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第44話 和解
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「……その、探し出す物というのは、具体的にどのような物なのですか?」
来客室の豪華なソファーに座りながら、アルトは緊張を抑えて尋ねた。大金貨5枚という借金、ルーナの解放。その全てを叶えるための代償だ。どんな危険な品なのか、どんな形状をしているのか、アルトは必死に情報を求めた。しかし、ファビアンは困ったように眉をひそめ、率直に答えた。
「残念ながら、具体的な外見については俺にも何もわからないんだ。ただ、非常に古い、装飾的な杖だと聞いているだけだ」
ファビアンの表情には、嘘偽りなく情報を知らないことへの困惑が滲んでいた。実際に、上層部からの指示は極秘で抽象的であり、ファビアンもその装飾的な杖の正体を知らないのだ。
アルトは驚きで目を丸くした。
「えっ! それでは、見つけようがないです!」
広大なゴミ山の中から、装飾的な杖という曖昧な情報だけで目的の品を探し出すなど、砂漠で砂金を探すようなものだ。アルトは、どのように探せば良いのか皆目見当もつかずに困り果てた。ファビアンは落ち着いた様子で、テーブルに肘をつきながら、アルトの才能に語りかけた。
「慌てるな、アルト。お前は、高価なものを見極める力があるのだろう? なぜそう焦る?」
「それは……」
「簡単な話だ。高価な杖になりそうなものは、1つ残らず集めてくれば良いのだ。それが望んでいる品でなくても、お前の修復スキルで完璧に直せば、市場で売れるなら問題はないはずだ」
ファビアンの説明に、アルトはストンと納得がいった。
(そうか。結局、いつもやっていることと変わらないんだ)
ゴミ山から拾ってきたガラクタを修復すれば高額になる。それが、今回は杖を最優先にするという簡単な要求に過ぎない。しかも、報酬として莫大な借金を肩代わりしてくれるのだ。アルトの表情は一気に明るくなった。
「わかりました! 頑張って探してみます!」
アルトは嬉しそうに返事をすると、昨夜の非礼を思い出し、深く頭を下げた。
「ファビアンさん、昨日はあなたのことを疑ってごめんなさい」
アルトは、昨夜はファビアンが自分を騙し、多額な負債を負わせるか、あるいはとんでもなく過酷な危険な仕事をさせるものだと覚悟していた。だが、いざ話を聞いてみれば、大金貨5枚を無利子での貸し付け、ルーナの仕事の斡旋、その対価として杖を探すだけという、彼の日常業務の延長線上にあるような穏当な依頼だった。考えてみれば、ファビアンは自分を騙さなくても、高価な杖を探してくれと頼めば、アルトが断るほどの過酷な要求ではない。アルトは、ファビアンが自分を真剣に助けようとしてくれたのだと確信したのであった。
アルトの真摯な謝罪に対し、ファビアンは誠実な笑顔で答えた。
「気にするな、アルト。お前が俺を疑うのは仕方ないことだ。だが、これで誤解が晴れてよかったぜ」
ファビアンは立ち上がり、アルトの肩を力強く掴んだ。
「そうそう、ルーナがお前にお礼をしたいと言っていたぞ。今日の仕事終わりに、ケーニヒシュタット公園の噴水前に来てくれ」
ルーナの名前が出た途端、アルトの表情が一気に輝き、体温が上がったように頬を染めた。昨日の別れが辛く、もう二度と会えないのではないかと案じていたため、喜びはひとしおだった。
「はい、必ず行きます!」
アルトは元気よく返事をした。
「アルト、仕事も恋も頑張れよ。俺は応援しているぞ」
「はい!」
アルトは深く感謝を込めて頭を下げると、急いで来客室を飛び出した。彼は一刻も早くゴミ山へ戻り、ルーナのために装飾的な杖を見つけ出さなければならないという希望に満ちていた。ファビアンがただの優しい協力者であるという確信が、彼の足取りを軽くした。
アルトの背中が見えなくなるまで見送ると、ファビアンの口元から、それまでの善意の協力者の笑みがスーッと消えた。その顔は冷酷で計算高く、先ほどまでの明るい雰囲気は微塵も残っていない。ファビアンは、アルトが飛び出した扉を静かに見つめた後、ソファーへと戻った。
その直後、ノックの音がすることなく、別の人物が来客室へ入ってきた。
来客室の豪華なソファーに座りながら、アルトは緊張を抑えて尋ねた。大金貨5枚という借金、ルーナの解放。その全てを叶えるための代償だ。どんな危険な品なのか、どんな形状をしているのか、アルトは必死に情報を求めた。しかし、ファビアンは困ったように眉をひそめ、率直に答えた。
「残念ながら、具体的な外見については俺にも何もわからないんだ。ただ、非常に古い、装飾的な杖だと聞いているだけだ」
ファビアンの表情には、嘘偽りなく情報を知らないことへの困惑が滲んでいた。実際に、上層部からの指示は極秘で抽象的であり、ファビアンもその装飾的な杖の正体を知らないのだ。
アルトは驚きで目を丸くした。
「えっ! それでは、見つけようがないです!」
広大なゴミ山の中から、装飾的な杖という曖昧な情報だけで目的の品を探し出すなど、砂漠で砂金を探すようなものだ。アルトは、どのように探せば良いのか皆目見当もつかずに困り果てた。ファビアンは落ち着いた様子で、テーブルに肘をつきながら、アルトの才能に語りかけた。
「慌てるな、アルト。お前は、高価なものを見極める力があるのだろう? なぜそう焦る?」
「それは……」
「簡単な話だ。高価な杖になりそうなものは、1つ残らず集めてくれば良いのだ。それが望んでいる品でなくても、お前の修復スキルで完璧に直せば、市場で売れるなら問題はないはずだ」
ファビアンの説明に、アルトはストンと納得がいった。
(そうか。結局、いつもやっていることと変わらないんだ)
ゴミ山から拾ってきたガラクタを修復すれば高額になる。それが、今回は杖を最優先にするという簡単な要求に過ぎない。しかも、報酬として莫大な借金を肩代わりしてくれるのだ。アルトの表情は一気に明るくなった。
「わかりました! 頑張って探してみます!」
アルトは嬉しそうに返事をすると、昨夜の非礼を思い出し、深く頭を下げた。
「ファビアンさん、昨日はあなたのことを疑ってごめんなさい」
アルトは、昨夜はファビアンが自分を騙し、多額な負債を負わせるか、あるいはとんでもなく過酷な危険な仕事をさせるものだと覚悟していた。だが、いざ話を聞いてみれば、大金貨5枚を無利子での貸し付け、ルーナの仕事の斡旋、その対価として杖を探すだけという、彼の日常業務の延長線上にあるような穏当な依頼だった。考えてみれば、ファビアンは自分を騙さなくても、高価な杖を探してくれと頼めば、アルトが断るほどの過酷な要求ではない。アルトは、ファビアンが自分を真剣に助けようとしてくれたのだと確信したのであった。
アルトの真摯な謝罪に対し、ファビアンは誠実な笑顔で答えた。
「気にするな、アルト。お前が俺を疑うのは仕方ないことだ。だが、これで誤解が晴れてよかったぜ」
ファビアンは立ち上がり、アルトの肩を力強く掴んだ。
「そうそう、ルーナがお前にお礼をしたいと言っていたぞ。今日の仕事終わりに、ケーニヒシュタット公園の噴水前に来てくれ」
ルーナの名前が出た途端、アルトの表情が一気に輝き、体温が上がったように頬を染めた。昨日の別れが辛く、もう二度と会えないのではないかと案じていたため、喜びはひとしおだった。
「はい、必ず行きます!」
アルトは元気よく返事をした。
「アルト、仕事も恋も頑張れよ。俺は応援しているぞ」
「はい!」
アルトは深く感謝を込めて頭を下げると、急いで来客室を飛び出した。彼は一刻も早くゴミ山へ戻り、ルーナのために装飾的な杖を見つけ出さなければならないという希望に満ちていた。ファビアンがただの優しい協力者であるという確信が、彼の足取りを軽くした。
アルトの背中が見えなくなるまで見送ると、ファビアンの口元から、それまでの善意の協力者の笑みがスーッと消えた。その顔は冷酷で計算高く、先ほどまでの明るい雰囲気は微塵も残っていない。ファビアンは、アルトが飛び出した扉を静かに見つめた後、ソファーへと戻った。
その直後、ノックの音がすることなく、別の人物が来客室へ入ってきた。
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