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ループ
147.精霊王ってどんな人?
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教会で一泊し外がまだ暗いうちにローザリア達は騎馬で森にやって来た。
「ここの様子はどうだ?」
「前とあまり変わらなくて、他より空気が美味しい気がします」
陽が登り靄が薄れはじめた頃広場についたローザリア達は前回と違って荷物を最小限しか持って来ていない。
「水しかねえし、朝飯の時間までに終わらせるか」
「お茶、淹れられますよ」
アイテムボックスからゴソゴソとポットや茶葉を出しはじめたローザリアを全員が凝視している。
「あっ! お菓子もあります。時間停止がかかってるから大丈夫だと⋯⋯」
「ローザリア、お前どこから出してるんだ?」
「アイテムボックスって言って異空間収納ですね。前の時入れた物が全部残ってるんで驚きました」
呆然とするナザエル神父達に気付かないまま『ほんとラッキーでした』と呑気に呟いていたローザリアは、はたと手を止めた。
ギギギと首を回したローザリアはナザエル神父達の驚く顔を見て青褪めた。
「すみません。みんなが知らないって忘れてました」
「異空間収納⋯⋯昔の資料にあったな。伝説だと言われて持ってた奴は今も昔もいねえはず」
「何だか面白そうですけど、気をつけないとこの子は色々やらかしそうですねぇ」
ニールの最もな意見に全員が頷いていた。
「折角だ。気を取り直して茶を沸かすか」
ニールが竃を作る間にナスタリア助祭が枝を集めた。敷物を広げお茶の準備が終わる頃には朝日が木の間からキラキラと輝いていた。
微妙な空気の流れる中で腹ごしらえ。
「ローザリア、他に何を隠してる?」
ナザエル神父の警戒するような目に射すくめられてローザリアが小さくなった。
「えーっと、よくわかりません。全部前と一緒なのか違うのかも調べきれてないんで」
「⋯⋯当分コイツは一人にはできんな」
全員で祠に行くとナザエル神父が言うとニールが反対した。
「俺達まで行ったらヤバいんじゃないですかぁ? だって、あそこって聖域でしょ?」
「俺も行き方を教えられたばっかだから行けるかどうか分からんが⋯⋯多分怒られねえと⋯⋯まあ、何とかなるだろ」
最悪、教会は精霊王の紋章を見せれば大人しくなるし、残った奴に説明するのは面倒だと言い切ったナザエル神父の後を全員がついて行った。
結界の中、石碑に触れたローザリアの周りに光の玉が溢れ精霊王が現れた。
【お帰り、ローザリア】
「マジか⋯⋯」
【マジ、マジ】
相変わらずフランクな精霊王と精霊達の姿に度肝を抜かれたナザエル神父達が呆然としている。
石碑に片肘をついた精霊王は呑気な笑みを浮かべ、精霊達は精霊王の肩に座る・髪を引っ張る・ローブを引っ張ると好き勝手に遊んでいる。
【こら、やめろって⋯⋯精霊王の威厳が!】
【だって嬉しいの~】
【ナザちゃん、髪が黒ーい】
【ナスタ君ちっこーい】
【ニールがイケメン】
「⋯⋯前回、俺達はそう呼ばれてたわけか」
【さて、ローザリア。君がなぜ戻ってこれたか分かるかな?】
「やらなきゃいけないからですか?」
【選ぶ為、そして望まれたから⋯⋯。
今日のローザリアは前とは違う目をしてる、すごくいい目だ。今のローザリアなら頑張れるだろう。
だけど、嫌なら逃げ出してもいいんだ。別の国に行けば平穏な暮らしができるかもしれない。それを決めるのは君自身だからね。他のみんなも同じだ、選べばいい】
「精霊王と精霊は選択肢を出しても選択はしない⋯⋯ですか?」
【その通り、選ぶのは君達だ。俺達は選択したり押し付けたりしてはいけないと定められている。
君達は何もせず逃げ出す道も残されているし、ジンと戦うこともできる】
「⋯⋯逃げる」
【逃げられると思ってなかったみたいだね。今の状況でローザリアがこの国を捨てればほとんどの精霊達は君について行くだろうが別に問題はない。
ジンはこの国に縛られているからついて行くことができない。だから、逃げられる】
「その時、精霊王はどうなるのですか?」
【俺は自由だからなんの問題もない。自由に行きたい時に行きたい所へ行ける】
「精霊王、ジンから我々が逃げたらこの国はどうなりますか?」
ナザエル枢機卿が真剣な目で問いただした。
「ここの様子はどうだ?」
「前とあまり変わらなくて、他より空気が美味しい気がします」
陽が登り靄が薄れはじめた頃広場についたローザリア達は前回と違って荷物を最小限しか持って来ていない。
「水しかねえし、朝飯の時間までに終わらせるか」
「お茶、淹れられますよ」
アイテムボックスからゴソゴソとポットや茶葉を出しはじめたローザリアを全員が凝視している。
「あっ! お菓子もあります。時間停止がかかってるから大丈夫だと⋯⋯」
「ローザリア、お前どこから出してるんだ?」
「アイテムボックスって言って異空間収納ですね。前の時入れた物が全部残ってるんで驚きました」
呆然とするナザエル神父達に気付かないまま『ほんとラッキーでした』と呑気に呟いていたローザリアは、はたと手を止めた。
ギギギと首を回したローザリアはナザエル神父達の驚く顔を見て青褪めた。
「すみません。みんなが知らないって忘れてました」
「異空間収納⋯⋯昔の資料にあったな。伝説だと言われて持ってた奴は今も昔もいねえはず」
「何だか面白そうですけど、気をつけないとこの子は色々やらかしそうですねぇ」
ニールの最もな意見に全員が頷いていた。
「折角だ。気を取り直して茶を沸かすか」
ニールが竃を作る間にナスタリア助祭が枝を集めた。敷物を広げお茶の準備が終わる頃には朝日が木の間からキラキラと輝いていた。
微妙な空気の流れる中で腹ごしらえ。
「ローザリア、他に何を隠してる?」
ナザエル神父の警戒するような目に射すくめられてローザリアが小さくなった。
「えーっと、よくわかりません。全部前と一緒なのか違うのかも調べきれてないんで」
「⋯⋯当分コイツは一人にはできんな」
全員で祠に行くとナザエル神父が言うとニールが反対した。
「俺達まで行ったらヤバいんじゃないですかぁ? だって、あそこって聖域でしょ?」
「俺も行き方を教えられたばっかだから行けるかどうか分からんが⋯⋯多分怒られねえと⋯⋯まあ、何とかなるだろ」
最悪、教会は精霊王の紋章を見せれば大人しくなるし、残った奴に説明するのは面倒だと言い切ったナザエル神父の後を全員がついて行った。
結界の中、石碑に触れたローザリアの周りに光の玉が溢れ精霊王が現れた。
【お帰り、ローザリア】
「マジか⋯⋯」
【マジ、マジ】
相変わらずフランクな精霊王と精霊達の姿に度肝を抜かれたナザエル神父達が呆然としている。
石碑に片肘をついた精霊王は呑気な笑みを浮かべ、精霊達は精霊王の肩に座る・髪を引っ張る・ローブを引っ張ると好き勝手に遊んでいる。
【こら、やめろって⋯⋯精霊王の威厳が!】
【だって嬉しいの~】
【ナザちゃん、髪が黒ーい】
【ナスタ君ちっこーい】
【ニールがイケメン】
「⋯⋯前回、俺達はそう呼ばれてたわけか」
【さて、ローザリア。君がなぜ戻ってこれたか分かるかな?】
「やらなきゃいけないからですか?」
【選ぶ為、そして望まれたから⋯⋯。
今日のローザリアは前とは違う目をしてる、すごくいい目だ。今のローザリアなら頑張れるだろう。
だけど、嫌なら逃げ出してもいいんだ。別の国に行けば平穏な暮らしができるかもしれない。それを決めるのは君自身だからね。他のみんなも同じだ、選べばいい】
「精霊王と精霊は選択肢を出しても選択はしない⋯⋯ですか?」
【その通り、選ぶのは君達だ。俺達は選択したり押し付けたりしてはいけないと定められている。
君達は何もせず逃げ出す道も残されているし、ジンと戦うこともできる】
「⋯⋯逃げる」
【逃げられると思ってなかったみたいだね。今の状況でローザリアがこの国を捨てればほとんどの精霊達は君について行くだろうが別に問題はない。
ジンはこの国に縛られているからついて行くことができない。だから、逃げられる】
「その時、精霊王はどうなるのですか?」
【俺は自由だからなんの問題もない。自由に行きたい時に行きたい所へ行ける】
「精霊王、ジンから我々が逃げたらこの国はどうなりますか?」
ナザエル枢機卿が真剣な目で問いただした。
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