乙女ゲームの主人公に転生した私は、魔王退治はもう1人の主人公にお願いして、スローライフを目論んでいたら堕落令嬢と呼ばれていました。

ninjin

文字の大きさ
105 / 120

第105話 ロベリアの覚悟

しおりを挟む
 ここは全ての木が枯れ果てた終わりの森。この森には魔獣すら入り込むことはない禁断の地。終わりの森の中心部には朽ち果てた一軒家がポツンと建っていた。


 「お前が無事に私を訪ねて来たということは、リーリエは無事に試練を乗り越えたってことね」
 「はい。終焉の魔女様はとても嬉しそうですね」


 ロベリアは終わりの森に住む終焉の魔女の家へ辿り着いた。終焉の魔女は紫色のローブに身を纏い大きなフードを被っている。


 「もちろんよ。全てが私の予想に反した展開へと陥ってるが、結果は私の望んでいた通りになったわ。リーリエは本当に素晴らしい」
 「おっしゃっている意味は理解できませんが、私にあなた様の本当の目的を教えてください。ゲームと同じ展開などという意味不明な言葉で誤魔化さないでください」

 「この世界は私が作ったゲームの世界よ。幾度も転生者が訪れて来たが、自己本位な恋愛を優先した結果、バッドエンディングを迎えてループし続けているわ。しかし、今回は違う。私の用意したいくつもの試練を乗り越えて、ゲームとは別の攻略方法で、ここまでたどり着いたのよ」
 「さっぱり意味がわかりません」


 終焉の魔女が語る内容は私には理解できるが、ロベリアには全く理解できない。


 「お前が理解する必要はないわ。もう時期、本当のエンディングを迎えて、この世界に終焉が訪れるの。これで私もゲームマスターとしての役割が終わるわ」
 「この世界を終わらせることなど許容できません。私があなた様の野望を打ち砕きます」


 この世界の住人であるロベリアが、終焉の魔女が述べる内容を理解できるわけがない。しかし、この世界が滅びると解釈したロベリアは終焉の魔女に立ち向かう。


 「私の用意したお前の結末は、主人公に敗れて闇の魔力の効力を失い元の美しい姿になって死を迎えるのよ。そして、お前の正体に気付いたレーヴェ国王は、シュバインのことを尋ねる。お前は最後の気力を振り絞って、シュバインはグリレ王妃とヘスリッヒの子供であると伝えて、命が尽きるはずだった」
 「もしもリーリエさんと出会うことがなければ、そのような結末を迎えていたのかもしれません。しかし、私はリーリエさんの言葉で気付かされたのです。私にとって1番大事なことに。そして、私の記憶や感情を歪めたのは、闇の魔力が原因であることにもです。もう、闇の魔力に惑わされることはないのです」


 闇の魔力は嫉妬や憎しみ、悲しみなどの負の感情が大きければ大きいほど体とリンクして闇の魔力も大きくなる。しかし、大きくなった闇の魔力の影響で、正常な判断や思慮のある思考ができなくなる。ロベリアは闇の魔力に飲み込まれて、国を滅ぼす大罪を使命だと感じていたのである。

 「リーリエの言葉がお前の心を支配していた闇の魔力の呪縛から解放したようね。転生者にはそのような力を秘めていたとは驚きだわ。でも、それが私にとって良い未来へと舵を切ったのよ。リーリエが他の転生者と違ってスローライフを選択した時は、今回も失敗に終わると感じたけれども思わぬ誤算だったわ。これでやっと私は元の世界へ戻れるのよ」
「あなた様の言っていることは全く理解できません。しかし、私の本当の気持ちに気づかせてくれたリーリエさんのために私は闇の宝玉を壊させてもらいます」

 「私がお前の企みに気付いていないと思ったのかしら?私が与えた先読みの力で、魔女たちの根源を探し出すことができたのかもしれないけれどもそれは私も同じことなの。お前がこの場所に来た理由がわかっていないと思っているのかしら?」
 「もちろんわかっています。それでも私は闇の宝玉を壊します」


 闇の宝玉などゲームでは存在しないアイテムである。


 「お前は何も理解していない。闇の宝玉を壊せばどのような未来が待ち受けているのかを。お前が見た未来は、所詮一手もしくは二手先の未来。本当の未来など見えていない」
 「それはあなた様も同じことだと思います」

 「そうね完全な未来など誰にも見ることはできない。でも、私にはお前が持っていない豊富な知識があるのよ。でも……いいわ。お前は私がこれから行う動作を理解しているはずだからね」
 「もちろんです。遠慮なく闇の宝玉を壊します」


 終焉の魔女はロベリアを止めることはしなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...