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釣書
二月
ーーーーーー
仮面執事がやってきた。それに比べ、アイラはとても機嫌が良い。
「お呼びでしょうか?」
「ええ。昨夜、ウィルソンの言ったことを考えてみたの。この中から誰かにお会いしてみようと思うのよ」
釣書の山を指さすアイラ。
「どの方に決められたのですか?」
「ウィルソンが選んでちょうだい」
「は?」
「どれでも良いわ。好きなのを選んで?」
「・・肉屋で買い物をする訳ではないんですが」
「肉、肉ね。確かに肉だわ。ウィルソンたら、冗談が冴えてる」
ケラケラと笑うアイラと、眉間に皺を寄せるウィルソン。
ソフィアは、何だか面白そうな事になってきたと、ワクワクしながら様子を伺っている。
「ではこうしましょう。こうやって机の上に広げて・・」
目を瞑ったアイラが適当に指を指す。
「この方にするわ」
拳を握り締めて、震えているウィルソン。
「俺を揶揄うために呼んだんですか?」
「この方法は駄目かしら。では」
アイラは広げた釣書を一つに纏めて、
「上から3番目と7番目。12番目の方にするわ」
「いい加減にして下さい」
「では、次の方法ね」
釣書の山の一番上の封筒を持つ。
「この方は、意地悪かも」
二通目を持つ。
「この方は、ギャンブルが好きかも」
三通目を持つ。
「この方は、嘘つ「中を見ないでどうして分かるんですか?」」
「勘?」
「巫山戯るのはやめてください」
「どうして巫山戯てるって思うのかしら?」
「どう見ても、巫山戯てるとしか思えないでしょうが!」
とうとうウィルソンが怒鳴った。
「まさか。ウィルソンなら、私を一番幸せにしてくれる人を選んでくれるでしょう? ウィルソンを信じてるの」
アイラは真剣な顔で、ウィルソンを見つめた。
領主館からレスターがやってきた。かなり急いでいたのか、疲れ果て顔色も悪い。
「ギータとヘンリーが居なくなりました」
「何があった?」
「夜、2人が殴り合いの喧嘩を始めて。理由は聞いても何も言わなかったんです。その次の朝、2人共居なくなってました」
「・・」
ウィルソンは、横目でチラリとアイラを見た。アイラは蒼白な顔で、固まっている。
「それ迄に、2人に何か変わった様子は?」
「いえ、特に。そろそろアイラ様達が、お帰りになられるんじゃないかって、みんなで話してて。土産話が楽しみだって盛り上がってました」
「レスター、疲れただろう。休憩してくれ。後は何とかする」
レスターが部屋を出た。
「2人のうちのどちらかなのですね?」
「私のせいだわ。逃げてないで、話し合わなくちゃいけなかったのに」
「どっちなんですか?」
「分からないわ。だってビクターの言った事なんて、信じられない。本当かも知れないし、嘘かも」
「行方をくらまそうとしているなら、打つ手はありません。でも、多分ですが2人はここに来る」
「ここに? 何故?」
「使用人の誰か、そいつが奴に手を貸したのは何故なのか。考えても分からないんです。大旦那様達やアイラ様に、二心を抱いていたとは思えませんし、金に困ってるとか脅されたとか。それもあり得ない気がします」
「調べたの?」
「いえ、そこまでは。以前と比べて、態度や様子が変わった者はいなかったので」
「ずっと前から恨んでいたとか?」
「どうでしょうか。2人共、そんな様子はありませんでした。寧ろ他の使用人より勤勉だと思っています」
「それで、どうしてここに来ると思うの?」
「アイラ様に会って断罪される為に」
「彼は、自分のせいでアイラ様が怪我をした事に、ショックを受けているのではないかと思います。裁判が終わって、次は自分の番だと思った筈です。もし悪意を持っていたなら、その時点で逃げ出している。でも逃げなかった」
「では、ここで待ちましょう。無事に着いてくれる事を祈ります」
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仮面執事がやってきた。それに比べ、アイラはとても機嫌が良い。
「お呼びでしょうか?」
「ええ。昨夜、ウィルソンの言ったことを考えてみたの。この中から誰かにお会いしてみようと思うのよ」
釣書の山を指さすアイラ。
「どの方に決められたのですか?」
「ウィルソンが選んでちょうだい」
「は?」
「どれでも良いわ。好きなのを選んで?」
「・・肉屋で買い物をする訳ではないんですが」
「肉、肉ね。確かに肉だわ。ウィルソンたら、冗談が冴えてる」
ケラケラと笑うアイラと、眉間に皺を寄せるウィルソン。
ソフィアは、何だか面白そうな事になってきたと、ワクワクしながら様子を伺っている。
「ではこうしましょう。こうやって机の上に広げて・・」
目を瞑ったアイラが適当に指を指す。
「この方にするわ」
拳を握り締めて、震えているウィルソン。
「俺を揶揄うために呼んだんですか?」
「この方法は駄目かしら。では」
アイラは広げた釣書を一つに纏めて、
「上から3番目と7番目。12番目の方にするわ」
「いい加減にして下さい」
「では、次の方法ね」
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三通目を持つ。
「この方は、嘘つ「中を見ないでどうして分かるんですか?」」
「勘?」
「巫山戯るのはやめてください」
「どうして巫山戯てるって思うのかしら?」
「どう見ても、巫山戯てるとしか思えないでしょうが!」
とうとうウィルソンが怒鳴った。
「まさか。ウィルソンなら、私を一番幸せにしてくれる人を選んでくれるでしょう? ウィルソンを信じてるの」
アイラは真剣な顔で、ウィルソンを見つめた。
領主館からレスターがやってきた。かなり急いでいたのか、疲れ果て顔色も悪い。
「ギータとヘンリーが居なくなりました」
「何があった?」
「夜、2人が殴り合いの喧嘩を始めて。理由は聞いても何も言わなかったんです。その次の朝、2人共居なくなってました」
「・・」
ウィルソンは、横目でチラリとアイラを見た。アイラは蒼白な顔で、固まっている。
「それ迄に、2人に何か変わった様子は?」
「いえ、特に。そろそろアイラ様達が、お帰りになられるんじゃないかって、みんなで話してて。土産話が楽しみだって盛り上がってました」
「レスター、疲れただろう。休憩してくれ。後は何とかする」
レスターが部屋を出た。
「2人のうちのどちらかなのですね?」
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「どっちなんですか?」
「分からないわ。だってビクターの言った事なんて、信じられない。本当かも知れないし、嘘かも」
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「いえ、そこまでは。以前と比べて、態度や様子が変わった者はいなかったので」
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「それで、どうしてここに来ると思うの?」
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「彼は、自分のせいでアイラ様が怪我をした事に、ショックを受けているのではないかと思います。裁判が終わって、次は自分の番だと思った筈です。もし悪意を持っていたなら、その時点で逃げ出している。でも逃げなかった」
「では、ここで待ちましょう。無事に着いてくれる事を祈ります」
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