39 / 41
39.開始時間が近づいても
しおりを挟む
かなりの人数の卒業生達が集まりパーティーの開始時間が近づいてきた。
(ロクサーナはどうしたんだろう・・何かあった?)
ロクサーナを見落としたのかもしれないと侍従に会場内を確認させたがまだ来ていない。心配になったリアムがロクサーナを迎えに行こうと馬車乗り場に向かった時見慣れた馬車が漸くやって来た。
馬車の中には緊張で顔を引き攣らせているロクサーナとメイドの代わりに行くと言い出したメイリーンが乗っていた。
「・・」
「ロクサーナ、着いたわよ」
「・・」
御者がドアが開ける前にドアが開けたリアムの声がした。
「ロクサーナ、大丈夫かい?」
「だ・・だいじょぶです」
リアムのエスコートで会場脇の小部屋に入ったロクサーナはドレスの上に羽織っていたマントをメイリーンに脱がせてもらった。
はっと息を飲んで言葉を失っているリアムを余所に、赤い顔をして俯いたままのロクサーナにメイリーンがラペルピンの入った箱を手渡した。
「えっと、あの・・これを準備し「凄く綺麗だ。ロクサーナありがとう!」」
呆然としていたリアムがロクサーナに抱きつき箱ごと落ちかけたラペルピンをメイリーンがキャッチした。
「あっあの、実はそのイヤリングと合わせたネックレスがあるんだけど、つっつけさせてもらえるかな?」
赤い顔のまま頷いたロクサーナが後ろ髪を避けリアムに背中を向けると、目の前の頸に真っ赤になったリアムがネックレスを持ったまま硬直した。
「リアム様、ファイト!」
笑いを堪えたメイリーンの応援に我に返ったリアムが大きく深呼吸してネックレスをつけ・・ようとしたが、手が震えて留め金がはまらない。
「どっどうしよう、練習してきたのに。クソ! 手が震えて・・」
「リアム様、もう一回深呼吸しましょう。はい、吸ってー吐いてー」
メイリーンの言葉に素直に従ったリアムは漸く留め金を留めることができた。
「よし! 出来たよロクサーナ。メイリーンありがとう」
振り返ったロクサーナが見たのは未だに緊張で震える手にハンカチを持ち冷や汗を拭っているリアムと満面の笑みでサムズアップしているメイリーンだった。
その後ロクサーナがリアムの襟元にラペルピンを留めている間にメイリーンがローブの裾を直し開始ギリギリの時間に会場入りした。
騒めいていた会場が入り口近くから次第に静まりかえっていく。
頬を少し赤らめたリアムは腕にかけられたロクサーナの手を上から軽く押さえ周りに会釈をしながら堂々と雛壇近くへと歩いて行くが、ロクサーナは誰とも目を合わせることができず笑顔を貼り付け斜め下の床を見つめながら歩いていた。
パチパチと拍手が聞こえた直後会場中に拍手が鳴り響き、驚いたロクサーナがピョンと飛び上がり躓きかけた。
学園長がパーティーの開催を宣言した後主賓である国王からの祝いの御言葉を頂いたが、国王は何故かその場から動かずリアムに目配せをした。
リアムがロクサーナの前に片膝をつきポケットから出した小箱を開けた。
「ロクサーナ・モートン嬢。婚約はなしで私と結婚して欲しい」
針が落ちても響きそうな程の静寂の中固唾を飲んで見守る人達にロクサーナの小さな声が聞こえた。
「私で宜しければ喜んで」
リアムがロクサーナに指輪を嵌めると同時に音楽が流れはじめ参加者が会場の中央を開けた。全員が見守る中でリアムとロクサーナのファーストダンスが踊られ、次の曲から少しずつ卒業生達が踊りはじめた。
国王と王妃の横で涙を堪えきれなくなったミリアーナの背を王妃が優しく支え、会場脇からこっそり覗いていたメイリーンも真っ赤な目でハンカチを握りしめていた。
卒業パーティーの後そのまま王宮に連れて行かれ、翌日の朝にはロクサーナの授爵と婚姻に関する書類が全て揃えられていた。
「リアム、準備早くない?」
書類を前に眉間に皺を寄せたロクサーナが小声で聞いた。
「間をちょっとでも開けたらロクサーナが逃げ出しそうだから」
半年後ロクサーナとリアムの結婚式が盛大に行われた。
(ロクサーナはどうしたんだろう・・何かあった?)
ロクサーナを見落としたのかもしれないと侍従に会場内を確認させたがまだ来ていない。心配になったリアムがロクサーナを迎えに行こうと馬車乗り場に向かった時見慣れた馬車が漸くやって来た。
馬車の中には緊張で顔を引き攣らせているロクサーナとメイドの代わりに行くと言い出したメイリーンが乗っていた。
「・・」
「ロクサーナ、着いたわよ」
「・・」
御者がドアが開ける前にドアが開けたリアムの声がした。
「ロクサーナ、大丈夫かい?」
「だ・・だいじょぶです」
リアムのエスコートで会場脇の小部屋に入ったロクサーナはドレスの上に羽織っていたマントをメイリーンに脱がせてもらった。
はっと息を飲んで言葉を失っているリアムを余所に、赤い顔をして俯いたままのロクサーナにメイリーンがラペルピンの入った箱を手渡した。
「えっと、あの・・これを準備し「凄く綺麗だ。ロクサーナありがとう!」」
呆然としていたリアムがロクサーナに抱きつき箱ごと落ちかけたラペルピンをメイリーンがキャッチした。
「あっあの、実はそのイヤリングと合わせたネックレスがあるんだけど、つっつけさせてもらえるかな?」
赤い顔のまま頷いたロクサーナが後ろ髪を避けリアムに背中を向けると、目の前の頸に真っ赤になったリアムがネックレスを持ったまま硬直した。
「リアム様、ファイト!」
笑いを堪えたメイリーンの応援に我に返ったリアムが大きく深呼吸してネックレスをつけ・・ようとしたが、手が震えて留め金がはまらない。
「どっどうしよう、練習してきたのに。クソ! 手が震えて・・」
「リアム様、もう一回深呼吸しましょう。はい、吸ってー吐いてー」
メイリーンの言葉に素直に従ったリアムは漸く留め金を留めることができた。
「よし! 出来たよロクサーナ。メイリーンありがとう」
振り返ったロクサーナが見たのは未だに緊張で震える手にハンカチを持ち冷や汗を拭っているリアムと満面の笑みでサムズアップしているメイリーンだった。
その後ロクサーナがリアムの襟元にラペルピンを留めている間にメイリーンがローブの裾を直し開始ギリギリの時間に会場入りした。
騒めいていた会場が入り口近くから次第に静まりかえっていく。
頬を少し赤らめたリアムは腕にかけられたロクサーナの手を上から軽く押さえ周りに会釈をしながら堂々と雛壇近くへと歩いて行くが、ロクサーナは誰とも目を合わせることができず笑顔を貼り付け斜め下の床を見つめながら歩いていた。
パチパチと拍手が聞こえた直後会場中に拍手が鳴り響き、驚いたロクサーナがピョンと飛び上がり躓きかけた。
学園長がパーティーの開催を宣言した後主賓である国王からの祝いの御言葉を頂いたが、国王は何故かその場から動かずリアムに目配せをした。
リアムがロクサーナの前に片膝をつきポケットから出した小箱を開けた。
「ロクサーナ・モートン嬢。婚約はなしで私と結婚して欲しい」
針が落ちても響きそうな程の静寂の中固唾を飲んで見守る人達にロクサーナの小さな声が聞こえた。
「私で宜しければ喜んで」
リアムがロクサーナに指輪を嵌めると同時に音楽が流れはじめ参加者が会場の中央を開けた。全員が見守る中でリアムとロクサーナのファーストダンスが踊られ、次の曲から少しずつ卒業生達が踊りはじめた。
国王と王妃の横で涙を堪えきれなくなったミリアーナの背を王妃が優しく支え、会場脇からこっそり覗いていたメイリーンも真っ赤な目でハンカチを握りしめていた。
卒業パーティーの後そのまま王宮に連れて行かれ、翌日の朝にはロクサーナの授爵と婚姻に関する書類が全て揃えられていた。
「リアム、準備早くない?」
書類を前に眉間に皺を寄せたロクサーナが小声で聞いた。
「間をちょっとでも開けたらロクサーナが逃げ出しそうだから」
半年後ロクサーナとリアムの結婚式が盛大に行われた。
124
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい ~婚約者契約は円満に終了しました
九條葉月
恋愛
【ジャンル1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約(婚約者関係)を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
順調に準備を進めていると、契約を終えたはずの公爵様や王太子殿下たちがなぜか次々とお店にやって来て――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる