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危険予測
十二月
ーーーーーー
ソフィアと合流し、馬車に乗り込んだ。疲れ果て青褪めているアイラに、ソフィアは何も言えなくなった。ガタゴトと馬車が走り出した。アイラは窓の外をずっと眺めており、無言のまま屋敷に着いた。
着替えを済ませ、ソファで紅茶を飲んでもアイラの緊張は解れない。王宮で何かあったようだ。
「ウィルソンが帰って来たら、話があるって言ってちょうだい。それまでは1人になりたいの」
「かしこまりました」
1人になったアイラは、王宮での会話を思い出す。
トマスが来た事で、アイラは一気に肩の力が抜けた。
(陛下達の誤解が漸く解けるわ)
陛下とトマスが、一月末に行われる建国記念祝賀会の話をしている。来年は建国150周年。祝賀会には隣国から王子、その他多くの大使が出席し、パレードや花火などの華やかなイベントが多数企画されている。
我が国の王太子は現在16歳。隣国の第三王女と婚約している。さ来年、王女の成人と同時に挙式の予定。
「トマスが再婚するなら、来年と言うのはどうかな?」
突然、陛下が話を切り替えて来た。
「随分と急な話ですね」
トマスが苦笑いをしている。
「ノーラは本当に素敵な女性だったわ。あんなに急に病を得るなんて思わなかった」
「しかし、あれからもう二年経つ。良い時期だと思うが?」
「アイラ、貴女はどう思う?」
「はい? 私の意見ですか? あの、トマス様は素晴らしい方です。お相手に選ばれた方は幸せだと思います」
冷や汗をかきそうになりながら、答えるアイラ。トマスは王妃を横目で見ながら、
「メアリー様、アイラが困っています。それ以上はどうかご容赦を」
「でもね、早い者勝ちって言葉を知ってるかしら」
「噂好きの貴族達は、既にあちこちで騒いでおるようでな。余のところまで聞こえて来ておる」
「トマスは詰めが甘いと言うか、呑気すぎて心配なの」
「私が再婚するとしたら、王太子がご結婚されて男児をもうけられた後が良いと思っています」
「確かに、国を思えばそれが正しい判断かもしれん。しかしそれまでは待てまい」
「ええ、その時にはもう別のお相手に攫われてしまっているわ」
「ノーラとは政略結婚だったでしょう? 勿論貴方達はとても仲が良くて、幸せだったのは知っているわ。でも今は王太子もいて、トマスは自由にお相手を選んで良いと思うの」
「お気遣いありがとうございます。相手の方とは何も話していないので、余り先走られては」
その後トマスが、隣国と繋がる街道の整備の話を聞き始めた。漸く話が切り替わり、ほっと一安心したアイラだった。ティーカップを手に取り、口をつけようとした時に王妃が小声で聞いて来た。
「で? アイラはいつ離婚するの?」
ティーカップが手から滑り落ち、テーブルクロスを染めた。
夕方遅く、ウィルソンがグラフトン公爵邸から帰ってきた。
「ビクターは何か話した?」
「いえ、まだ何も。へらへらと話を誤魔化していたかと思えば、傷が痛み出したと騒ぎ出して」
「明日、私が話を聞きにいくわ」
「それは絶対に駄目だと申し上げた筈です」
「ビクターは私になら喋ると思うの。女だって言うだけで、馬鹿にしてくる男の人っているでしょう? デイビッドもそうだけど、ビクターもそう言うタイプだと思うから」
「急にどうされました? 王宮で何かあったのですか?」
「・・別に何もなかったわ。陛下も王妃様もとてもお優しくて。リリアーナ様にもお会いして、とても可愛い方だった。途中からトマス様もいらしたから、話に困る事もなかったし」
「グラフトン公爵ですか?」
「来年の祝賀会の事とか、街道の整備の話とか。お陰で私は座ってるだけで良かったの」
「で? アイラ様が、急いで事を進めたくなった理由は?」
「別に。明日、ビクターの所に行きます」
「と言うことは、明日はグラフトン公爵が外出されて、ご不在と言う事ですね」
「・・」
「想像がつきました。元々、王妃様からの招待状が届いた時点で予測しておりましたし」
「全てを終わらせて領地に帰るわ。仕事が待ってるの」
「逃げ出しますか?」
「まさか! ここに来たのは犯人を捕まえる為。それが終わったら帰るに決まっているじゃない」
「ビクターに喋らせるわ、絶対にね」
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ソフィアと合流し、馬車に乗り込んだ。疲れ果て青褪めているアイラに、ソフィアは何も言えなくなった。ガタゴトと馬車が走り出した。アイラは窓の外をずっと眺めており、無言のまま屋敷に着いた。
着替えを済ませ、ソファで紅茶を飲んでもアイラの緊張は解れない。王宮で何かあったようだ。
「ウィルソンが帰って来たら、話があるって言ってちょうだい。それまでは1人になりたいの」
「かしこまりました」
1人になったアイラは、王宮での会話を思い出す。
トマスが来た事で、アイラは一気に肩の力が抜けた。
(陛下達の誤解が漸く解けるわ)
陛下とトマスが、一月末に行われる建国記念祝賀会の話をしている。来年は建国150周年。祝賀会には隣国から王子、その他多くの大使が出席し、パレードや花火などの華やかなイベントが多数企画されている。
我が国の王太子は現在16歳。隣国の第三王女と婚約している。さ来年、王女の成人と同時に挙式の予定。
「トマスが再婚するなら、来年と言うのはどうかな?」
突然、陛下が話を切り替えて来た。
「随分と急な話ですね」
トマスが苦笑いをしている。
「ノーラは本当に素敵な女性だったわ。あんなに急に病を得るなんて思わなかった」
「しかし、あれからもう二年経つ。良い時期だと思うが?」
「アイラ、貴女はどう思う?」
「はい? 私の意見ですか? あの、トマス様は素晴らしい方です。お相手に選ばれた方は幸せだと思います」
冷や汗をかきそうになりながら、答えるアイラ。トマスは王妃を横目で見ながら、
「メアリー様、アイラが困っています。それ以上はどうかご容赦を」
「でもね、早い者勝ちって言葉を知ってるかしら」
「噂好きの貴族達は、既にあちこちで騒いでおるようでな。余のところまで聞こえて来ておる」
「トマスは詰めが甘いと言うか、呑気すぎて心配なの」
「私が再婚するとしたら、王太子がご結婚されて男児をもうけられた後が良いと思っています」
「確かに、国を思えばそれが正しい判断かもしれん。しかしそれまでは待てまい」
「ええ、その時にはもう別のお相手に攫われてしまっているわ」
「ノーラとは政略結婚だったでしょう? 勿論貴方達はとても仲が良くて、幸せだったのは知っているわ。でも今は王太子もいて、トマスは自由にお相手を選んで良いと思うの」
「お気遣いありがとうございます。相手の方とは何も話していないので、余り先走られては」
その後トマスが、隣国と繋がる街道の整備の話を聞き始めた。漸く話が切り替わり、ほっと一安心したアイラだった。ティーカップを手に取り、口をつけようとした時に王妃が小声で聞いて来た。
「で? アイラはいつ離婚するの?」
ティーカップが手から滑り落ち、テーブルクロスを染めた。
夕方遅く、ウィルソンがグラフトン公爵邸から帰ってきた。
「ビクターは何か話した?」
「いえ、まだ何も。へらへらと話を誤魔化していたかと思えば、傷が痛み出したと騒ぎ出して」
「明日、私が話を聞きにいくわ」
「それは絶対に駄目だと申し上げた筈です」
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「急にどうされました? 王宮で何かあったのですか?」
「・・別に何もなかったわ。陛下も王妃様もとてもお優しくて。リリアーナ様にもお会いして、とても可愛い方だった。途中からトマス様もいらしたから、話に困る事もなかったし」
「グラフトン公爵ですか?」
「来年の祝賀会の事とか、街道の整備の話とか。お陰で私は座ってるだけで良かったの」
「で? アイラ様が、急いで事を進めたくなった理由は?」
「別に。明日、ビクターの所に行きます」
「と言うことは、明日はグラフトン公爵が外出されて、ご不在と言う事ですね」
「・・」
「想像がつきました。元々、王妃様からの招待状が届いた時点で予測しておりましたし」
「全てを終わらせて領地に帰るわ。仕事が待ってるの」
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