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第28話 舌戦
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トビーは、舞台上に座らされたまま、目の前の2つの豪華な個室に視線を送った。美女と老人の持つ圧倒的な威圧感を前に、トビーは鎖に繋がれたまま、最大限の礼と敬意を表すため、すぐに跪いた。その振る舞いは、まるで一国の王に対する敬意を表すかのように、洗練されて優雅だった。
トビーは姿勢を崩さぬまま、静かに言葉を紡いだ。
「畏れながら、私に発言する許可を頂戴したく存じます」
金色のドレスの女性は、口元の扇子をわずかに動かし、艶かしい声で応えた。
「よろしいわ」
小柄な老人は、黒いシルクハットの下からトビーを見下ろし、しゃがれた声で許可を与えた。
「好きにしろ」
発言を許されたトビーは、跪いたまま、2人の個室に等しく視線を向け、最大限の敬意をもって続けた。
「黄金の蜘蛛アクネラ様、蠅の王ベルゼブブ様。この場にて、お目にかかれますこと、光栄の極みに存じます」
2人は何も返答せず、ただ静かにトビーを見つめていた。その沈黙は、トビーに向けられた品定めと威圧に満ちていた。やがて、アクネラの横で4つん這いになっている男性、ドールが、舞台上のトビーに声を上げた。
「お前は、なぜここに連れて来られたのか理解しているのか?」
トビーは静かに答える。
「いえ、恐縮ながら、心当たりはございません」
すると、ドールは声を荒げて言った。
「ふざけるのも大概にしろ!お前は黄金の蜘蛛の所有物であるゴミ山から、勝手にゴミを持ち出しているだろう!」
トビーは激しい非難を受けても表情1つ変えずに淡々と言い放った。
「そのようなことは絶対にございません。私はアクネラ様のために、永久的に雇用し続ける人材を育成する責務を、まっとうしているに過ぎません」
ドールは、舞台の端に控えるゲイルに鋭い視線を向けた。
「ゲイル、お前の知っていることを全て述べろ」
ゲイルは怯えたように舞台上に進み出て、鎖に繋がれたトビーと同じく跪いた。
「わ、私はトビーからお金を受け取り、アルトという男性がゴミ山で拾ってきた物を、休憩室に隠すようにお願いされました。また、アルトのために休憩室を私物化させて、彼の作業部屋にするようにと頼まれました」
ゲイルは洗いざらい全てを話した。ドールはトビーを睨みつける。
「お前は、これを聞いても何も知らないというのか!」
しかし、トビーの態度には焦りすら感じさせない堂々としたものだった。
「その男は本当に正しいことを述べているのでしょうか?私はそのようなことを頼んだ覚えなどございません。証拠はあるのでしょうか?」
トビーの冷静な言葉に、ゲイルが怒りのあまり反論した。
「アルトを連れてくればすぐにわかることだ!お前がアルトとグルなのは明白だ!」
トビーは全く動揺しない。
「あなたがそのアルトという男性とグルなのではありませんか?私に罪を着せるために、グルになって嘘を吐いている。そう考える方が自然でしょう」
ゲイルはその言葉を聞いて、制御不能な怒りを爆発させた。
「ふざけるな!お前はアルトがゴミ山で拾った物を宝飾店などで売って、膨大な利益を得ているのだろう!店に確認すれば全てがわかることだ!」
トビーは冷静沈着に言い放った。
「そうしてください」
その瞬間、優雅な椅子に座るアクネラが静かに口を開いた。彼女の言葉使いは極めて上品だった。
「ゲイル、あなたの負けよ」
「私は嘘など言っていません!」
ゲイルは必死にアクネラに訴える。すると、ドールが、鎖を揺らしながらゲイルを怒鳴りつけた。
「この無礼者が!お前のようなクズが、アクネラ様に直接言葉を発するとは何事だ!」
アクネラは、ドールに目を向け、静かに言った。
「ドール、あなたから説明しなさい」
「わかりました。ゲイル、お前にはがっかりだ。王都の高級店では、プライバシーの保護は完璧だ。決して売りに来た人物の名前など明かさないのだ」
トビーが【白金の聖櫃《プラチナ・アーク》】に売りに行ったことを証明することは不可能だった。
アクネラの断罪を受け、ゲイルの顔面蒼白になっていた。
「本当です!嘘ではないのです!」
ドールが冷酷な声でとどめを刺す。
「黙れ。お前はアクネラ様へ嘘の証言をしたのだ。それがどういうことかはわかっているのか」
その言葉が引き金となり、ゲイルは恐怖のあまりズボンを濡らした。
「違います!本当なのです!」
ゲイルは涙と鼻水まみれになり、醜い姿を晒して叫んだ。アクネラはその姿を冷淡に見下ろすだけだ。だが、その冷徹な視線の意味を汲み取ったドールが有無を言わせぬ声で宣告した。
「アクネラ様への冒涜行為。お前は奴隷となって金で償え」
「嫌だ!助けてください!」
ゲイルの絶叫が木霊する中、舞台の奥から黒服・黒メガネをかけた男が2人現れた。彼らは容赦なくゲイルを掴み上げ、舞台の奥へと連行していく。ゲイルの悲鳴は、会場の豪華な壁にぶつかりながら、遠くまで響き渡った。
トビーは一連の出来事を目の前で見ても、表情1つ変えることなく、自分は裏切っていないという堂々とした態度を崩さなかった。
その時だった。しゃがれた声が、個室から舞台へと響き渡った。それは、ベルゼブブの個室から発せられたものだった。
「貴様は、蝿の王の金を盗んだのは本当なのか?」
トビーは黄金の蜘蛛の追求から逃れた束の間、次は蠅の王ベルゼブブからの追求が始まった。
トビーは姿勢を崩さぬまま、静かに言葉を紡いだ。
「畏れながら、私に発言する許可を頂戴したく存じます」
金色のドレスの女性は、口元の扇子をわずかに動かし、艶かしい声で応えた。
「よろしいわ」
小柄な老人は、黒いシルクハットの下からトビーを見下ろし、しゃがれた声で許可を与えた。
「好きにしろ」
発言を許されたトビーは、跪いたまま、2人の個室に等しく視線を向け、最大限の敬意をもって続けた。
「黄金の蜘蛛アクネラ様、蠅の王ベルゼブブ様。この場にて、お目にかかれますこと、光栄の極みに存じます」
2人は何も返答せず、ただ静かにトビーを見つめていた。その沈黙は、トビーに向けられた品定めと威圧に満ちていた。やがて、アクネラの横で4つん這いになっている男性、ドールが、舞台上のトビーに声を上げた。
「お前は、なぜここに連れて来られたのか理解しているのか?」
トビーは静かに答える。
「いえ、恐縮ながら、心当たりはございません」
すると、ドールは声を荒げて言った。
「ふざけるのも大概にしろ!お前は黄金の蜘蛛の所有物であるゴミ山から、勝手にゴミを持ち出しているだろう!」
トビーは激しい非難を受けても表情1つ変えずに淡々と言い放った。
「そのようなことは絶対にございません。私はアクネラ様のために、永久的に雇用し続ける人材を育成する責務を、まっとうしているに過ぎません」
ドールは、舞台の端に控えるゲイルに鋭い視線を向けた。
「ゲイル、お前の知っていることを全て述べろ」
ゲイルは怯えたように舞台上に進み出て、鎖に繋がれたトビーと同じく跪いた。
「わ、私はトビーからお金を受け取り、アルトという男性がゴミ山で拾ってきた物を、休憩室に隠すようにお願いされました。また、アルトのために休憩室を私物化させて、彼の作業部屋にするようにと頼まれました」
ゲイルは洗いざらい全てを話した。ドールはトビーを睨みつける。
「お前は、これを聞いても何も知らないというのか!」
しかし、トビーの態度には焦りすら感じさせない堂々としたものだった。
「その男は本当に正しいことを述べているのでしょうか?私はそのようなことを頼んだ覚えなどございません。証拠はあるのでしょうか?」
トビーの冷静な言葉に、ゲイルが怒りのあまり反論した。
「アルトを連れてくればすぐにわかることだ!お前がアルトとグルなのは明白だ!」
トビーは全く動揺しない。
「あなたがそのアルトという男性とグルなのではありませんか?私に罪を着せるために、グルになって嘘を吐いている。そう考える方が自然でしょう」
ゲイルはその言葉を聞いて、制御不能な怒りを爆発させた。
「ふざけるな!お前はアルトがゴミ山で拾った物を宝飾店などで売って、膨大な利益を得ているのだろう!店に確認すれば全てがわかることだ!」
トビーは冷静沈着に言い放った。
「そうしてください」
その瞬間、優雅な椅子に座るアクネラが静かに口を開いた。彼女の言葉使いは極めて上品だった。
「ゲイル、あなたの負けよ」
「私は嘘など言っていません!」
ゲイルは必死にアクネラに訴える。すると、ドールが、鎖を揺らしながらゲイルを怒鳴りつけた。
「この無礼者が!お前のようなクズが、アクネラ様に直接言葉を発するとは何事だ!」
アクネラは、ドールに目を向け、静かに言った。
「ドール、あなたから説明しなさい」
「わかりました。ゲイル、お前にはがっかりだ。王都の高級店では、プライバシーの保護は完璧だ。決して売りに来た人物の名前など明かさないのだ」
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アクネラの断罪を受け、ゲイルの顔面蒼白になっていた。
「本当です!嘘ではないのです!」
ドールが冷酷な声でとどめを刺す。
「黙れ。お前はアクネラ様へ嘘の証言をしたのだ。それがどういうことかはわかっているのか」
その言葉が引き金となり、ゲイルは恐怖のあまりズボンを濡らした。
「違います!本当なのです!」
ゲイルは涙と鼻水まみれになり、醜い姿を晒して叫んだ。アクネラはその姿を冷淡に見下ろすだけだ。だが、その冷徹な視線の意味を汲み取ったドールが有無を言わせぬ声で宣告した。
「アクネラ様への冒涜行為。お前は奴隷となって金で償え」
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