28 / 41
28.情報通のイケメン
しおりを挟む
(あっ、聞くの忘れてた! 模倣犯どうなったんだろう。この後コナーに聞いてみなくちゃ)
「キルトについては販売数は増やせないって言われたんだ。一応予約だけ入れたんだけど、姉上の機嫌が悪くなりそうだよ」
姉上が怒ると怖いんだよねーと言いながらリアムは顰めっ面をしていた。
(イケメンってそんな顔をしてもイケメンなんだ。羨ましい)
近くに座っている女性達の熱い視線を気にすることもなくリアムはにっこり笑った。
「帰るまでには絶対アニーに会ってみせるって決めてるんだ」
「へっ、アニーに?」
「うん、キルトの製作者。王妃様がキルトのベッドカバー持ってるんだ。
あれを見て惚れちゃった」
(製品によ! 間違わないで製品に惚れたの、気を確かに持つのよロクサーナ)
「キルト、結構有名ですね」
「有名税? 偽物が出回ってるって、見てみたけど全然違って酷いもんだった」
「えっ、どこで見たんですか?」
ロクサーナがリアムの方に身を乗り出してテーブルがガタンと音を立てた。
「ごっこめんなさい」
「大丈夫、気になるなら3人で行ってみる?」
「はい、是非!」
コナーと3人で大通りの外れにやってきたが、この辺りはスラムに近い為あまり治安が良くない。
「こんな所に・・しかも随分堂々と」
いくつか並んでいる店の一つに
【アニーのキルトの店】
という看板が掲げられていた。
「この店はオープンしたばかりなんだけど、ある日突然看板と店がなくなるらしい」
「貸店舗ってことかしら」
「貸店舗ってのは初めて聞いたけど多分あってる。アニーに会う為に探し回ってたんだ」
「聞いた話では見つけても直ぐに居なくなって捕まえられないとか」
それまで黙っていたコナーが口を開いた。
「だったらチャンスかしら。コナー大急ぎで行ってきてくれる?」
頷いたコナーが年に似合わない俊敏な動きで走り出した。
「どうするの?」
「コナーがクラリア商会の人を呼んできてくれるから、それまでにちょっと買い物してくるわ」
引き留めるリアムに手を振りロクサーナが店に入って行くと中には数人の買い物客がいた。
店内にはサイズや模様の違うキルトが並べられていたが、目も粗く落としキルトは意味をなしていない。
酷いものになると端から中のワタがはみ出しているものまであった。
(最悪、こんなの一回洗濯したらお終いじゃん。なのに《アニー》のサインだけはキッチリ入ってる)
「如何ですか? ちょっぴり訳あり品なんで安いですよ」
「訳ありって?」
「製作者がちょっと納得いかないとか。でもほら、ちゃんと《アニー》って入ってるっしょ?」
(ふざけんなよー)
「何か思ったより雑なのね」
「みんな勘違いしてるんすよ。売りもんとして残ってるのがないから芸術品みたいに思ってる」
ロクサーナが商品にひとつずつ確認していると思った以上に人がやって来る。
「何だ、アニーのキルトってこんなもんなの」
「ちょっとガッカリ」
「でも持ってるだけでも自慢できるしねえ」
(こんなん自慢にならないよ)
店の表が騒がしくなり息を切らしたコナーがネイサンや商会員と一緒に店になだれ込んできた。
「ここが《アニー》のキルトを扱ってる店か?」
「ああ、誰だあんた。仕事の邪魔すんじゃねえ」
「俺はクラリア商会のネイサンだ。《アニー》のキルトはうちの独占販売契約してる商品だ。ここにあるようなきったねえ雑巾みたいなのは《アニー》のキルトじゃねえよ。
詳しく話を聞かせてもらおうか」
慌てて逃げ出そうとした店員を商会員達が捕まえた。幸い店にいた客には怪我もなく店員達は警吏に連行されて行った。
ネイサンは店の情報を教えてくれたリアムにお礼がしたいと言い、今度改めて時間を作ることになったようだ。
店の外でその様子を最後まで見ていたロクサーナはホッと胸を撫で下ろし屋敷へと向かって行った。
「殿下のお陰で模倣犯を逮捕できました。ありがとうございます」
「どうしてモートン嬢がお礼を?」
「キルトについては販売数は増やせないって言われたんだ。一応予約だけ入れたんだけど、姉上の機嫌が悪くなりそうだよ」
姉上が怒ると怖いんだよねーと言いながらリアムは顰めっ面をしていた。
(イケメンってそんな顔をしてもイケメンなんだ。羨ましい)
近くに座っている女性達の熱い視線を気にすることもなくリアムはにっこり笑った。
「帰るまでには絶対アニーに会ってみせるって決めてるんだ」
「へっ、アニーに?」
「うん、キルトの製作者。王妃様がキルトのベッドカバー持ってるんだ。
あれを見て惚れちゃった」
(製品によ! 間違わないで製品に惚れたの、気を確かに持つのよロクサーナ)
「キルト、結構有名ですね」
「有名税? 偽物が出回ってるって、見てみたけど全然違って酷いもんだった」
「えっ、どこで見たんですか?」
ロクサーナがリアムの方に身を乗り出してテーブルがガタンと音を立てた。
「ごっこめんなさい」
「大丈夫、気になるなら3人で行ってみる?」
「はい、是非!」
コナーと3人で大通りの外れにやってきたが、この辺りはスラムに近い為あまり治安が良くない。
「こんな所に・・しかも随分堂々と」
いくつか並んでいる店の一つに
【アニーのキルトの店】
という看板が掲げられていた。
「この店はオープンしたばかりなんだけど、ある日突然看板と店がなくなるらしい」
「貸店舗ってことかしら」
「貸店舗ってのは初めて聞いたけど多分あってる。アニーに会う為に探し回ってたんだ」
「聞いた話では見つけても直ぐに居なくなって捕まえられないとか」
それまで黙っていたコナーが口を開いた。
「だったらチャンスかしら。コナー大急ぎで行ってきてくれる?」
頷いたコナーが年に似合わない俊敏な動きで走り出した。
「どうするの?」
「コナーがクラリア商会の人を呼んできてくれるから、それまでにちょっと買い物してくるわ」
引き留めるリアムに手を振りロクサーナが店に入って行くと中には数人の買い物客がいた。
店内にはサイズや模様の違うキルトが並べられていたが、目も粗く落としキルトは意味をなしていない。
酷いものになると端から中のワタがはみ出しているものまであった。
(最悪、こんなの一回洗濯したらお終いじゃん。なのに《アニー》のサインだけはキッチリ入ってる)
「如何ですか? ちょっぴり訳あり品なんで安いですよ」
「訳ありって?」
「製作者がちょっと納得いかないとか。でもほら、ちゃんと《アニー》って入ってるっしょ?」
(ふざけんなよー)
「何か思ったより雑なのね」
「みんな勘違いしてるんすよ。売りもんとして残ってるのがないから芸術品みたいに思ってる」
ロクサーナが商品にひとつずつ確認していると思った以上に人がやって来る。
「何だ、アニーのキルトってこんなもんなの」
「ちょっとガッカリ」
「でも持ってるだけでも自慢できるしねえ」
(こんなん自慢にならないよ)
店の表が騒がしくなり息を切らしたコナーがネイサンや商会員と一緒に店になだれ込んできた。
「ここが《アニー》のキルトを扱ってる店か?」
「ああ、誰だあんた。仕事の邪魔すんじゃねえ」
「俺はクラリア商会のネイサンだ。《アニー》のキルトはうちの独占販売契約してる商品だ。ここにあるようなきったねえ雑巾みたいなのは《アニー》のキルトじゃねえよ。
詳しく話を聞かせてもらおうか」
慌てて逃げ出そうとした店員を商会員達が捕まえた。幸い店にいた客には怪我もなく店員達は警吏に連行されて行った。
ネイサンは店の情報を教えてくれたリアムにお礼がしたいと言い、今度改めて時間を作ることになったようだ。
店の外でその様子を最後まで見ていたロクサーナはホッと胸を撫で下ろし屋敷へと向かって行った。
「殿下のお陰で模倣犯を逮捕できました。ありがとうございます」
「どうしてモートン嬢がお礼を?」
112
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい ~婚約者契約は円満に終了しました
九條葉月
恋愛
【ジャンル1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約(婚約者関係)を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
順調に準備を進めていると、契約を終えたはずの公爵様や王太子殿下たちがなぜか次々とお店にやって来て――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる