【完結】真実の行方 悠々自適なマイライフを掴むまで

との

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一挙両得

十月

ーーーーーー

 シンディから届いた手紙には、更なる無理難題が書かれていた。

『木曜に開催されるポーレット公爵の夜会に参加。シンディ、ブリジットとデイビッドの3人の招待状も準備する事』

 あり得ない。ポーレット公爵は、とても厳格な方だと社交界では有名だ。そんな所に平民のブリジットを連れていくなんて。
 しかもデイビッドといつもの仲間達は、殆どの高位貴族の夜会から締め出しされているのに。

 1年近く前、とある男爵家主催の夜会でのこと。酔っ払ったデイビッド達は広間で大騒ぎした挙句、主催者の令嬢に抱きついた。しかもその時、デイビッドの右手は令嬢のドレスの胸元に入り込んでいたと言う。
 辱めを受けた令嬢はその後一切、夜会には出席しなくなった。

 その時の参加者から話が広がった。元々デイビッド達の素行の悪さに眉を顰めていた人達は、一斉に付き合いを断り始めた。

(そんな人を、ポーレット公爵邸へ連れていくなんて。絶対に無理)

「信じられない、あの人達は何を考えているの?」
 部屋をうろうろと歩き回るアイラを、平静を取り戻したウィルソンが見つめている。

「・・恐らく一挙両得を狙っているのではないでしょうか」
「どう言う事?」

「ブリジットがジファール侯爵狙いなのは間違いありません。それと併せてジファール侯爵に、ポーレット公爵とデイビッドの仲を取り持ってもらうつもりかと」

 ジファール侯爵とポーレット公爵はどちらも広い交友関係を持ち、社交界や議会での発言力が強い。彼らが後ろ盾になれば、今までのデイビッドの悪評など、簡単に帳消しに出来るだろう。

「なんて人達なの、最低だわ。人を利用する事しか考えていないのね。やっぱりお断りするわ、こんなの許せない」
「お待ちください。今回お断りしても、これから先同じ事が繰り返されるでしょう。アイラ様は、ジファール侯爵にお手紙をお書きください。私が届けて参ります」

「駄目よ、絶対に駄目。あんな人達の勝手を許すなんて」
「アイラ様、正攻法が必ずしも正しいとは言えないのですよ」
「では、どうすればいいの?」

「夜会に参加します。その後の事はジファール侯爵にお任せしましょう。あの方はこの手の事には慣れておいでですから」
「貴族の間ではよくある事なの?」
「少なくともジファール侯爵の周りでは」
「お可哀想だわ、こんな事間違ってる」
「ジファール侯爵の自業自得ですね。それをあの方は楽しんでおられる。自分から引き寄せている節もありますし」
感想 10

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