12 / 14
10.待ち望んだ断罪の時
「まず始めにこの結婚の成り立ちから反論させていただきます。
キャンベル伯爵様はウォーカー商会の利権を狙い、亡くなった父を追い詰め脅迫し、オスカー様と私を結婚させました。そして、12年の間ウォーカー商会の利益の50%を搾取し続け、この離婚によってウォーカー商会そのものを手に入れるのです。
そのような不利益極まりない契約を、結婚当時に結ばされました」
「嘘だ! 証拠があるのか」
「証人として、当時伯爵様に拉致監禁された当商会員の家族を連れてきております」
法廷横のドアから三人の女性が入ってきた。皆緊張した面持ちで法廷内を見廻し、キャンベル伯爵を見て顔を引き攣らせた。
「えーっと、あなた方を拉致監禁したのは、あそこに座っているキャンベル伯爵で間違いありませんな?」
「はい、当時はまだお髪もふさふさで、お腹ももっとスッキリしておられましたが、間違いありません」
キャンベル伯爵が立ち上がり机をバーンと叩いた。
「平民の言う事など誰が信じるか! 判事殿、このような下賤な輩の戯言を聞いている暇などない。私は伯爵だぞ。さっさと判決を出して貰おうか!」
「私はもう少し詳しく聞きたいと思っておりますが?」
「平民が貴族を断罪するなどあり得ん! シエナ、ただで済むと思うなよ」
傍聴席から女性の声が響いてきた。
「ただで済まなければ、どうなさると仰るのかしら?」
傍聴席の後ろの席から、三人の紳士淑女が立ち上がった。
「こっこれは、アーリントン公爵夫人、ストレンジ公爵とダートマス侯爵。このような場所にどうして⋯⋯」
「我々三人はシエナ・ウォーカー殿の後見人をしております」
「貴殿がシエナの父親を追い詰める為に利用した、銀行の元頭取の供述書は私が持参しておる」
キャンベル伯爵は真っ青になって椅子に倒れ込み、頭を抱えてしまった。
最初からずっと座ったまま傍観していたオスカーは、何が起きているのか分からず、間抜け面を晒したまま。
「父上、俺の取り分は? 商会は貰えるんだよね」
シエナはイザベラ達に頭を下げた後⋯⋯。
「判事殿、最後に一言だけ⋯⋯キャンベル伯爵に申し上げたいことがございますが宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「キャンベル伯爵様、刺繍デザイナーをお探しとお聞きしました。刺繍のデザインは全て、私がしておりましたの。これで弁償金のお話も片がつきましたかしら?
判事殿、判決をお願いできますでしょうか?」
判事はシエナにむけて大きく頷いた。
「オスカー・キャンベル殿にお聞きしたい。シエナ・ウォーカーとの結婚が白い結婚だったと認めますか?」
「えーっと、父上これって認めても良いやつ? ヤバいやつ?」
「認めるな、馬鹿者! 判事殿この二人は12年もの長い間結婚生活を送っておりました。今更白い結婚などと、馬鹿げた話を聞く必要などありませんぞ」
傍聴席のクロエが突然立ち上がって、オスカーに向けて両手を振った。
「オスカー様ぁ、ほんとのシエナはこっちですぅ。間違わないでぇ」
オスカーは法廷のシエナと傍聴席のクロエを見比べて首を傾げた。
「えっ? 父上、どっちが本物のシエナなの?」
「⋯⋯どうやら白い結婚は間違いありませんな。自分の妻の顔も分からんとは。
判決を申し渡します。オスカー・キャンベルとシエナ・ウォーカーの婚姻は無効。従って、12年間ウォーカー商会から搾取した収益はシエナ・ウォーカーへ返還し、ウォーカー商会はシエナ・ウォーカーのものとする。
ジョージ・キャンベル伯爵並びにオスカー・キャンベルが返済の義務を怠った場合、身分剥奪の上犯罪奴隷として鉱山送りとする」
クロエが判事に親指を立ててサムズアップすると、判事がニヤッと笑い小さくサムズアップしていた。
キャンベル伯爵様はウォーカー商会の利権を狙い、亡くなった父を追い詰め脅迫し、オスカー様と私を結婚させました。そして、12年の間ウォーカー商会の利益の50%を搾取し続け、この離婚によってウォーカー商会そのものを手に入れるのです。
そのような不利益極まりない契約を、結婚当時に結ばされました」
「嘘だ! 証拠があるのか」
「証人として、当時伯爵様に拉致監禁された当商会員の家族を連れてきております」
法廷横のドアから三人の女性が入ってきた。皆緊張した面持ちで法廷内を見廻し、キャンベル伯爵を見て顔を引き攣らせた。
「えーっと、あなた方を拉致監禁したのは、あそこに座っているキャンベル伯爵で間違いありませんな?」
「はい、当時はまだお髪もふさふさで、お腹ももっとスッキリしておられましたが、間違いありません」
キャンベル伯爵が立ち上がり机をバーンと叩いた。
「平民の言う事など誰が信じるか! 判事殿、このような下賤な輩の戯言を聞いている暇などない。私は伯爵だぞ。さっさと判決を出して貰おうか!」
「私はもう少し詳しく聞きたいと思っておりますが?」
「平民が貴族を断罪するなどあり得ん! シエナ、ただで済むと思うなよ」
傍聴席から女性の声が響いてきた。
「ただで済まなければ、どうなさると仰るのかしら?」
傍聴席の後ろの席から、三人の紳士淑女が立ち上がった。
「こっこれは、アーリントン公爵夫人、ストレンジ公爵とダートマス侯爵。このような場所にどうして⋯⋯」
「我々三人はシエナ・ウォーカー殿の後見人をしております」
「貴殿がシエナの父親を追い詰める為に利用した、銀行の元頭取の供述書は私が持参しておる」
キャンベル伯爵は真っ青になって椅子に倒れ込み、頭を抱えてしまった。
最初からずっと座ったまま傍観していたオスカーは、何が起きているのか分からず、間抜け面を晒したまま。
「父上、俺の取り分は? 商会は貰えるんだよね」
シエナはイザベラ達に頭を下げた後⋯⋯。
「判事殿、最後に一言だけ⋯⋯キャンベル伯爵に申し上げたいことがございますが宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「キャンベル伯爵様、刺繍デザイナーをお探しとお聞きしました。刺繍のデザインは全て、私がしておりましたの。これで弁償金のお話も片がつきましたかしら?
判事殿、判決をお願いできますでしょうか?」
判事はシエナにむけて大きく頷いた。
「オスカー・キャンベル殿にお聞きしたい。シエナ・ウォーカーとの結婚が白い結婚だったと認めますか?」
「えーっと、父上これって認めても良いやつ? ヤバいやつ?」
「認めるな、馬鹿者! 判事殿この二人は12年もの長い間結婚生活を送っておりました。今更白い結婚などと、馬鹿げた話を聞く必要などありませんぞ」
傍聴席のクロエが突然立ち上がって、オスカーに向けて両手を振った。
「オスカー様ぁ、ほんとのシエナはこっちですぅ。間違わないでぇ」
オスカーは法廷のシエナと傍聴席のクロエを見比べて首を傾げた。
「えっ? 父上、どっちが本物のシエナなの?」
「⋯⋯どうやら白い結婚は間違いありませんな。自分の妻の顔も分からんとは。
判決を申し渡します。オスカー・キャンベルとシエナ・ウォーカーの婚姻は無効。従って、12年間ウォーカー商会から搾取した収益はシエナ・ウォーカーへ返還し、ウォーカー商会はシエナ・ウォーカーのものとする。
ジョージ・キャンベル伯爵並びにオスカー・キャンベルが返済の義務を怠った場合、身分剥奪の上犯罪奴隷として鉱山送りとする」
クロエが判事に親指を立ててサムズアップすると、判事がニヤッと笑い小さくサムズアップしていた。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
【完結済】結婚式の翌日、私はこの結婚が白い結婚であることを知りました。
鳴宮野々花
恋愛
共に伯爵家の令嬢と令息であるアミカとミッチェルは幸せな結婚式を挙げた。ところがその夜ミッチェルの体調が悪くなり、二人は別々の寝室で休むことに。
その翌日、アミカは偶然街でミッチェルと自分の友人であるポーラの不貞の事実を知ってしまう。激しく落胆するアミカだったが、侯爵令息のマキシミリアーノの助けを借りながら二人の不貞の証拠を押さえ、こちらの有責にされないように離婚にこぎつけようとする。
ところが、これは白い結婚だと不貞の相手であるポーラに言っていたはずなのに、日が経つごとにミッチェルの様子が徐々におかしくなってきて───
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかパーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
殿下が私を愛していないことは知っていますから。
木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。
しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。
夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。
危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。
「……いつも会いに来られなくてすまないな」
そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。
彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。
「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」
そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。
すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。
その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています