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不安
十一月
ーーーーーー
屋敷に戻りドレスを着替えたアイラは、夕食前にストックトン侯爵を捕まえる為、部屋を出ようとした。
「アイラ様、一日中お出掛けになられたのですから、少し休憩して下さい」
「侯爵を捕まえたいの。今なら鷹狩りの余韻で、口が軽くなってるかもしれないでしょう? さっき、とてもご機嫌が良かったの」
「ウィルソンが帰ってくるまでお待ちください。今日の午後、ストックトン侯爵宛に至急のお手紙が届いたんです」
「至急? でも侯爵は」
「はい、鷹狩りでは場所を移動するのでどこにおられるか分からないって、侯爵の従僕が慌てていたそうです。ウィルソンは今、その手紙の内容を知る為に動いているので、アイラ様はじっとしていて下さい」
アイラは部屋を行ったり来たりしながら、何度も時計を見直していた。
「アイラ様、少し落ち着いてください。絨毯が擦り切れてしまいそうです」
「ウィルソン、遅すぎない?」
「大丈夫ですよ。信じて待ちましょう」
夕食の時間が近付いても、ウィルソンは帰って来なかった。
「どうしよう、ウィルソンに何かあったのかしら。手紙が届いたのは、午後の何時ごろか覚えてる?」
「2時を少し回ったくらいだったと思います」
「と言うことは、それからもう5時間近く経ってるのね。きっと何かあったんだわ。様子を見てくる」
部屋を飛び出そうとするアイラの腕を捕まえ引き留めた。
「いけません。アイラ様は普通に過ごしてください。夕食の時間ですから、食堂にいらっしゃって下さい」
「無理よ、何も食べられないわ」
「無理矢理でも食べたふりをして、皆さんと会話するんです。落ち着いて、周りの方々の様子を伺ってきてください。もしウィルソンに何かあったなら、今までと様子が変わっているはずです」
「ストックトン侯爵?」
「そうです。特に侯爵の様子を、それから侯爵の周りの人の様子も、しっかりと見てきてください」
「ソフィアの言う通りだわ。行って様子を見てくるわ」
「くれぐれもいつも通りですよ」
食堂に入っていったが、思ったより人が少ない。ぽつんぽつんと離れた席にテーブルセットしてあり、トマス達以外は2人ずつで合計4人の客が食事をしているだけだった。
(ストックトン侯爵がいないわ)
「アイラ様、ご案内致します」
案内された席は、トマスとアルフレッドの間。2人とも既にワインを飲んでいる。
「今日は疲れたかい?」
トマスが優しく聞いてくる。
「いえ、終日馬車の移動でしたからまだ元気一杯です」
「今日の参加者は疲れてしまったそうで、ほとんどの方が部屋で夕食を摂るようだよ」
「私はずっと田舎暮らしなので、野外での活動は得意ですの」
夕食がサーブされはじめても、ストックトン侯爵は姿を現さなかった。アイラはチラチラと入り口に目を遣りながら、食事をつついていた。
トマスとアルフレッドが様々な話をしている。今日の鷹狩りの事や、王都で流行りはじめた珍しい料理。議会に提議されたおかしな法案や、貴重な初版本を見つけた事等々。
2人はアイラにも話しかけているが、メインディッシュが運ばれる頃になると、アイラは顔色が悪くなり頓珍漢な返事をしはじめた。
「食事が進まないようだね。苦手な物でも?」
「いえ、どのゲームもとても楽しかったです」
「珍しいワインを手に入れたんだが試してみるかい?」
「はい、あのいろんな種類があってびっくりしました」
トマスとアルフレッドはアイラを暫く見つめた後、小さく頷きあって雑談を再開した。
食堂にはトマス達しか残っていない。もう新しくやってくる人はいないのだろう。使用人達は全員壁際に並んでいる。
アルフレッドが、アイラの腕に軽く触れてから話しかけた。
「アイラ、隣の部屋に移動しようか」
驚いた顔をしたアイラは小声で、
「ストックトン侯爵様も、お部屋でお食事を摂られるのしょうか?」
と問いかけた。
「おいで、向こうで話そう」
自然な仕草で腕を取られ席を立つ。ウィルソンのことが気になって仕方がないアイラは、疲れたからと断りを入れて、部屋に戻ろうと決めた。
「あの、アルフレッド様・・」
「しーっ、大丈夫だからあっちで話そう」
アイラを3人がけのソファに座らせたアルフレッドは、メイドに声をかけた。
「ワインを持ってきてくれるかな。その後この部屋には誰も近づけないように」
メイドはドアを開けたまま出て行き、すぐにワインを持ってきた。
「アイラ、少し飲んでごらん。それから何があったのか話してくれるかな?」
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屋敷に戻りドレスを着替えたアイラは、夕食前にストックトン侯爵を捕まえる為、部屋を出ようとした。
「アイラ様、一日中お出掛けになられたのですから、少し休憩して下さい」
「侯爵を捕まえたいの。今なら鷹狩りの余韻で、口が軽くなってるかもしれないでしょう? さっき、とてもご機嫌が良かったの」
「ウィルソンが帰ってくるまでお待ちください。今日の午後、ストックトン侯爵宛に至急のお手紙が届いたんです」
「至急? でも侯爵は」
「はい、鷹狩りでは場所を移動するのでどこにおられるか分からないって、侯爵の従僕が慌てていたそうです。ウィルソンは今、その手紙の内容を知る為に動いているので、アイラ様はじっとしていて下さい」
アイラは部屋を行ったり来たりしながら、何度も時計を見直していた。
「アイラ様、少し落ち着いてください。絨毯が擦り切れてしまいそうです」
「ウィルソン、遅すぎない?」
「大丈夫ですよ。信じて待ちましょう」
夕食の時間が近付いても、ウィルソンは帰って来なかった。
「どうしよう、ウィルソンに何かあったのかしら。手紙が届いたのは、午後の何時ごろか覚えてる?」
「2時を少し回ったくらいだったと思います」
「と言うことは、それからもう5時間近く経ってるのね。きっと何かあったんだわ。様子を見てくる」
部屋を飛び出そうとするアイラの腕を捕まえ引き留めた。
「いけません。アイラ様は普通に過ごしてください。夕食の時間ですから、食堂にいらっしゃって下さい」
「無理よ、何も食べられないわ」
「無理矢理でも食べたふりをして、皆さんと会話するんです。落ち着いて、周りの方々の様子を伺ってきてください。もしウィルソンに何かあったなら、今までと様子が変わっているはずです」
「ストックトン侯爵?」
「そうです。特に侯爵の様子を、それから侯爵の周りの人の様子も、しっかりと見てきてください」
「ソフィアの言う通りだわ。行って様子を見てくるわ」
「くれぐれもいつも通りですよ」
食堂に入っていったが、思ったより人が少ない。ぽつんぽつんと離れた席にテーブルセットしてあり、トマス達以外は2人ずつで合計4人の客が食事をしているだけだった。
(ストックトン侯爵がいないわ)
「アイラ様、ご案内致します」
案内された席は、トマスとアルフレッドの間。2人とも既にワインを飲んでいる。
「今日は疲れたかい?」
トマスが優しく聞いてくる。
「いえ、終日馬車の移動でしたからまだ元気一杯です」
「今日の参加者は疲れてしまったそうで、ほとんどの方が部屋で夕食を摂るようだよ」
「私はずっと田舎暮らしなので、野外での活動は得意ですの」
夕食がサーブされはじめても、ストックトン侯爵は姿を現さなかった。アイラはチラチラと入り口に目を遣りながら、食事をつついていた。
トマスとアルフレッドが様々な話をしている。今日の鷹狩りの事や、王都で流行りはじめた珍しい料理。議会に提議されたおかしな法案や、貴重な初版本を見つけた事等々。
2人はアイラにも話しかけているが、メインディッシュが運ばれる頃になると、アイラは顔色が悪くなり頓珍漢な返事をしはじめた。
「食事が進まないようだね。苦手な物でも?」
「いえ、どのゲームもとても楽しかったです」
「珍しいワインを手に入れたんだが試してみるかい?」
「はい、あのいろんな種類があってびっくりしました」
トマスとアルフレッドはアイラを暫く見つめた後、小さく頷きあって雑談を再開した。
食堂にはトマス達しか残っていない。もう新しくやってくる人はいないのだろう。使用人達は全員壁際に並んでいる。
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「アイラ、隣の部屋に移動しようか」
驚いた顔をしたアイラは小声で、
「ストックトン侯爵様も、お部屋でお食事を摂られるのしょうか?」
と問いかけた。
「おいで、向こうで話そう」
自然な仕草で腕を取られ席を立つ。ウィルソンのことが気になって仕方がないアイラは、疲れたからと断りを入れて、部屋に戻ろうと決めた。
「あの、アルフレッド様・・」
「しーっ、大丈夫だからあっちで話そう」
アイラを3人がけのソファに座らせたアルフレッドは、メイドに声をかけた。
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