンの間抜けな白い結婚宣言の日から5日後、リチャードが全員を寝室に呼び出した。
ベッドに横になり目を瞑ったリチャードは眠っているようにしか見えず、呼び出された者達は首を傾げた。
「ウォルター、旦那様のお呼びだなんて一体何事? もう話なんてできなくなってるんでしょうに。
それにその女まで呼ぶなんて一体何を考えてるの!?」
「最後は一人は嫌だとかじゃないですか? 父上も我儘になったものだ」
「アタシ、病人とか超苦手ぇ。ねえ、お家で待ってちゃダメなのかなぁ」
「まさか⋯⋯あの行き遅れが来たせいで、遺言状を書き直したとか言わないわよね。ウォルター、何か聞いてないの!?」
「わたくしは何もお聞きしておりません。皆様をお呼びするように指示されただけでございます」
「あの、診察してもよろしいですか?」
初めて見たビクトール医師は神経質そうな猫背気味の男だった。
「お話が無事終わりましたらお願い致します」
全員がベッドから少し離れた場所で所在なさげに立ち尽くしていたが、サラは窓際に立ちシエナと護衛のケビンが斜め後ろに並んでいた。
全員が部屋に入った直後にそっと鍵が閉まりルーシー達と護衛2人がドアの外に待機したのは誰も気付いていない。
ルーシー達姉妹は獣人族で護衛は全員バーラム家所属の龍人族。シエナと合わせると6人⋯⋯ライリーが選んだ腕自慢達。
(明らかに過剰防衛だよ)
「で、なんのお話なのかしら? さっさと終わらせて」
出かける予定をキャンセルさせられたエスメラルダがイライラしてウォルターを睨みつけた。
「先ずはサラ様とイーサン様の婚姻についてでございます。サラ様、どうぞお話し下さい」
「イーサン・ボクス様による婚姻前契約違反で婚約破棄させていただきます。
ローゼン商会においては優遇・無償提供・謝礼の強要。
持参金を使ったイーサン様本人と愛人アリーシャさんへの物品購入費の支払いは不正使用にあたります。
個人資産及び生活費は別会計となっておりますが飲食や購入品の支払い強要されております。
愛人からは接触禁止の筈ですが、ローゼン商会でイーサン様との結婚式用のウエディングドレスを作成する際に、わたくしの依頼で来たと詳細な説明付きで仰っておられました。
従いまして、持参金の返還と五千万ダリの慰謝料を請求します」
「個人資産とか生活費とかは関係ないだろうが! 大体たかが商会員の個人資産とか超ウケるんだけど?」
「わたくしの個人資産の額は契約には関係ありませんわ」
「ふん、バカバカしい」
「ドレスですけれど、わたくしから依頼されたと言う書類が⋯⋯こちらですね、はいどうぞ⋯⋯ありますのでアリーシャさんが詐欺を働いた証拠でございます。
ローゼン商会の宝飾店・雑貨店・食品部門事務所・家具店全ての担当から供述調書もここにございます。
後ろにおられますケビン・グラハム子爵様は家具店でのイーサン様とアリーシャさんのご乱行に立ち会っておられた方ですから、何かお聞きになりたいことなどあればご自由にお聞きくださいませ。バーラム公爵家で執事をしておられる方ですので身元の保証も完璧ですわ。
こちら、写しですからどうぞお持ちくださいませ」
イーサンとアリーシャに大量の書類の写しを渡すとビリビリと破りはじめた。
「こんな物絶対に認めんからな!」
「なくなっちゃえばこっちのもんよねー!」
「何度も申しますが写しですから破棄されても構いませんわ⋯⋯もう一度言っておきますね、それ写しですから。
ふふっ、原本は弁護士の元にございますの。
あ、因みにお二人とも『恐喝・暴行・詐欺・名誉毀損・営業妨害』で訴えさせていただいております。
アリーシャさんは『高位貴族の氏名の詐称と詐欺』が追加です。
多分これで全部だと思いますわ」
「「⋯⋯」」
「ああ、忘れておりました。ローゼン商会で何度もお会いしておりますが、改めてご挨拶させていただきますね」
幻術を解いたサラが一歩前に出た。
「お、お前⋯⋯あの時の」
「アンタ、あん時の」
「サラ・モーガンでございます。元々顔合わせもしておりませんでしたから、商会でお会いした時はご存知なかったようですが5回中4回はその場におりましたのは覚えておいでだと思います。
色が違うだけでしたけど、全く気づかれませんでしたわね。
では、改めまして⋯⋯ ローゼン商会の副会長を勤めておりますサラ・モーガンはイーサン・ボクス様と婚約破棄させていただきます」
「は? ローゼン商会の副会長ってなんだ? それにもう結婚したのに、婚約破棄しても意味なくね?」
「ふふっ⋯⋯わたくし達、結婚しておりませんけど?」
「「⋯⋯はあ?」」
ベッドに横になり目を瞑ったリチャードは眠っているようにしか見えず、呼び出された者達は首を傾げた。
「ウォルター、旦那様のお呼びだなんて一体何事? もう話なんてできなくなってるんでしょうに。
それにその女まで呼ぶなんて一体何を考えてるの!?」
「最後は一人は嫌だとかじゃないですか? 父上も我儘になったものだ」
「アタシ、病人とか超苦手ぇ。ねえ、お家で待ってちゃダメなのかなぁ」
「まさか⋯⋯あの行き遅れが来たせいで、遺言状を書き直したとか言わないわよね。ウォルター、何か聞いてないの!?」
「わたくしは何もお聞きしておりません。皆様をお呼びするように指示されただけでございます」
「あの、診察してもよろしいですか?」
初めて見たビクトール医師は神経質そうな猫背気味の男だった。
「お話が無事終わりましたらお願い致します」
全員がベッドから少し離れた場所で所在なさげに立ち尽くしていたが、サラは窓際に立ちシエナと護衛のケビンが斜め後ろに並んでいた。
全員が部屋に入った直後にそっと鍵が閉まりルーシー達と護衛2人がドアの外に待機したのは誰も気付いていない。
ルーシー達姉妹は獣人族で護衛は全員バーラム家所属の龍人族。シエナと合わせると6人⋯⋯ライリーが選んだ腕自慢達。
(明らかに過剰防衛だよ)
「で、なんのお話なのかしら? さっさと終わらせて」
出かける予定をキャンセルさせられたエスメラルダがイライラしてウォルターを睨みつけた。
「先ずはサラ様とイーサン様の婚姻についてでございます。サラ様、どうぞお話し下さい」
「イーサン・ボクス様による婚姻前契約違反で婚約破棄させていただきます。
ローゼン商会においては優遇・無償提供・謝礼の強要。
持参金を使ったイーサン様本人と愛人アリーシャさんへの物品購入費の支払いは不正使用にあたります。
個人資産及び生活費は別会計となっておりますが飲食や購入品の支払い強要されております。
愛人からは接触禁止の筈ですが、ローゼン商会でイーサン様との結婚式用のウエディングドレスを作成する際に、わたくしの依頼で来たと詳細な説明付きで仰っておられました。
従いまして、持参金の返還と五千万ダリの慰謝料を請求します」
「個人資産とか生活費とかは関係ないだろうが! 大体たかが商会員の個人資産とか超ウケるんだけど?」
「わたくしの個人資産の額は契約には関係ありませんわ」
「ふん、バカバカしい」
「ドレスですけれど、わたくしから依頼されたと言う書類が⋯⋯こちらですね、はいどうぞ⋯⋯ありますのでアリーシャさんが詐欺を働いた証拠でございます。
ローゼン商会の宝飾店・雑貨店・食品部門事務所・家具店全ての担当から供述調書もここにございます。
後ろにおられますケビン・グラハム子爵様は家具店でのイーサン様とアリーシャさんのご乱行に立ち会っておられた方ですから、何かお聞きになりたいことなどあればご自由にお聞きくださいませ。バーラム公爵家で執事をしておられる方ですので身元の保証も完璧ですわ。
こちら、写しですからどうぞお持ちくださいませ」
イーサンとアリーシャに大量の書類の写しを渡すとビリビリと破りはじめた。
「こんな物絶対に認めんからな!」
「なくなっちゃえばこっちのもんよねー!」
「何度も申しますが写しですから破棄されても構いませんわ⋯⋯もう一度言っておきますね、それ写しですから。
ふふっ、原本は弁護士の元にございますの。
あ、因みにお二人とも『恐喝・暴行・詐欺・名誉毀損・営業妨害』で訴えさせていただいております。
アリーシャさんは『高位貴族の氏名の詐称と詐欺』が追加です。
多分これで全部だと思いますわ」
「「⋯⋯」」
「ああ、忘れておりました。ローゼン商会で何度もお会いしておりますが、改めてご挨拶させていただきますね」
幻術を解いたサラが一歩前に出た。
「お、お前⋯⋯あの時の」
「アンタ、あん時の」
「サラ・モーガンでございます。元々顔合わせもしておりませんでしたから、商会でお会いした時はご存知なかったようですが5回中4回はその場におりましたのは覚えておいでだと思います。
色が違うだけでしたけど、全く気づかれませんでしたわね。
では、改めまして⋯⋯ ローゼン商会の副会長を勤めておりますサラ・モーガンはイーサン・ボクス様と婚約破棄させていただきます」
「は? ローゼン商会の副会長ってなんだ? それにもう結婚したのに、婚約破棄しても意味なくね?」
「ふふっ⋯⋯わたくし達、結婚しておりませんけど?」
「「⋯⋯はあ?」」
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