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結婚式翌日
八月
ーーーーーー
不安なまま一人の朝を迎えたアイラが食堂に行くと、既にデイビッドがいて新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいた。
「おはようございます」
「ん、ああ」
デイビッドは新聞から顔を上げないまま返事をしてきたが、アイラは勇気を振り絞って聞いてみた。
「夕べはあの、どうされたのでしょうか? お部屋にいらっしゃると思っていたのですが」
「あー、君はまだ子供だからね、そういう事はまだ早いと思うんだ。だから暫くは別々の部屋で休もうと思う」
「私はもう19歳です。伯爵家の後継者を作らなくてはなりませんし」
デイビッドはばさりと新聞をテーブルに置き、
「そんなに僕とベッドを共にしたいのかい? エジャートン伯爵家のご令嬢は、随分とはしたないんだね」
とアイラを冷ややかに見つめた。
結婚前とは別人のようなデイビッドの態度。アイラは動揺して、何も言えなくなった。
「少しきつい言い方をしてしまったが、これは君の為だからね。
新婚生活が落ち着くまではこのままにしよう。
これから時間はいくらでもあるんだ、焦らずいこうじゃないか」
「・・わかりました」
無理強いすることではない、自分達には時間が必要なのだと、アイラは無理矢理自分を納得させ席についた。
「ウィルソン、朝食を頼む。食事が終わったら出掛けるから馬車の準備をしておいてくれ」
「お出掛けになられるのですか? どちらに?」
慌てて問いかけるアイラに、
「ちょっと知人に会いに行ってくる」
と、デイビッドは目も合わせずに答えた。
「今日は一緒に家の中を見て頂いて、色々ご相談したいと思っていたのですが」
「家の事は任せるよ。今までずっと住んでいたんだから、別段問題ないだろう?」
「でも、折角だからデイビッド様の好みとかをお聞きして改装しようかと」
「僕の事は気にしなくて良いから。好きなようにしたらいいさ」
朝食が運ばれくると、デイビッドはあっという間に平らげて、口元を拭きながら席を立つ。
「じゃあ、出かけてくる。
帰りは何時になるかわからないから夕食はいらない。
次から料理はもう少し味付けは濃いめに。
それからボリュームも品数も足りない。料理長に言っておいてくれ」
見送りをしようと立ち上がったアイラに、
「見送りはいらない。
これからも見送りや出迎えは不要だから。行ってくる」
と言って出ていった。
翌日、デイビッドが帰って来たのはお昼すこし前。
陽射しが燦々と降り注いでいた。
「デイビッド様、おかえりなさいませ」
「ただいま」
「あの、昨夜はどちらに」
「知人に会いに行くって言っただろう?
この後着替えたらまた出掛ける。
暫く留守にするから、後のことは任せるよ」
「待ってください。ご一緒に昼食か、せめてお茶でもいかがですか?」
「悪い、急いでいるんだ。
おい、数日分の着替えを準備してくれ。湯浴みと髭剃りもだ」
「かしこまりました」
冷ややかな目つきで、デイビッドを見ていたウィルソンは、メイドに指示を出す為出て行った。
「あの、デイビッド様待ってください。結婚したばかりで外泊ばかりされるのは」
「いいかい? 結婚した途端束縛する妻は嫌われるよ。
お父上の話では、領地の事も家の事も何でも出来る、自慢の娘だそうじゃないか。
僕が出掛けても別に問題はないだろう?」
デイビッドはアイラの方を見もせずに部屋に向かったが、アイラはそれを追いかけながら一生懸命声をかけた。
「そう言うことではなくて、折角結婚したのですから一緒にお話ししたり、お食事も「悪い、人を待たせてるんだ。急がないと」」
その日からデイビッドは、殆ど屋敷に帰って来なくなった。
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不安なまま一人の朝を迎えたアイラが食堂に行くと、既にデイビッドがいて新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいた。
「おはようございます」
「ん、ああ」
デイビッドは新聞から顔を上げないまま返事をしてきたが、アイラは勇気を振り絞って聞いてみた。
「夕べはあの、どうされたのでしょうか? お部屋にいらっしゃると思っていたのですが」
「あー、君はまだ子供だからね、そういう事はまだ早いと思うんだ。だから暫くは別々の部屋で休もうと思う」
「私はもう19歳です。伯爵家の後継者を作らなくてはなりませんし」
デイビッドはばさりと新聞をテーブルに置き、
「そんなに僕とベッドを共にしたいのかい? エジャートン伯爵家のご令嬢は、随分とはしたないんだね」
とアイラを冷ややかに見つめた。
結婚前とは別人のようなデイビッドの態度。アイラは動揺して、何も言えなくなった。
「少しきつい言い方をしてしまったが、これは君の為だからね。
新婚生活が落ち着くまではこのままにしよう。
これから時間はいくらでもあるんだ、焦らずいこうじゃないか」
「・・わかりました」
無理強いすることではない、自分達には時間が必要なのだと、アイラは無理矢理自分を納得させ席についた。
「ウィルソン、朝食を頼む。食事が終わったら出掛けるから馬車の準備をしておいてくれ」
「お出掛けになられるのですか? どちらに?」
慌てて問いかけるアイラに、
「ちょっと知人に会いに行ってくる」
と、デイビッドは目も合わせずに答えた。
「今日は一緒に家の中を見て頂いて、色々ご相談したいと思っていたのですが」
「家の事は任せるよ。今までずっと住んでいたんだから、別段問題ないだろう?」
「でも、折角だからデイビッド様の好みとかをお聞きして改装しようかと」
「僕の事は気にしなくて良いから。好きなようにしたらいいさ」
朝食が運ばれくると、デイビッドはあっという間に平らげて、口元を拭きながら席を立つ。
「じゃあ、出かけてくる。
帰りは何時になるかわからないから夕食はいらない。
次から料理はもう少し味付けは濃いめに。
それからボリュームも品数も足りない。料理長に言っておいてくれ」
見送りをしようと立ち上がったアイラに、
「見送りはいらない。
これからも見送りや出迎えは不要だから。行ってくる」
と言って出ていった。
翌日、デイビッドが帰って来たのはお昼すこし前。
陽射しが燦々と降り注いでいた。
「デイビッド様、おかえりなさいませ」
「ただいま」
「あの、昨夜はどちらに」
「知人に会いに行くって言っただろう?
この後着替えたらまた出掛ける。
暫く留守にするから、後のことは任せるよ」
「待ってください。ご一緒に昼食か、せめてお茶でもいかがですか?」
「悪い、急いでいるんだ。
おい、数日分の着替えを準備してくれ。湯浴みと髭剃りもだ」
「かしこまりました」
冷ややかな目つきで、デイビッドを見ていたウィルソンは、メイドに指示を出す為出て行った。
「あの、デイビッド様待ってください。結婚したばかりで外泊ばかりされるのは」
「いいかい? 結婚した途端束縛する妻は嫌われるよ。
お父上の話では、領地の事も家の事も何でも出来る、自慢の娘だそうじゃないか。
僕が出掛けても別に問題はないだろう?」
デイビッドはアイラの方を見もせずに部屋に向かったが、アイラはそれを追いかけながら一生懸命声をかけた。
「そう言うことではなくて、折角結婚したのですから一緒にお話ししたり、お食事も「悪い、人を待たせてるんだ。急がないと」」
その日からデイビッドは、殆ど屋敷に帰って来なくなった。
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