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8.後見人GET
イライザとシエナの攻防をハラハラしながら見ていたジェイクは、手もみしそうな勢いで身を乗り出していた。
「イライザ、話は纏まったかな? 私は帰る前に、コートを個人的に手がける条件というのを聞いておきたいんだ」
シエナは意を決して話し出した。
「離婚訴訟の前後だけ、後見人になってくださる高位貴族の方を探しています。私の夫は伯爵家の三男ですので、平民からの申し立てが受理されるかどうか不安があるものですから」
「随分と意外な望みだね。離婚して商会を離れたら、商会はどうなるんだい?」
「結婚時の契約で、離婚した場合は理由を問わず商会は相手方のものになると決められております」
「商会は元々ウォーカー家の物なのに?」
「それはそうなのですが、色々ありまして⋯⋯そのような契約が結ばれてしまったのです」
「キャンベル伯爵は離婚を認めないと考えてるのね?」
「いえ、離婚自体は問題ないと思います。元々結婚相手とは一度もお会いした事もありませんし、伯爵家は商会を丸々手に入れられるわけですから」
「では何故後見人が必要なの?」
「伯爵家からこれ以上の無理難題を言われない為、親しい人達を守る為の保険のような感じです」
「詳しく聞かせてくれるかしら? 内容によっては私も後見人になりましょう」
シエナは八歳で結婚した当初から、現在の状況までを説明した。
「とんだ古狐ね、あの体型だと古狸だわ。相手が平民だとしても、やって良い事のレベルを超えているわね。良いでしょう、私も後見人になります」
「勿論私も後見人になるとも。刺繍を手に入れたい邪な気持ちはあるが、それよりも今は怒りの方が大きい。
キャンベル伯爵のやった事は貴族の面汚しだ。そんな非道が12年も罷り通っていたなど到底許せるものではない」
荷物を片付け公爵邸を後にした二人が、シエナの自宅に戻り⋯⋯家の前で馬車を降りると、クロエが慌てて飛び出してきた。
「で、どうだった?」
シエナはクロエに飛び付いた。
「大成功よ! 商品のお買い上げと注文を沢山いただいたの。しかも後見人を二人もゲットしたわ」
「マジ? 良かった~。中に入って詳しく聞かせて」
家に入りルカがコーヒーの準備をする間に、ドレスを片付けて公爵邸での一部始終をクロエに話した。
台所にいるルカの元に行ってコーヒーを受け取ったクロエが、わざとらしく溜め息をついた。
「ああ、やっぱり一緒に行けばよかったわ。平民が公爵夫人に啖呵を切るとこなんて絶対見られないもの。
シエナったら、ほんとに怖いもの知らずなんだから。ご機嫌を損ねたらどうしようとか思わなかったの?」
「うーん、何となく媚びちゃダメだって思ったの。平民だからって下手に出てたら、真面に話を聞いてくれなさそうな気がしたのよね」
「それを近くで黙って見てる俺の身にもなってくれよ。心臓が破裂するかと思ったよ」
「クロエについてきて貰えば良かったって私も思ったわ。ルカなんて、荷物持ちとトルソーの組み立て以外、役に立たないんだもの」
「仕方ないだろ? ドレスなんて扱い方分かるわけないし」
「あんたは脱がす専門だもんねえ」
クロエがとんでもないことを言い出した。
「ばっ、馬鹿げたこと言うな。シエナが本気にしたらどうすんだよ」
クロエがドヤ顔で、サムズアップした。
「少しは男として意識してもらえるかもよ?」
「イライザ、話は纏まったかな? 私は帰る前に、コートを個人的に手がける条件というのを聞いておきたいんだ」
シエナは意を決して話し出した。
「離婚訴訟の前後だけ、後見人になってくださる高位貴族の方を探しています。私の夫は伯爵家の三男ですので、平民からの申し立てが受理されるかどうか不安があるものですから」
「随分と意外な望みだね。離婚して商会を離れたら、商会はどうなるんだい?」
「結婚時の契約で、離婚した場合は理由を問わず商会は相手方のものになると決められております」
「商会は元々ウォーカー家の物なのに?」
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「いえ、離婚自体は問題ないと思います。元々結婚相手とは一度もお会いした事もありませんし、伯爵家は商会を丸々手に入れられるわけですから」
「では何故後見人が必要なの?」
「伯爵家からこれ以上の無理難題を言われない為、親しい人達を守る為の保険のような感じです」
「詳しく聞かせてくれるかしら? 内容によっては私も後見人になりましょう」
シエナは八歳で結婚した当初から、現在の状況までを説明した。
「とんだ古狐ね、あの体型だと古狸だわ。相手が平民だとしても、やって良い事のレベルを超えているわね。良いでしょう、私も後見人になります」
「勿論私も後見人になるとも。刺繍を手に入れたい邪な気持ちはあるが、それよりも今は怒りの方が大きい。
キャンベル伯爵のやった事は貴族の面汚しだ。そんな非道が12年も罷り通っていたなど到底許せるものではない」
荷物を片付け公爵邸を後にした二人が、シエナの自宅に戻り⋯⋯家の前で馬車を降りると、クロエが慌てて飛び出してきた。
「で、どうだった?」
シエナはクロエに飛び付いた。
「大成功よ! 商品のお買い上げと注文を沢山いただいたの。しかも後見人を二人もゲットしたわ」
「マジ? 良かった~。中に入って詳しく聞かせて」
家に入りルカがコーヒーの準備をする間に、ドレスを片付けて公爵邸での一部始終をクロエに話した。
台所にいるルカの元に行ってコーヒーを受け取ったクロエが、わざとらしく溜め息をついた。
「ああ、やっぱり一緒に行けばよかったわ。平民が公爵夫人に啖呵を切るとこなんて絶対見られないもの。
シエナったら、ほんとに怖いもの知らずなんだから。ご機嫌を損ねたらどうしようとか思わなかったの?」
「うーん、何となく媚びちゃダメだって思ったの。平民だからって下手に出てたら、真面に話を聞いてくれなさそうな気がしたのよね」
「それを近くで黙って見てる俺の身にもなってくれよ。心臓が破裂するかと思ったよ」
「クロエについてきて貰えば良かったって私も思ったわ。ルカなんて、荷物持ちとトルソーの組み立て以外、役に立たないんだもの」
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