【完結】真実の行方 悠々自適なマイライフを掴むまで

との

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お茶会

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十二月

ーーーーーー

 王宮に着いてすぐ、温室に案内された。温室までは廊下で繋がっており、ドアを開けるとむせかえるほどの花の香りに包まれた。案内に従い奥に進むと、既にセットされたテーブルとソファが置かれていた。

「こちらで少々お待ちください」

 ソファに腰掛けたが、緊張で手足が震えている。周りを伺い、誰もいない事を確認したアイラは、立ち上がり両手を広げて大きく深呼吸した。

「くすくす、面白いご挨拶ですのね」

 慌てて振り返ると、10歳位の女の子が花の陰から覗いていた。服装からしておそらくは。

「失礼しました。第一王女のリリアーナ様でしょうか?」
「ええ、今日は叔父様の大切なお友達がいらっしゃると聞いたので、ここに隠れていましたの」
「気付きませんで、申し訳ありません。不調法をどうかお許しください」

 入り口の方から、数名の人の気配がする。王女に小さく会釈した後、前を向き王妃との対面の準備をした。隣に王女がやって来て並んで立つ。

「お待たせして御免なさいね。あら、リリアーナここにいたのね。侍女が探していたわよ」
「だって、叔父様の大切な方にお会いしたかったんですもの」
 アイラはカーテシーをしたまま、王妃の声かけを待つ。
「顔をあげてちょうだい。王妃のメアリーよ」
「初めてお目にかかります。エジャートン伯爵アイラ・ランズダウンと申します」

「どうぞ掛けてちょうだい。リリアーナ、ご挨拶が済んだのなら、お部屋に戻りなさい」
「でもお母様、まだアイラ様とお話してませんの」
 王女が可愛らしく駄々をこねる。

「貴方はまた今度ね。今日は大人同士で楽しくお喋りする日なの」
「ではアイラ様、今度は私に会いに来てくださいますか?」
 目を輝かせた王女からのお願い、断ったらいけないのだろうか? また王宮に来ると考えただけで、緊張で心臓が止まりそうだ。

「あの、じつは近々領地へ戻る事になっているものですから。お約束を守れるか自信がなくて」
「領地に帰ってしまうのですか?」
「はい、長く不在にしておりましたので。そろそろ帰らなくてはと思っております」

「では仕方ありませんね。リリアーナ、アイラには領地経営と言う、とても大切なお仕事があるの」
「アイラ様はご自分で、領地経営されているのですか?」
「はい、大勢の人達と一緒に」
「すごいです。お母様の法案が実現しているのですね」

 迎えに来た侍女と一緒に、リリアーナが帰っていった。
「ごめんなさいね。驚いたでしょう? 陛下とトマスが甘やかすものだから」

「とても可愛らしい方ですね」
「そう言って下さると助かるわ、何かあるとすぐ家庭教師から逃げ出すのよ」
「いろんな事に興味を持たれるお年頃なのですね」


「授爵した女性で、経営に携わっている方は貴方だけなの。せっかく法案を通しても、みんな人任せだから」
「亡くなったお父様の差配もあって、私は周りの者達に恵まれているのだと思います」

「アイラは全然社交界に出てこなかったでしょう? それどころか領地からも出てこない。なのでお話を聞くチャンスがなくて、困っていたの。もっと早く招待状をお出ししようと思ったのだけど、トマスに止められてしまって」
「トマス様がですか?」
「そうなの、もう少し落ち着いてからでないと、貴女が可哀想だって」
「私は何も知らない田舎者なので、トマス様やアルフレッド様がとても親切に、色々助けて下さいました」

「やあ、とても楽しそうだね。少しお邪魔してもいいかな?」

 陛下が温室に入って来られた事に気付かなかったアイラは、慌てて立ち上がりカーテシーをする。

「気にしないで。今日はごく内輪の集まりだろう? 座って話を聞かせてくれるかな?」
「陛下、早く来すぎですわ」
「女性同士の楽しい時間の邪魔をしてしまったかな?」
「今、アイラからトマスが優しいって聞いたところでしたのに」
「ほう、トマスが優しくするのは特別な相手だけなのだが。そうか、アイラには優しいのか」
 陛下と王妃が妙に機嫌良く微笑んでいる。
「いえ、ご親切にして頂いているだけで、特にその」

「でも夜会では毎回ダンスするとか」
「はい、それはあの」
「トマスがまた、ダンスするようになったのは嬉しい事だね」
「ノーラが亡くなってから、初めてよね」

「鷹狩りにも、一緒に参加したと言っていましたわ」
「はい、大勢の参加者に私も入れて頂きました」
「私も、王太子の頃には何度か参加した事がある。鷹が空を舞う姿に見惚れたのを、今でも覚えているよ」

「陛下、王妃様。お久しぶりです」
「トマス、お前まで来たのか」
「お二人が、アイラを困らせているのではないかと思いまして」
「其方の大切な友人と、友好を深めていただけなんだが」
「いつもの取り巻き達や、付き人を全員置いてですか?」

 トマスが来てくれて安心したアイラは、漸く紅茶のカップに手をのばした・・はずだった。
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