25 / 116
名探偵ハツキ
しおりを挟む
「ハツキさん、先ほども言いましたが、英雄ランクの魔石は私どもでは取り扱いできません。英雄ランクの魔石で魔道具を作ることができるのは王国専属魔道技師だけですわ」
「そうだったわね。でも、魔道具を作るのがダメなのであって、ただの宝飾品としての加工なら問題ないんじゃないのかしら」
「確かに、魔道具としての加工をせずにただ魔石をブローチにするだけなら、問題はありません・・・が!魔石を魔道具として加工せずに宝飾品にする人なんていないわよ!」
「ここにいるわよ!」
私は魔法が使えない魔力量0の人間である。魔道具とは魔石と素材を加工し組み合わせて作る道具や装備品などのことで、魔道具を使うには基本魔力が必要である。なので、魔力量0の私にとって魔道具とは猫に小判であり豚に真珠である。
「ハツキさん、本当にいいの?」
「いいのよ!私にとって英雄ランク魔石とかどうでもいいの。ただこの綺麗な魔石を麦わら帽子につけたら、とっても似合うと思っただけなのよ」
「ハツキさんがそれでいいのであれば、私がとやかく言う権利はありませんが・・・」
アイリスは渋々ブローチを作ってくることを了承してくれた。私はアイリスに作ってもらったブローチを麦わら帽子に付け、もう一つをプリンツの首のあたりにつけてあげた。
「プリンツちゃん、とても似合っているわ」
「これは・・・バンビーノお兄ちゃんの魔石なのだ」
「そうなの?どっちがどっちか全然わからないわ」
「アンファンお兄ちゃんのが方が強いから、少しだけバンビーノのお兄ちゃんの魔石の輝きが薄いんだ」
「そう言われると・・・いえ、やっぱりわからないわ」
どちらの魔石を見ても輝きは全く変わらない。それに私にとってはどうでもいい区別であった。しかし、プリンツはバンビーノにとても可愛がられていたようで、バンビーノの魔石をもらえてとても嬉しそうに部屋の中を走り回っていた。
次の日、私は朝食を食べて部屋に戻りこれから何をしようか考えていた。思いのほかすぐに怪力の制御をマスターしたので、せっかく手に入れた冒険者証を使って、魔獣を退治する必要もなく暇であった。
セリンセは午前中は勉強中なので一緒に遊ぶことはできないし、ヘンドラーもアイリスも仕事で忙しくしている。屋敷で何もせずにゴロゴロしているのは私とプリンツだけである。
「暇だわ。私このままだとひきこりになってしまいそうだわ。何かしなきゃだめだわ。あ!そうだわ。皆さんの仕事の手伝いをしようかしら?ヘンドラーさんもアイリスさんもすごく忙しそうにしているから、何か手伝ってあげようかしら」
私は仕事の手伝いをすることにしたので、ヘンドラーのいる執務室に向かった。しかし、私は執務室に向かう途中で見てはいけないものを見てしまった。それは、ヘンドラーが背の高い赤髪ショートカットの綺麗な女性と、親しげに2人で執務室に入って行くところであった。
「これは・・・危険な関係ですわ。あんなに鼻の下が伸びた姿のヘンドラーさんを見たことがないわ」
いつもと違ってヘンドラーの顔が、デレデレとニヤけているように私は感じたのである。
「アイリスさんのために私は、ことの顛末を知る義務がありますわ」
私は執務室のドアに顔をべったりとくっつけて、2人の話の内容を確認することにした。
「全然聞こえませんわ」
執務室では大事な商談をすることも多いので防音効果は抜群である。
「ちょっと、穴を開けてみようかしら」
私は頑丈な体と人並外れた怪力があるが、聴力は人並みであった。なので、怪力を利用して、執務室の扉に穴を開けて、2人の会話がよく聞こえるようにすることにした。
「ハツキさん・・・そこで何をしているのですか?」
私に声をかけてきたのは執事のルフトクスである。
「ちょっと・・・暇だったので・・・ド・・ドアの掃除でもしようかなって思ったのよ」
「そうですか・・・ハツキさんは大事なお客様とご主人様から聞いております。ドアの掃除は私たち使用人がいたしますので、ハツキさんはお部屋でゆっくりと休んでいてください」
「そうしたいのはやまやまなのですが、ちょっと気になることがあったのよ」
「どのようなことでしょうか?」
「今から私が言うことは絶対に内密にしてくださいね。特にアイリスさんには絶対に言わないで欲しいわ」
「わかりました」
「実は、ヘンドラーさんが浮気をしている可能性があるのよ!」
「何を言っているのですか?そんなことはありません」
「そう思うでしょう。実は私は見てしまったのよ!執務室に入るヘンドラーさんと赤毛の綺麗な女性をね。とても親しげにしていたから絶対にお客ではないはずよ」
「・・・それで、ドアに聞き耳を立てていたのですか?」
「あれ?バレていたのね」
「あまりに不自然な格好をしていましたので」
「バレてたらしょーがないわ。でも、私はアイリスさんのために危険を承知でやっているのよ」
「奥様を心配して下さるのは、執事としてお礼を申し上げますが、旦那様は浮気などしていません。執務室に入って行った女性は商業ギルドマスターのカリーナさんです」
「えっ!でも、ただならぬ関係に見えましたわ。あの、ヘンドラーさんが鼻の下を伸ばしてデレデレしてましたわ」
「確かにそのような態度はとるでしょう。カリーナさんは旦那様の歳の離れた妹さんですから、目に針を入れても痛くないくらいに可愛がっています」
「そうだったんですかぁ~」
私は思わず執務室の前で大声で叫んでしまった。
「そうだったわね。でも、魔道具を作るのがダメなのであって、ただの宝飾品としての加工なら問題ないんじゃないのかしら」
「確かに、魔道具としての加工をせずにただ魔石をブローチにするだけなら、問題はありません・・・が!魔石を魔道具として加工せずに宝飾品にする人なんていないわよ!」
「ここにいるわよ!」
私は魔法が使えない魔力量0の人間である。魔道具とは魔石と素材を加工し組み合わせて作る道具や装備品などのことで、魔道具を使うには基本魔力が必要である。なので、魔力量0の私にとって魔道具とは猫に小判であり豚に真珠である。
「ハツキさん、本当にいいの?」
「いいのよ!私にとって英雄ランク魔石とかどうでもいいの。ただこの綺麗な魔石を麦わら帽子につけたら、とっても似合うと思っただけなのよ」
「ハツキさんがそれでいいのであれば、私がとやかく言う権利はありませんが・・・」
アイリスは渋々ブローチを作ってくることを了承してくれた。私はアイリスに作ってもらったブローチを麦わら帽子に付け、もう一つをプリンツの首のあたりにつけてあげた。
「プリンツちゃん、とても似合っているわ」
「これは・・・バンビーノお兄ちゃんの魔石なのだ」
「そうなの?どっちがどっちか全然わからないわ」
「アンファンお兄ちゃんのが方が強いから、少しだけバンビーノのお兄ちゃんの魔石の輝きが薄いんだ」
「そう言われると・・・いえ、やっぱりわからないわ」
どちらの魔石を見ても輝きは全く変わらない。それに私にとってはどうでもいい区別であった。しかし、プリンツはバンビーノにとても可愛がられていたようで、バンビーノの魔石をもらえてとても嬉しそうに部屋の中を走り回っていた。
次の日、私は朝食を食べて部屋に戻りこれから何をしようか考えていた。思いのほかすぐに怪力の制御をマスターしたので、せっかく手に入れた冒険者証を使って、魔獣を退治する必要もなく暇であった。
セリンセは午前中は勉強中なので一緒に遊ぶことはできないし、ヘンドラーもアイリスも仕事で忙しくしている。屋敷で何もせずにゴロゴロしているのは私とプリンツだけである。
「暇だわ。私このままだとひきこりになってしまいそうだわ。何かしなきゃだめだわ。あ!そうだわ。皆さんの仕事の手伝いをしようかしら?ヘンドラーさんもアイリスさんもすごく忙しそうにしているから、何か手伝ってあげようかしら」
私は仕事の手伝いをすることにしたので、ヘンドラーのいる執務室に向かった。しかし、私は執務室に向かう途中で見てはいけないものを見てしまった。それは、ヘンドラーが背の高い赤髪ショートカットの綺麗な女性と、親しげに2人で執務室に入って行くところであった。
「これは・・・危険な関係ですわ。あんなに鼻の下が伸びた姿のヘンドラーさんを見たことがないわ」
いつもと違ってヘンドラーの顔が、デレデレとニヤけているように私は感じたのである。
「アイリスさんのために私は、ことの顛末を知る義務がありますわ」
私は執務室のドアに顔をべったりとくっつけて、2人の話の内容を確認することにした。
「全然聞こえませんわ」
執務室では大事な商談をすることも多いので防音効果は抜群である。
「ちょっと、穴を開けてみようかしら」
私は頑丈な体と人並外れた怪力があるが、聴力は人並みであった。なので、怪力を利用して、執務室の扉に穴を開けて、2人の会話がよく聞こえるようにすることにした。
「ハツキさん・・・そこで何をしているのですか?」
私に声をかけてきたのは執事のルフトクスである。
「ちょっと・・・暇だったので・・・ド・・ドアの掃除でもしようかなって思ったのよ」
「そうですか・・・ハツキさんは大事なお客様とご主人様から聞いております。ドアの掃除は私たち使用人がいたしますので、ハツキさんはお部屋でゆっくりと休んでいてください」
「そうしたいのはやまやまなのですが、ちょっと気になることがあったのよ」
「どのようなことでしょうか?」
「今から私が言うことは絶対に内密にしてくださいね。特にアイリスさんには絶対に言わないで欲しいわ」
「わかりました」
「実は、ヘンドラーさんが浮気をしている可能性があるのよ!」
「何を言っているのですか?そんなことはありません」
「そう思うでしょう。実は私は見てしまったのよ!執務室に入るヘンドラーさんと赤毛の綺麗な女性をね。とても親しげにしていたから絶対にお客ではないはずよ」
「・・・それで、ドアに聞き耳を立てていたのですか?」
「あれ?バレていたのね」
「あまりに不自然な格好をしていましたので」
「バレてたらしょーがないわ。でも、私はアイリスさんのために危険を承知でやっているのよ」
「奥様を心配して下さるのは、執事としてお礼を申し上げますが、旦那様は浮気などしていません。執務室に入って行った女性は商業ギルドマスターのカリーナさんです」
「えっ!でも、ただならぬ関係に見えましたわ。あの、ヘンドラーさんが鼻の下を伸ばしてデレデレしてましたわ」
「確かにそのような態度はとるでしょう。カリーナさんは旦那様の歳の離れた妹さんですから、目に針を入れても痛くないくらいに可愛がっています」
「そうだったんですかぁ~」
私は思わず執務室の前で大声で叫んでしまった。
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』
夢窓(ゆめまど)
ファンタジー
「聖女の定年は25歳です」
――え、定年!? まだ働けるのに!?
神殿を離れた聖女ジェシカが出会ったのは、
落ちこぼれ魔術師、ならず者の戦士、訳あり美少年、気難しい錬金術師。
クセ者ぞろいの仲間と共に送る第二の人生は、冒険・事件・ドタバタの連続で!?
「定年だからって、まだまだ頑張れます!」
笑って泣けてちょっぴり恋もある、
元聖女の“家族”と“冒険”の物語。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる