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デスカーニバル

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 大きな穴の崖を器用にピョンピョンと跳ねながらショコラとバルザックが簡単に大きな穴から脱出した。


 「オークキングの牙ゲットよん!」


 ショコラは両手にオークの牙を持ち高らかに突き上げた。しかし、嬉しそうにはしゃぐショコラを3人はスルーする。


 「バルザック、下には何があったのだ」

 「オークキングの牙が落ちていた」

 「そうか、この穴はオークキングを倒すために放たれた魔法と考えて良さそうだな」

 「そうだ。そして、デスカーニバルが起こってオーク達は殲滅されたということだろう」

 「オーク2000体に英雄ランクのオークキングを倒せる魔獣となると・・・」

 「3体の火炎竜王かヴォルフロードね」

 「そうだなシェーネ。森が焼け野原になっていないと言うことはヴォルフロードやったということだろう」

 「俺もそう思う。しかし、俺たちの代わりにオークキングを倒してくれたことには感謝しないとな」

 「何を言ってるのよ。私たちだけでオーク2000体とオークキングを倒すのは不可能よ。今回はあくまで他の冒険者達の安全を確保するための先行視察だったのよ」

 「シェーネ、やはりお前でもオークキングは倒すことは不可能なのか?」

 「『青天の霹靂』全員とオークキングなら対処できると思うわ。しかし、オークキングの他に2000体ものオークがいるのよ。絶対に不可能よ!」

 「それをやってのけたヴォルフロードは強すぎるな」

 「そうね。黒の厄災の王に勝てる人間などいないわ。たとえ10万の軍隊を用意しても無駄ね。それがわかっているから『黒の厄災』と言われているのだから。『黒の厄災』に『赤の厄災』この国はこの二つの厄災と対峙して成り立っているわ。聖霊樹様の存在がこの二つの厄災を抑えているから私たちは生活をすることができるのね」

 「しかし、今回はその『黒の厄災』に助けられてたっていうことになるのか」

 「そうなるわね。デスカーニバルは魔獣同士の権力闘争、オークキングの誕生に危機を感じたのは、人間だけでなく魔獣も同じだったってことね。新勢力を排除したヴォルフロード、オークキングの侵略を免れた私たちお互いの利害が一致したってことね」

 「難しい話はわからないよん。そんなことよりもこのオークキングの牙を売って、パーティーでもするよん」

 「ショコラ!俺たちは国王様からイーグルネイルの排除を依頼されている。極悪非道な奴隷売買を主とする『真紅の爪』、魔石、素材を強奪する『紅緋の爪』まずはこの二つの爪を削ぐのが俺たちのメインの依頼だ。情報が確かなら、王都にいるあの冒険者が『紅緋の爪』と関わりがあるはずだ。今からアイツらの動向を徹底的に調べるぞ」

 「えぇ~スイーツパーティーをするよん」

 「だめだ!それにオークキングの牙は英雄ランクの素材だ。英雄ランクの素材は国王様に献上する必要があるのを忘れたのか?」

「黙っていればわからないよん」

 「バカかお前は!英雄ランクの素材を冒険者ギルド、商業ギルドに持って行って換金すれば、すぐに国王様に連絡がいくのだぞ」

 「よよよぉ~ん」

 「ショコラ、報酬は自分たちの腕で勝ち取ってこそ意味があるのよ。イーグルネイル達を捕まえて報酬をもらったらみんなでパーティーをしましょ」

 「そうよん。イーグルネイルをぶっ潰すよん」


 『青天の霹靂』はオークキング、オーク2000体がヴォルフロードによって殲滅されと報告するために急いで王都に戻るのであった。



 次の日、私はみんなで朝食を食べているときに、とんでもない情報を手に入れた。


 「あなた、お客様から聞いたのですが、先日新しく冒険者になりたいという女の子がいたそうよ。ちょうどハツキさんくらいの年齢の女の子が」

 「そうなのか?それがどうしたのだ」

 「若くて冒険者証が欲しくて冒険者試験を受けることは珍しくないわ。でも、その女の子・・・・」

 「どうしたのだアイリス」

 「ちょっと・・・」


 アイリスがかなり思い詰めて表情で、今にも涙がこぼれ落ちそうである。


 「実は・・・その女の子・・・魔力量が・・・・ゼロだったのよ」

 「そ・・・そんなことがあるのか?何かの間違いではないのか?」

 「私も初めは疑ったわ。でも、本当らしいのよ。魔力量がゼロだなんてそんなひどい仕打ちがあるの!神様はなんでそんなひどいことをしたの!」


 アイリスさんは瞳から涙を流しながら怒っている。


 「俺たちに何かできることはないのか?」

 「魔力量がゼロということは魔法、魔道具を使用することができないわ。この歳までどれほど大変な生活を送ってきたのか想像もできないわ。私たちができることは・・・そうだわ。この屋敷で雇ってあげればいいのよ。魔力を必要としない簡単な仕事を用意して、その子に仕事を与えてあげるのはどうかしら?」

 「それは名案だ!早速手配させよう」

 「あの~」


 私はか細い声で2人の話を止めに入る。


 「そうだ!ハツキさんの世話が係にするのはどうだろう。ハツキさんほどの魔法の使い手ならば、何かその女の子の力になってくれるかもしれない」

 「それがいいわ。ハツキさんのそばに居れば、魔力が溢れ出てくれるかもしれないわ」

 「無理です!!」

 「ハツキさん、申し訳ありません。勝手に私たちで話を進ませてしまって・・・ハツキさんのご迷惑とあれば別の方法を考えます」

 「いえ・・・実はその・・・女の子・・・私なんです」

 「えぇ~~~」


 ヘンドラーとアイリスの悲鳴にた驚きの声が食卓に響き渡る。

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