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第20話 アルトの才能
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夕方、ゴミ山にトビーが姿を見せた。彼はまず、休憩小屋の前にいる監視員に声をかけ、軽く挨拶を交わす。監視員は、アルトが持ち込んだガラクタについて愚痴をこぼしたが、トビーはそれを聞き流し、小屋の中にあるアルトの成果物が隠された場所へ向かった。
休憩小屋の角に置かれた小袋の中身をトビーは確認する。アルトが拾い集めたのは、錆びたスプーンや刃こぼれした包丁、黒ずんだ銀食器など、一見してただのゴミにしか見えない小物ばかりだった。
「……こんなゴミ、本当に売れるのか?」
トビーの心には、かすかな疑念があった。クライヴ・カーライルを驚かせたあのペンダントは、もしかすると、アルトのスキルではなく単なる偶然の産物だったのかもしれない。トビーは、アルトが戻ってくるのを待つ間、不安を打ち消すように小屋の中で静かにその成果物を眺めていた。
トビーが休憩室に来て30分ほど経った頃、アルトは追加のゴミを数点を手に持って戻ってきた。
「アルト、順調か」
トビーはアルトへ声をかけた。
「あぁ」
アルトは、自分だけが泥まみれの重労働をさせられていることへの不機嫌な気持ちを隠さず、ぶっきらぼうに返事をする。しかし、トビーはアルトの反抗的な態度には全く気に留めず、淡々と業務を伝えた。
「残業の申請は済ませたか?」
アルトは労いの言葉すらないトビーに苛立ちを覚え、返事をせずに頷くだけで応答を済ませた。トビーは、そんなアルトの目の前に、おにぎりを1つと、ボロボロの水筒に入った水を差し出した。
「これを食え」
アルトは無言でそれらを受け取り、すぐに食べ始めた。体は疲れ果て腹が減っていた。おにぎりは瞬く間に胃の中に消えた。食べ終えると、トビーは間髪入れずに冷たく言い放った。
「今日中に、全部仕上げろ」
アルトはトビーを鋭く睨みつけた。
「わかっているよ」
とだけ吐き捨てると、ゴミ山へ戻り、修復に必要な道具を拾いに行った。トビーはアルトの清掃のスキルを実地で確認するために休憩室に残った。トビーはアルトが拾ってきたガラクタを前に、こんなゴミが本当に売れる商品に生まれ変わるのか疑念を拭えずにいた。
約一時間後、アルトが休憩室に戻ってきた。彼は手にゴミ山から拾ってきた清掃に必要な物を抱えていた。
それは、ゴミ山でよく見かける乾いた苔や砂を入れたボロ布、細かく砕かれた炭の粉末、そして頑固な錆を削り取るための石の破片や硬い骨などだ。これらは全て、トビーの常識からすれば、とても清掃の道具として成立しない粗末な物だった。
それを見たトビーの疑念は、「やはり失敗だった」という確信へと変わった。トビーはゴミ山で拾ってきた物だけで、ガラクタを綺麗にするなど絶対に不可能だと判断した。トビーは、一時の感情で、賭けに負けたと落胆し、無言で休憩室を立ち去ろうと腰を上げた。しかし、アルトはトビーのことなど見ていなかった。
アルトは、トビーの失望した様子にも、去ろうとする気配にも全く気づかず、自分が拾ってきた錆びたスプーンやナイフ、刃こぼれした包丁、古く黒ずんだ銀の食器といったガラクタを清掃することに集中していた。その姿は、これまでトビーが見てきた気弱で臆病なアルトとは全く違う、研ぎ澄まされた職人の真剣な横顔だった。
トビーは本能的な好奇心と、アルトの鬼気迫る集中力に引き止められ、「もう少しだけ」と自らに言い聞かせて再び椅子に腰を下ろした。
アルトは粗末な道具を手に取り、乾いた苔と炭の粉末を混ぜ合わせたもので銀食器を磨き始めた。その手つきは、流れるように手際よく、不要な力は一切入っていない。みるみるうちに、黒ずんでいた銀の食器の表面から汚れが落ち、鈍い輝きを取り戻し始める。そして、石の破片で刃こぼれした包丁の錆を削り取り、さらに炭の粉末で鏡面仕上げを施す。アルトの手から繰り出される作業は、ガラクタを新品同様の輝きへと変化させる、まさに魔法のようだった。トビーは、アルトの驚異的な腕に完全に目を奪われ、先ほどの「失敗」という確信は、音を立てて崩れ去った。
休憩小屋の角に置かれた小袋の中身をトビーは確認する。アルトが拾い集めたのは、錆びたスプーンや刃こぼれした包丁、黒ずんだ銀食器など、一見してただのゴミにしか見えない小物ばかりだった。
「……こんなゴミ、本当に売れるのか?」
トビーの心には、かすかな疑念があった。クライヴ・カーライルを驚かせたあのペンダントは、もしかすると、アルトのスキルではなく単なる偶然の産物だったのかもしれない。トビーは、アルトが戻ってくるのを待つ間、不安を打ち消すように小屋の中で静かにその成果物を眺めていた。
トビーが休憩室に来て30分ほど経った頃、アルトは追加のゴミを数点を手に持って戻ってきた。
「アルト、順調か」
トビーはアルトへ声をかけた。
「あぁ」
アルトは、自分だけが泥まみれの重労働をさせられていることへの不機嫌な気持ちを隠さず、ぶっきらぼうに返事をする。しかし、トビーはアルトの反抗的な態度には全く気に留めず、淡々と業務を伝えた。
「残業の申請は済ませたか?」
アルトは労いの言葉すらないトビーに苛立ちを覚え、返事をせずに頷くだけで応答を済ませた。トビーは、そんなアルトの目の前に、おにぎりを1つと、ボロボロの水筒に入った水を差し出した。
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「今日中に、全部仕上げろ」
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「わかっているよ」
とだけ吐き捨てると、ゴミ山へ戻り、修復に必要な道具を拾いに行った。トビーはアルトの清掃のスキルを実地で確認するために休憩室に残った。トビーはアルトが拾ってきたガラクタを前に、こんなゴミが本当に売れる商品に生まれ変わるのか疑念を拭えずにいた。
約一時間後、アルトが休憩室に戻ってきた。彼は手にゴミ山から拾ってきた清掃に必要な物を抱えていた。
それは、ゴミ山でよく見かける乾いた苔や砂を入れたボロ布、細かく砕かれた炭の粉末、そして頑固な錆を削り取るための石の破片や硬い骨などだ。これらは全て、トビーの常識からすれば、とても清掃の道具として成立しない粗末な物だった。
それを見たトビーの疑念は、「やはり失敗だった」という確信へと変わった。トビーはゴミ山で拾ってきた物だけで、ガラクタを綺麗にするなど絶対に不可能だと判断した。トビーは、一時の感情で、賭けに負けたと落胆し、無言で休憩室を立ち去ろうと腰を上げた。しかし、アルトはトビーのことなど見ていなかった。
アルトは、トビーの失望した様子にも、去ろうとする気配にも全く気づかず、自分が拾ってきた錆びたスプーンやナイフ、刃こぼれした包丁、古く黒ずんだ銀の食器といったガラクタを清掃することに集中していた。その姿は、これまでトビーが見てきた気弱で臆病なアルトとは全く違う、研ぎ澄まされた職人の真剣な横顔だった。
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アルトは粗末な道具を手に取り、乾いた苔と炭の粉末を混ぜ合わせたもので銀食器を磨き始めた。その手つきは、流れるように手際よく、不要な力は一切入っていない。みるみるうちに、黒ずんでいた銀の食器の表面から汚れが落ち、鈍い輝きを取り戻し始める。そして、石の破片で刃こぼれした包丁の錆を削り取り、さらに炭の粉末で鏡面仕上げを施す。アルトの手から繰り出される作業は、ガラクタを新品同様の輝きへと変化させる、まさに魔法のようだった。トビーは、アルトの驚異的な腕に完全に目を奪われ、先ほどの「失敗」という確信は、音を立てて崩れ去った。
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