【完結】真実の行方 悠々自適なマイライフを掴むまで

との

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ウォルター

六月

ーーーーーー

 ウィルソンがドアをノックし、暫く待っているとドアが開いた。真っ赤なドレスを着た女性からは、きつい香水の香りと共に酒と煙草の匂いがした。

「領主館から参りました。ウォルター殿はご在宅でしょうか」
「ウォルター? 朝出かけたきり見てないけど?」
「どちらに行かれたか、ご存知ありませんか?」

 女はウィルソンを頭の先から足元まで睨め付けてから聞いてきた。

「てか、あんた誰?」
「失礼いたしました、私はウィルソン・フェインと申します。ウォルター殿にお聞きしたいことがあり参りました。奥様でいらっしゃいますか?」
「そうよぉ、バイオレットって言うの。なんか後ろに一杯いるけど、ウォルターってば何かやらかしたの?」
「いえ、そういう訳では」

「まあいっか、今日は仕事に行かないって言ってたから、多分自警団の詰所かいつもの飲み屋にいるんじゃないかしら? ねぇ、後でうちにおいでよ。話も聞きたいしさぁ。二人っきりで」
 バイオレットだと名乗った女性は、ウィルソンの腕にしなだれかかり、上目遣いで見つめている。ウィルソンはその手を無理矢理外し、
「ありがとうございました。では取り敢えず自警団の詰所に行ってみます。失礼いたしました」
と礼をし、全員で家を後にした。


 ウォルターの家から少し離れた時、アイラが立ち止まった。アイラは両腕を胸の所で組み、ウィルソンを横目で睨んだ。

「ウィルソン、誘われてました。ソフィアに言いつけますよ」
「勘弁してください。殺されます」
「えっ? ソフィアってそんなやきもち焼きなのですか? 意外だわ」
「いえ、そうではなくて。とにかく自警団の詰所に参りましょう」
「誤魔化さなくても言いつけたりしませんわ。大丈夫、私は二人の応援団ですからね」
「それだけはご遠慮させて頂きます」
「?」
「なぁ、アイラ様って天然?」
エドムントがレスターに聞いた。
「やめとけ、それ以上突っ込むとウィルソンに殺されるぞ」
 返事をしたのはギータだった。


「お前達は周りを固めてくれ。中にウォルターがいなければ直ぐに出てくる。もし合図が聞こえたら、飛び込んできてくれ。銃は直ぐ使えるよう準備を。アイラ様、お約束は覚えていらっしゃいますね。絶対にそばを離れないように。よろしいですか?」

「ええ、無茶はしません。指示に従います」


「ウォルター・ラウザーはいるか?」
「あぁ?誰だお前ら」
「お久しぶりです。お会いするのは父の葬儀の時依頼ですわね」
 アイラは被っていたフードを脱ぎ、ウィルソンの後ろから顔を出した。
「「お嬢様!!」」
「私はエジャートン伯爵です。ウォルターさんはどなた?」

 がたがた、バタン。椅子が倒れ、一番奥に座っていた男が逃げ出そうとした。
 アイラがウィルソンの横に並ぶ。

「動かないで!! 撃ちますわよ。腕は確かですから」

 いつの間にか銃を構えていたアイラが、
「他の方々もお座りください。銃はまだみなさんに向いていますから、ゆっくりと動いてくださいね。間違って撃ってしまっては申し訳ありませんから。あっ、お二人とも手はテーブルの上にお出しくださいね。見えないと不安になってしまいますわ。ギータ、椅子を持ってきて、ウォルターさんに座っていただきましょう。そう、椅子はこちらに。ウォルターさんは、手をお膝につけてくださいね。ゆっくりですよ、そうそう。ウィルソン、ウォルターさんにお話を聞いてくださる? きっと全部話してくださると思いますの」

「・・。アイラ様」

 ウィルソンは眉間に皺を寄せて、アイラを睨んでいる。アイラはウォルター達に銃を向けたまま、少し身体をウィルソンに近付けて小声で言った。
「約束は守りましたわ。ウィルソンのそばは離れませんでしたし。無茶もしていませんわ、そうよね? ギータ」
「・・・・」
ギータは聞こえないふりをしている。

「後でじっくりお話ししましょう。さて、ウォルター、誰に頼まれた?」
「知らない。りょっ領主館の使用人で、そいつは上から指示されてきたって言ってた。今回のことはお嬢様のせいだって、その内容は言えないけどお嬢様が酷くショックを受けてるから、さっさと事故扱いにして馬車も処分しろって」

「おかしいと思わなかったのか?」
「・・」
「どんな奴だった?」
「フードを深く被ってて見えなかった」
「背は?」
「あんまり高くなかった」
「話したんだろう?」
「フードで顔隠れてたし、ボソボソ喋ってたし。金を渡して直ぐ帰っていったから」
「他に何か覚えてることは?」
「変な喋り方で、気持ち悪い奴だった。んでいうこと聞かないとヤバそうだって思って」
「金か?」
「仕方なかったんだ。早く金を持って行かないと、バイオレットが別の男と結婚するって。金なら返す、返します。何年かかるか分かんないけど、とにかく返しますから」

「領主権限で、ウォルターを拘束します。もう少しゆっくり、お話しを聞かせていただきましょう」

感想 10

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