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公爵邸
十二月 一部不快な表現があります
ーーーーーー
「ビクター、あなたをエジャートン伯爵領に移送するわ」
「へぇ、だから?」
牢の鉄格子越しに話しかけるアイラ。ビクターはベッドに寝転んだまま、ニヤニヤしながらアイラを見ている。
「領主権限ってご存知かしら? 自身の領内であれば、私が裁判官なの。あなたの事を自由に出来るってことね」
「へえ、面白いじゃねえか。あんたみたいな弱っちい女に何が出来る?」
「色々考えてるわ。お父様達を殺された恨みを晴らさなくちゃって」
「爺さん達は、馬車の事故で勝手におっ死んだんだろ。俺には関係ねえな」
「そうかも。でも、策を練って事故を起こさせた人がいるって言い出した人がいるの。夜遅くにお父様達を呼び出して、事故に遭うよう仕組んだ人が絶対いるって煩いの。それを放っておくのは、ちょっと不味いのよね」
「それが俺だって? 証拠はあんのかよ」
「証拠ねぇ。領主になってまだ日が浅いから調べてる最中だけど、状況証拠って言うので何とかなるんじゃないかって気がついたの。ほら、あれって多分そうだと思うとか、そう言う意味でしょう?」
「お前無茶苦茶だな」
「状況としては、あなたが一番犯人っぽいの。だからあなたを処刑したら、全て終わるってことでしょう? 他にもあなたの仲間がいたら・・。まぁ、それはそれでしょうがないかなって」
「何だそりゃ、お前頭おかしいんじゃないか」
「平民で犯罪者のあなたから、お前呼ばわりされるのは気に入らないわね」
アイラは腕を組み、ビクターを睨みつける。
「まあ良いわ。私ね、初めて夜会とかお茶会に参加したの。今まで勉強とか仕事とかばっかりで。たった一回夜会に参加しただけで、ものすごい数の招待状が届き始めたのよ」
「で、考えたわけ。お父様達のことも染織工房の事も、あなたが全部仕組んだってことで終わらせちゃえば、後は自由なんだって」
時計をチラッと見るアイラ。
「仕事は誰かに後見人でも頼めば良いし」
「それで、誰かが得しても構わねえのか?」
「うーん、大丈夫じゃないかしら。お父様は、使いきれないほどの財産を私に残してくれたし」
「あなたには恨みがあるから丁度良いのよ。私を殴ったのはあなたでしょう。あの時顔を見たから知ってるの」
「ではそう言うことで。明日の朝早くに移送するわ。向こうに着いたら、即処刑じゃなくて拷問? それの手配はしてあるから」
「・・」
「私はこのまま王都に残るけど。あなたがこの間怪我をさせたうちの執事、彼が張り切ってるの。ずっと煮湯を飲まされてた恨みを晴らしたいって。領地に戻って準備するって今朝方出発したわ。彼、結構根に持つタイプだから。まあ、私は見ないから好きにしていいって言ったの」
「では、そう言うことで」
アイラは、また時計を見てその場を立ち去ろうとする。
がしゃん、ビクターが鉄格子にしがみついて怒鳴った。
「待てよ、ふざけんな。何で俺だけが」
アイラは振り返り肩をすくめて、
「だって仕方ないじゃない。いつまでもこんな事に拘ってるなんて時間の無駄でしょ? 王妃様からも招待状を頂いたの、急いでドレスを作りに行かなきゃ間に合わなくなっちゃう」
「全部俺にひっかぶせて、貴族の奴らは無罪釈放か? ふざけんな。企んだのは全部ストックトン侯爵だ。奴が全部仕組んだんだ!」
「そうなの?」
アイラは気の乗らない様子で、手元の時計を確認しため息をついた。
「そうだよ。奴はな、あんたが狙いだったんだ。ジジイ達を殺した後、あんたと子供を手に入れて、領地も財産も全部自分のもんにしようとしてたんだ」
「でも、お父様達を呼び出したのはデイビッドだし? 色々実行したのはあなたでしょう?」
「デイビッドの野郎がいつまでもあんたに手を出さないから、ストックトンはジジイに手が出せなかったんだ。ストックトンの一番の狙いはあんただ」
「言ってる意味が、よく分からないわ。ドレスショップにいく予定があるのよ。だから」
「よく聞け。元々ストックトンはあんたが欲しかった。デイビッドがやった後なら、あんたに手を出しても問題ないって考えた。自分の種でもデイビッドの種でも構わねえ。あんたを腹ましたらジジイ達を殺して、後見人に収まる予定だった。
女なんて、ガキができたら他のことは気にしなくなるからよ。
所がデイビッドはいつ迄経ってもあんたに手を出さねえ。仕方がないから、デイビッドがジジイ達を殺そうとするよう仕向けて、殺させた。お次はブリジットを使って、あんたを引っ張り出したってわけだ」
「ふーん、それだとストックトン侯爵を捕まえるのって難しそうねえ。侯爵が計画を練ったとしても、それだけだし? あれこれ悪い事をしたのって、あなたとデイビッドだけでしょう? 侯爵が計画したって証明するのってなんだか面倒そう」
「証拠ならある。ストックトンが裏切った時の為に隠してある。証人もいるぜ」
「近くへ来いよ、俺と取引しねえか?」
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「ビクター、あなたをエジャートン伯爵領に移送するわ」
「へぇ、だから?」
牢の鉄格子越しに話しかけるアイラ。ビクターはベッドに寝転んだまま、ニヤニヤしながらアイラを見ている。
「領主権限ってご存知かしら? 自身の領内であれば、私が裁判官なの。あなたの事を自由に出来るってことね」
「へえ、面白いじゃねえか。あんたみたいな弱っちい女に何が出来る?」
「色々考えてるわ。お父様達を殺された恨みを晴らさなくちゃって」
「爺さん達は、馬車の事故で勝手におっ死んだんだろ。俺には関係ねえな」
「そうかも。でも、策を練って事故を起こさせた人がいるって言い出した人がいるの。夜遅くにお父様達を呼び出して、事故に遭うよう仕組んだ人が絶対いるって煩いの。それを放っておくのは、ちょっと不味いのよね」
「それが俺だって? 証拠はあんのかよ」
「証拠ねぇ。領主になってまだ日が浅いから調べてる最中だけど、状況証拠って言うので何とかなるんじゃないかって気がついたの。ほら、あれって多分そうだと思うとか、そう言う意味でしょう?」
「お前無茶苦茶だな」
「状況としては、あなたが一番犯人っぽいの。だからあなたを処刑したら、全て終わるってことでしょう? 他にもあなたの仲間がいたら・・。まぁ、それはそれでしょうがないかなって」
「何だそりゃ、お前頭おかしいんじゃないか」
「平民で犯罪者のあなたから、お前呼ばわりされるのは気に入らないわね」
アイラは腕を組み、ビクターを睨みつける。
「まあ良いわ。私ね、初めて夜会とかお茶会に参加したの。今まで勉強とか仕事とかばっかりで。たった一回夜会に参加しただけで、ものすごい数の招待状が届き始めたのよ」
「で、考えたわけ。お父様達のことも染織工房の事も、あなたが全部仕組んだってことで終わらせちゃえば、後は自由なんだって」
時計をチラッと見るアイラ。
「仕事は誰かに後見人でも頼めば良いし」
「それで、誰かが得しても構わねえのか?」
「うーん、大丈夫じゃないかしら。お父様は、使いきれないほどの財産を私に残してくれたし」
「あなたには恨みがあるから丁度良いのよ。私を殴ったのはあなたでしょう。あの時顔を見たから知ってるの」
「ではそう言うことで。明日の朝早くに移送するわ。向こうに着いたら、即処刑じゃなくて拷問? それの手配はしてあるから」
「・・」
「私はこのまま王都に残るけど。あなたがこの間怪我をさせたうちの執事、彼が張り切ってるの。ずっと煮湯を飲まされてた恨みを晴らしたいって。領地に戻って準備するって今朝方出発したわ。彼、結構根に持つタイプだから。まあ、私は見ないから好きにしていいって言ったの」
「では、そう言うことで」
アイラは、また時計を見てその場を立ち去ろうとする。
がしゃん、ビクターが鉄格子にしがみついて怒鳴った。
「待てよ、ふざけんな。何で俺だけが」
アイラは振り返り肩をすくめて、
「だって仕方ないじゃない。いつまでもこんな事に拘ってるなんて時間の無駄でしょ? 王妃様からも招待状を頂いたの、急いでドレスを作りに行かなきゃ間に合わなくなっちゃう」
「全部俺にひっかぶせて、貴族の奴らは無罪釈放か? ふざけんな。企んだのは全部ストックトン侯爵だ。奴が全部仕組んだんだ!」
「そうなの?」
アイラは気の乗らない様子で、手元の時計を確認しため息をついた。
「そうだよ。奴はな、あんたが狙いだったんだ。ジジイ達を殺した後、あんたと子供を手に入れて、領地も財産も全部自分のもんにしようとしてたんだ」
「でも、お父様達を呼び出したのはデイビッドだし? 色々実行したのはあなたでしょう?」
「デイビッドの野郎がいつまでもあんたに手を出さないから、ストックトンはジジイに手が出せなかったんだ。ストックトンの一番の狙いはあんただ」
「言ってる意味が、よく分からないわ。ドレスショップにいく予定があるのよ。だから」
「よく聞け。元々ストックトンはあんたが欲しかった。デイビッドがやった後なら、あんたに手を出しても問題ないって考えた。自分の種でもデイビッドの種でも構わねえ。あんたを腹ましたらジジイ達を殺して、後見人に収まる予定だった。
女なんて、ガキができたら他のことは気にしなくなるからよ。
所がデイビッドはいつ迄経ってもあんたに手を出さねえ。仕方がないから、デイビッドがジジイ達を殺そうとするよう仕向けて、殺させた。お次はブリジットを使って、あんたを引っ張り出したってわけだ」
「ふーん、それだとストックトン侯爵を捕まえるのって難しそうねえ。侯爵が計画を練ったとしても、それだけだし? あれこれ悪い事をしたのって、あなたとデイビッドだけでしょう? 侯爵が計画したって証明するのってなんだか面倒そう」
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