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神守聖王国オリュンポス パート7

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 「ゾンビ達がこちらに気づいたみたいね」


 数体のゾンビが食事をやめて、ソール達の元へ歩き出した。


 「ソールどうするの?」

 「夜になるとハデスの命令通りに動き出すわ。今のうちに退治しておきましょう」


 ハデスの神から授かった能力ネクロマンサーは、死者に魂を与えて、ハデスの忠実な僕にできる能力である。しかし、忠実にハデスの指示通り動くのは、夜だけであり、昼間は本能のままに自由に動くのである。

 本能のまま自由に動くだけなので、ゾンビ同士が連携が取れていないので、C1ランクの『金玉』にとっては大した敵ではないのである。

 
 「私は回復薬で攻撃するわ」


 サクラが言う。


 ゾンビを倒す方法はいくつかあると言われている。ゾンビは死者なので、いくら攻撃しても死ぬことはない。しかし、回復薬または回復魔法をかけると、ゾンビの動きは鈍くるのである。しかし回復薬、回復魔法ではでゾンビを倒すことはできない。

 ゾンビを倒す方法は、炎の魔法で完全に灰になるまで焼き尽くすことである。この方法が1番オーソドックスな倒し方である。しかし、灰になるまで焼き尽くすのは、レベルの高い炎の魔法を扱えないといけないのである。

 それ以外にもゾンビの倒し方は色々あるが、ソール達は知らないのであった。


 「わかったわ。動きが鈍くなったら、私が焼き払うわ」


 とソールが答える。

 サクラが近寄ってくるゾンビに回復薬を投げつける。


 ゾンビ達は、餌が舞い込んできた思って、ヨダレを垂らしながら、ソール達の元へノソノソと歩いて行く。ゾンビ達は、サクラが投げつけた回復薬をくらい、スローモーションのようにカクカクと動くのであった。


 『爆炎黒陽斬』


 ソールは剣を振りかざす。ソールの剣は真っ黒に輝き、熱風と共に黒炎がゾンビを襲う。

 ソールの放った黒炎で数十体のゾンビは一瞬にして灰になる。


 「私の回復薬・・・意味があったのかしら」


 サクラがつぶやいた。


 「このまま一気に、この階にいるゾンビを全て焼き払うわ」


 ソールが言う。


 「わかったわ。私も全ての回復薬を使うわ」


 サクラが言う。


 「やっぱり必要ないので、回復薬はなしでお願いするわ」


 とソールが冷たく言う。


 「そうよね。ただでさえ動きの遅いゾンビに対して、さらに動きを遅くする必要はないよね・・・」


 とサクラは申し訳なそうに言った。


 『爆炎黒陽斬』


 黒炎が地下二層にいるゾンビに襲いかかる。黒炎は竜のようにうねりながら、ゾンビを次々と灰に変えていく。

 
 『雷鳴』


 マーニが雷魔法を使う。

 マーニの指先から無数の稲妻がほとばしる。稲妻が直撃したゾンビは一瞬で灰になる。


 『休憩』


 サクラが呟く。魔法の使えない男性はゾンビとの戦い不利である。いくら剣で切り裂いても無駄だからである。なので、何も役に立てそうにないので、サクラは休憩を取ることにしたのであった。

 ソールとマーニが協力して、地下二階の二層のゾンビを全て灰にしたのであった。


 「もう終わったのかしら」


 サクラはゴロゴロと寝転がりながら言う。


 「終わったわ・・・と言うつもりだったけど、とんでもないのが残っているわ」


 とソールが額に汗を流しながら言った。

 サクラは、ソールの異変を感じたので、ゴロゴロ転がりながら、ソールの元へ駆けつけた。


 「ソール何があったの」

 「あれを見てごらん」


 地下二階の二層の奥には大きな祭壇があった。その祭壇の1番上にソール達を見下ろして、ニヤニヤと笑っているゾンビがいた。


 「あれは・・・アレスね」


 サクラが怯えながら言った。


 「間違いないわ」


 ソールが答える。


 「待っていたぜソール、マーニ」


 アレスが言う。


 「アレス・・・あなたは自我があるの?」


 ハデスの力によってゾンビになった人間には自我はないし、人間の時の記憶もない。ただ本能のままに動く人形である。


 「俺を雑魚のゾンビ達と一緒にするな。俺は神の子だぞ」


 アレスは自慢げに言う。


 「ゾンビなのに神の子だなんて、面白いわね」


 ソールがアレスを挑発する。


 「俺を挑発しているのか・・・俺はそんなくだらない挑発にはのらないぜ。本当に俺に神の子の力があるか見せてやるぜ」

『勇敢なる鼓舞』


 ソールの挑発にのったアレスであった。

 勇敢なる鼓舞とは、どんなに弱い兵士でも強戦士に変える能力である。


 祭壇の下から、続々とゾンビが現れた。しかも先ほどのゾンビとは違って、体が赤く輝いていて、動きも数段早いのであった。


 「俺の『勇敢なる鼓舞』を受けたゾンビ達は、俺の忠実な僕になり、俺が指示を止めるまで永遠に戦い続ける最強のゾンビなのだ」


 ゾンビ達は、ソール達に襲いかかる。


 「少し動きが早くなったところで、所詮ゾンビよ」

 
 ソールは、黒炎を纏った剣で次々とゾンビを切り裂いて燃やしていく。

 サクラは少しでも役に立ちたくて、回復薬をゾンビに投げつける。

 しかし、ゾンビ達は灰にならず、ドロドロに溶けてスライムのような液体になってソール達に襲いかかる。


 「爆炎黒陽斬」


 ソールは剣を振りかざして、ゾンビスライム目掛けて黒炎を放つ。

 しかし、ゾンビスライムは燃え上がるが、灰にならずにじわりじわりとソール達に近づいてくる。


 「えーーーい、えーーーい」


 サクラはゾンビスライムが襲ってこないように、回復薬を投げつける。

 ゾンビスライムは、ナメクジのようにゆっくりゆっくりと動き出す。


 「俺の『勇敢なる鼓舞』を受けたゾンビは、どんな炎を受けても灰になることはないぜ。いつまで逃げ切れるかな」


 祭壇の上でアレスは、大声で笑いながら言った。
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