【完結】婚約破棄の次は白い結婚? ちょっと待って、それって私可哀想すぎると思うんだけど・・

との

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4.母の秘密

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「奥様はとても優秀な錬金術師でいらっしゃいました。
旦那様とご結婚される前から錬金術を極めておられましたが、サリストの大旦那様が多くの薬師を雇って誤魔化しておられました」

「サリスト伯爵家に錬金術師が産まれるなんて聞いたことないわよ?」


「秘密にしておられましたからね。色々と・・大人の世界には色々あるのですよ。お嬢様が知る必要のない事が」


「お父様がいつも私に目立つな・大人しくしなさいって仰るのはそのせい?」

「・・」


「ステラ、教えてちょうだい。今のお父様には聞けないけど全部知りたいの。
今朝お父様が“命の危険” って仰ったの。
ステラは元々お母様の侍女だったんだから、きっとその理由を知っているのでしょう?」


 ステラは長く考え込んでいたが、渋々話し始めた。

「・・奥様は薬を盛られて亡くなったのではないかと思います。
サリスト伯爵家には時折、非常に優秀な錬金術師の女性が産まれるのです。今のサリスト伯爵家には錬金術師はいらっしゃらないようですが」


「誰に殺されたの?」

「分かりません。それは憶測でしか・・」

「それで構わないわ。教えて」

「・・」

「お母様の手帳には『目をつけられた、命の危険』って書いてあったの」


 俯き加減でぼそりボソリと話していたステラだったが、意を決したように顔を上げエリンの目を見つめて話を続けた。


「・・この国は錬金術師の地位がとても高いことをご存知ですか?」

「王宮錬金術師の方々の偉業の話はよく聞くわ。特に師長のマクガバン様は素晴らしい実力の持ち主だとか」


「その陰で多くの錬金術師が命を落としています。病気や怪我の他にも行方不明になったり原因不明の突然死だったり。
その為、王宮錬金術師のメンバーの入れ替わりはあまり行われていません」


「まさか?」

「可能性の一つとしか申し上げられません。奥様が亡くなられた直後、王宮錬金術師の方がやって来られて奥様の亡骸を強引に連れ去って火葬してしまったのです。

理由は魔女疑惑だそうです。魔女の魂が戻ってこないようにとかなんとか。

なので結局何もわかりませんでした」


「それでお父様は、お母様の血を引く私に目立つなと仰ったのね」

「奥様がご結婚される前にも、何度も王宮錬金術師がサリストのお屋敷に来ていました。
大旦那様はそれもあって旦那様との結婚を許されたのです」

「疑いの目を逸らすため?」


 ステラは大きく頷きながら、

「王宮錬金術師はあの時奥様の亡骸と一緒に、お嬢様も連れて行こうとしたんです。
魔女の魂が乗り移らないようにと言って。

旦那様が必死で阻止なさって、結局お嬢様の右腕の印を確認して帰られました」

「印って何?」

「錬金術師の右腕には生まれつき赤い龍のあざがあります。
そのあざは、錬金術師の力を龍神様が認めた証だとか祝福の証だとか言われています」


「・・それ、左腕にあるわ」

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