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ループ
151.ナスタリア助祭の読み通り
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「こんな事だと思ったんだ。やっぱり準備しといて正解だったよ」
昼間、何気ないふりを装い王都の地図を凝視しているローザリアに気がついたナスタリア助祭はナザエル神父に声をかけていた。
『王都の地図をこっそり見てたから、ローザリアは一人でホルステン伯爵領とニコシア侯爵領に行くつもりだと思うよ』
『9歳のガキが一人であんな遠くまで行けるわけねえだろ? あっという間に拐われて売られちまうって馬鹿でも分かる』
『ホルステン伯爵領とニコシア侯爵領迄の道も暗記してたみたいだし、本気だと思う。僕達がこの先どうするか決めきれてないのに巻き込めないとか思ってそうな気がする』
『はあ、めんどくせぇ奴。念の為出発の準備しとけってか?』
『おじさんがそーいうことを言うから遠慮するんじゃない? その厳つい見た目でため息とかつかれたら誰だって怯えるよ』
ナスタリア助祭が嫌そうな顔でナザエル神父を睨みつけたがふんっと鼻で笑われた。
『水魔法で俺をやっつけて、ドヤ顔した奴が怯える? ないない、ぜってえありえん』
『かけてもいい。あの子は開口一番ごめんなさいって謝ると思う⋯⋯強気のふりをしてるけど臆病な子で⋯⋯うん、ぺこぺこ謝ると思う』
「ごめんなさい⋯⋯あの、ご迷惑をかけて申し訳ありません。エリ、エリサの事だけお願いできたらこれ以上は⋯⋯」
「ほらぁ、僕の言った通りじゃん」
ナスタリア助祭が後ろを振り向いて溜息をついた。
「ここで騒ぐのはマズい。行くぞ!」
仏頂面をしているに違いないナザエル神父がローザリアを抱え上げて自分の前に乗せ馬を走らせはじめた。その後ろを3頭の馬がついてくる。
「あの、ほんと⋯⋯ごめんなさい。こんな夜にお騒がせして、あの」
「黙ってろ。舌噛むぞ」
今まで聞いたことがないほど不機嫌な声にローザリアは息を飲んだ。
(昼間にすれば良かった。手紙を置いて昼間出ればこんなに怒らなかったはず)
自分の手際の悪さにしょんぼりとしたローザリアは馬が停まるまで小さくなって怯えていた。
北の関所近くの空き地で馬を停めたナザエル神父は無言でローザリアを馬から下ろし目の前に仁王立ちした。ローザリアは腕組みをしたナザエル神父の半分くらいの背丈しかない。
「そんなに俺達が信用できねえか?」
「いっ、いえ。そうではなくて。これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいかないと⋯⋯昼間出て行けば良かったのに配慮が足りませんでした。申し訳ございません」
頭を下げて膝をついたローザリアの上から大きな溜息が聞こえてきた。
「ナスタリア助祭の言う通りだったな。ローザリア、謝るな。俺は怒っちゃいねえ、ちょっと慌てはしたがな。
それと信用されてねえのもしょうがねえとわかってる⋯⋯わかっちゃいるが、なあ」
「一人でもなんとかなると思うんです。前回で少しは勉強しましたから⋯⋯身体強化も使えるんで体力的にも問題ないですし、お腹が空いてもパンを持ってますし」
「俺達が邪魔か?」
「まさか! 逆です、逆ですから⋯⋯邪魔してるのは私なんです。皆さんはどうするのか決めてから行動されればいいと思うんです。あそこに行きたいと思うのは私の勝手な思いなんで」
「ならこのまま行くとするか。大体の準備はできてるし、足りないもんは現地調達すりゃあいい」
「そうですね。ローザリア様に置いていかれたのはとても悲しかったです」
「エ、エリサ⋯⋯」
追いかけてきたのはナザエル神父とナスタリア助祭だけでなく、ニールとエリサもだった。
「久しぶりでしたけど馬から振り落とされなくて安心しました」
元は田舎暮らしのエリサは公爵家に奉公に上がるまでは馬を乗り回していたそうだが、それ以来はじめての乗馬だったらしい。
「もうじき夜明けだ。門番が起きてくるまで休憩だな。ローザリアはそれまでエリサのお小言でも聞いとけ。2度と馬鹿なことをしねえように、しこたまケツでも叩いてもらえ」
ドヤ顔のナスタリア助祭を見ないように顔を背けたナザエル神父は胡座をかいて座り込んだ。
「ガキの心理はガキが一番分かるって奴だな」
「ふーんだ、おじさんの負け惜しみなんて可愛くないね」
昼間、何気ないふりを装い王都の地図を凝視しているローザリアに気がついたナスタリア助祭はナザエル神父に声をかけていた。
『王都の地図をこっそり見てたから、ローザリアは一人でホルステン伯爵領とニコシア侯爵領に行くつもりだと思うよ』
『9歳のガキが一人であんな遠くまで行けるわけねえだろ? あっという間に拐われて売られちまうって馬鹿でも分かる』
『ホルステン伯爵領とニコシア侯爵領迄の道も暗記してたみたいだし、本気だと思う。僕達がこの先どうするか決めきれてないのに巻き込めないとか思ってそうな気がする』
『はあ、めんどくせぇ奴。念の為出発の準備しとけってか?』
『おじさんがそーいうことを言うから遠慮するんじゃない? その厳つい見た目でため息とかつかれたら誰だって怯えるよ』
ナスタリア助祭が嫌そうな顔でナザエル神父を睨みつけたがふんっと鼻で笑われた。
『水魔法で俺をやっつけて、ドヤ顔した奴が怯える? ないない、ぜってえありえん』
『かけてもいい。あの子は開口一番ごめんなさいって謝ると思う⋯⋯強気のふりをしてるけど臆病な子で⋯⋯うん、ぺこぺこ謝ると思う』
「ごめんなさい⋯⋯あの、ご迷惑をかけて申し訳ありません。エリ、エリサの事だけお願いできたらこれ以上は⋯⋯」
「ほらぁ、僕の言った通りじゃん」
ナスタリア助祭が後ろを振り向いて溜息をついた。
「ここで騒ぐのはマズい。行くぞ!」
仏頂面をしているに違いないナザエル神父がローザリアを抱え上げて自分の前に乗せ馬を走らせはじめた。その後ろを3頭の馬がついてくる。
「あの、ほんと⋯⋯ごめんなさい。こんな夜にお騒がせして、あの」
「黙ってろ。舌噛むぞ」
今まで聞いたことがないほど不機嫌な声にローザリアは息を飲んだ。
(昼間にすれば良かった。手紙を置いて昼間出ればこんなに怒らなかったはず)
自分の手際の悪さにしょんぼりとしたローザリアは馬が停まるまで小さくなって怯えていた。
北の関所近くの空き地で馬を停めたナザエル神父は無言でローザリアを馬から下ろし目の前に仁王立ちした。ローザリアは腕組みをしたナザエル神父の半分くらいの背丈しかない。
「そんなに俺達が信用できねえか?」
「いっ、いえ。そうではなくて。これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいかないと⋯⋯昼間出て行けば良かったのに配慮が足りませんでした。申し訳ございません」
頭を下げて膝をついたローザリアの上から大きな溜息が聞こえてきた。
「ナスタリア助祭の言う通りだったな。ローザリア、謝るな。俺は怒っちゃいねえ、ちょっと慌てはしたがな。
それと信用されてねえのもしょうがねえとわかってる⋯⋯わかっちゃいるが、なあ」
「一人でもなんとかなると思うんです。前回で少しは勉強しましたから⋯⋯身体強化も使えるんで体力的にも問題ないですし、お腹が空いてもパンを持ってますし」
「俺達が邪魔か?」
「まさか! 逆です、逆ですから⋯⋯邪魔してるのは私なんです。皆さんはどうするのか決めてから行動されればいいと思うんです。あそこに行きたいと思うのは私の勝手な思いなんで」
「ならこのまま行くとするか。大体の準備はできてるし、足りないもんは現地調達すりゃあいい」
「そうですね。ローザリア様に置いていかれたのはとても悲しかったです」
「エ、エリサ⋯⋯」
追いかけてきたのはナザエル神父とナスタリア助祭だけでなく、ニールとエリサもだった。
「久しぶりでしたけど馬から振り落とされなくて安心しました」
元は田舎暮らしのエリサは公爵家に奉公に上がるまでは馬を乗り回していたそうだが、それ以来はじめての乗馬だったらしい。
「もうじき夜明けだ。門番が起きてくるまで休憩だな。ローザリアはそれまでエリサのお小言でも聞いとけ。2度と馬鹿なことをしねえように、しこたまケツでも叩いてもらえ」
ドヤ顔のナスタリア助祭を見ないように顔を背けたナザエル神父は胡座をかいて座り込んだ。
「ガキの心理はガキが一番分かるって奴だな」
「ふーんだ、おじさんの負け惜しみなんて可愛くないね」
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