幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~

ninjin

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ルシス暴走編

第27話 黒蜂蜜

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 私は最後の目的地へ向かう。アカシックレコードに記載された美味しいプリンを作る材料は全部で4つあった。サンダーバードの卵、ミルクリバー平原のサトウキビ、アウズンブラの母乳、そして、最後に残ったのが、メガララ・ガルーダの巣にある黒蜂蜜だ。メガララ・ガルーダは全身が光沢のある黒色で、はねも黒色である。オスの体長は50㎝と魔獣の中では小柄だが、メガララ・ガルーダの女王の体長は20mを越える巨大な魔獣だ。メガララ・ガルーダの巣であるビーハイブラビリンスハチの巣迷宮は、全長10㎞を越える壮大な巣だ。メガララ・ガルーダが作る黒蜂蜜は、幻の高級食材とも言われており、国の権力者たちはこぞって入手しようと試みた。しかし、依頼を受けた破壊者デストロイヤービーハイブラビリンスハチの巣迷宮に訪れて帰ってきた者はいない。メガララ・ガルーダの黒蜂蜜の入手難度はSランク、これは入手不能を意味していた。


 ※ メガララ・ガルーダのオスはBランク。 ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の女王蜂はAAランク。


 ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の場所は、ミルクリバー平原を南へ40㎞のところにあるので、すぐにひとっとびして向かった。高度1000mの上空から見下ろしても ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の全貌を確認することはできない。ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮は、働き蜂であるオスのメガララ・ガルーダの蜜ろうで作られている。メガララ・ガルーダの蜜ろうは、固まるとダイヤモンドよりも堅く、アウズンブラが踏んでも壊れないくらいに頑丈だ。ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の入り口は東西南北に9つあり、それは9匹の女王蜂が巣の中にいることを現している。メガララ・ガルーダの女王蜂はお互いに争うことはなく、女王蜂が誕生するたびに巣を拡大する。私が目指すのは、一番の古株である原初の女王蜂が住む一番黒く輝いている場所だ。上空からは全貌を把握できないが、真っ黒なビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の天井の色は、光沢の具合が異なる。最初に作られた場所と最後に作られた場所では光沢の差は歴然としている。私は一番黒く輝く場所を探して、原初の女王蜂が住むエリアを探した。


 「やっと見つけたのです。でも、日が沈みかけているので急がないといけないのです」


 宿屋に戻る門限があるわけではない。しかし、あまり遅くなるとロキに心配をかけてしまうだろう。
 私はふと前世の記憶を思い出す。私が小学生の時の門限は18時だった。私は良い子だったので、18時の門限を破ることなどなかった。しかし、1度だけ、お友達の家でゲームに熱中していたら、時刻は18時を過ぎていた。すぐにお友達の家から自宅に連絡をすればよかったのだが、私は連絡をせずに走って家に帰った。1度も門限を破ったことのない私が、門限になっても帰って来ない私のことを心配した母親は、私が帰って来るなり、泣きながら私を怒鳴りつけた。このエピソードは、母親が過保護過ぎると批判をする人もいるだろう。でも、子供が事件に巻き込まれる安全じゃない世界、心配をするのが母親の心理である。私がきちんと連絡をすればよかったのだ。
 ロキは宿屋に戻る門限を定めたわけではない。しかし、日が暮れる前には帰って来るだろうと私を信頼してくれているはずだ。私はこの信頼を裏切りたくはないのだ。


 「本気を出すのです」


 上空から見下ろすことで、一番光沢のある場所を発見して、その場所に繋がる入り口も確認できた。しかし、入り口から侵入するほど時間に余裕はない。1番甘くて濃厚な黒蜂蜜は、女王蜂の寝室にあるとアカシックレコードに記載されてある。魔力を探れば女王蜂の居場所の特定は可能だ。私は時短するために、入り口から入るのではなく、天井を突き破って入ることにした。


 「大きな魔力を感じるあの場所へ向かうのです」


 私はウリエルの能力スキルである神光神炎を応用して作り出した魔法オーバープロテクト過保護を発動する。オーバープロテクト過保護は金色の膜で体を包み込む光魔法の防御結界だ。この金色の膜は、あらゆる武器を破壊して、あらゆる魔法を無効化する絶対防御である。この絶対防御結界を纏った体で、弾丸のスピードで移動することで、最強の防御を最強の攻撃へと転換した。
 最強の硬度を誇るメガララ・ガルーダの蜜ろうで作られた壁と私の最強防御結界が衝突する時、真の最強の硬度を知ることになるだろう。もちろん、この勝負に勝ったのは私だ。私は卵の殻を割るよりも簡単にビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の天井を突き破った。
 ビーハイブラビリンスハチの巣迷宮の原初の女王蜂の部屋の潜入に成功した私の目の前には、体長30mを超すメガララ・ガルーダの女王蜂と50匹のメガララ・ガルーダのオスがいた。突然の来訪者に女王蜂は少しも動じることはなくフカフカのベッドに座っている。一方、オスは違った。女王蜂の危機だと感じた50匹のオスは、体内にしまってある針を頭から突き出して、猛スピードで私に突進してくる。


 「すごく甘い匂いがするのです」


 急いでいる私の視界に映るのは、真っ白なドーム状の大きな部屋を支えるたくさんの黒い柱だ。実際は、天井を支える柱ではなく黒蜂蜜の棒であり、女王蜂のために用意された食事である。


 「10本ほど拝借するのです」


 50匹のメガララ・ガルーダのオスがミサイルのように私へ向かって来る。しかし、私はそんなちっちゃいことには気にしない。私の防御結界に衝突して、自慢の針がポキポキと折れている中を私は差し迫る時間に焦りながら必死に黒蜂蜜の柱をポキポキと折って回収した。
 私が黒蜂蜜の柱を回収して旅立った後には、針が折れて気絶したメガララ・ガルーダのオスが転がっていた。


 「ヤ……ヤバいヤツだったわ」


 メガララ・ガルーダの女王蜂は、魔獣の中ではずば抜けて知能が高く言葉を使う。私の行動を一部始終見ていた女王蜂は、私が去る姿を見てからぼそりと呟いた。


 これで美味しいプリンが作れるのです!


 
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