異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin

文字の大きさ
71 / 116

町の改革

しおりを挟む
 シックザナール伯爵、クロイツ子爵、冒険者ギルマスのアーベンの逮捕により、カノープスの町はしばらくは混乱したが、王都からきた新しい領主ジャスティス・ゲレヒティカイト伯爵による町の再建計画の発表により、町民たちは安堵の笑みを浮かべた。

 今までマーチャント商会が支払っていた多額の税金は、ヘンドラー男爵が減額するのでなく、有効に使用して欲しいと願い出てたので、ジャスティス伯爵は町の魔法学院の学費を無償化して、誰でも魔法を学べる環境を作り、また、今まで低賃金で働いていた町の役人の給料を底上げし、役人のやる気を向上させた。そして、シックナザールの恩恵を受けていた貴族たちは階級を下げられ、セリンセ誘拐に加担した貴族の子息たちは、町の奉仕活動をすることによって罪を許された。これもヘンドラー男爵が領主には逆らうことができない貴族たちへ配慮をしてほしいと述べたことで、未来ある若者の罪を問わない処置になったのであった。

 ジャスティス伯爵の新たな町の法律によって町民は豊かとは言えないが、以前のような貧しい生活から抜け出すことができたのである。


 「暇だなぁ~」


 セリンセの安全も確保されたので、私の護衛は必要性がなくなり、私はしばらくはマーチャント商会で必要な素材を集めに、こっそり町を抜け出して、魔獣の退治をして自由気ままにのんびりと過ごしていた。


 「ハツキお姉ちゃん、また僕の修行をしてよ。この辺の魔獣は弱すぎて修行にならないよ」

 「そうね。久しぶりに遊びに行こうかしら」


 私はプリンツをペットとして認識しているので、プリンツを連れてどこかに遊びに行くことにした。


 「ハツキちゃん、メルクーア大公からお茶会の招待状が届いているわよ」

 「えっ!メルクーア大公って誰?」

 「知らないのハツキちゃん?メルクーア大公は陛下の弟でこの国の宰相でもあるのよ。そして、最近になって明らかになったのだけど、メルクーア大公には一人娘がいたのよ。メルクーア大公は婚約者が死別したあと、たくさんあった縁談を全て断って、今でも無くなった婚約者を愛し続けていると聞いているわ。メルクーア大公が結婚をしなかったのは、今まで秘密にしていた娘の存在が原因だったのかもしれないわね」

 「メルクーア大公って素晴らしい方なのね」


 私の父は私の治療費が支払うのが嫌になって母を捨てた後、すぐに別の女性と結婚したらしい。私は意地悪かもしれないが、父とメルクーア大公を比べてしまった。


 「そうなのよ。イケメンで死別した婚約者のことをずっと思い続けるなんてとても素敵だわ」


 アイリスは頬を赤らめながら言う。


 「でも、なんで私なんかに手紙を差し出したのかしら」

 「私にもわからないわ。でも、手紙を読めばすぐにわかるはずよ」

 「そうだよね」


 私はアイリスから手紙を受け取り内容を確認した。手紙にはこのように書いてあった。

 0の少女ハツキさん。娘のブランシュが、どうしてもあなたに会いたいと言っています。私の娘は最近まで白の厄災の女王の呪いにかかっていましたが、ある冒険者によって、呪いを解除できる素材を提供してもらい、呪いが解けて普段の生活ができるまで元気に回復しました。しかし、まだ、あなたに会いにカノープスの町に行かせるわけにはいかないのです。なので、もしよろしければ、ハツキさんが王都までブランシュに会いに来てくださると助かります。もちろん、交通費・宿賃・おやつ代などこちらが全て用意させていただきます。


 「ブランシュちゃんが私に会いたいみたいね」

 「ハツキちゃん。ブランシュ王女殿下とお知り合いだったの?」

 「前に王都に行った時に、私のファンだったみたいだったので、一度だけ会ったことがあるのよ」

 「ハツキちゃんのファンなんだ。王都では、ハツキちゃんは強さを隠さずに暴れているのね」

 「違いますよ!」


 私はアイリスに事情を説明した。


 「0の少女・・・王都ではハツキちゃんはそんなふうに呼ばれているのね」

 「そうなんですよ。困ってます」


 私はみんなに同情されるような生活を送っているわけではないので困惑している。


 「やっぱり本当の力をみんなに教えてあげた方が良いのでは?」

 「だめです。私は普通の女の子でいたいの」

 「普通の女の子は、オークを2000体退治したり、盗賊団を全滅させたりしないわよ」


 私は町の近くの森で、総勢300名の『真紅の爪』を退治したことはマーチャント家には報告していた。


 「偶然襲われたから退治したのです。それに、そんなに強くなかったのよ」

 「・・・」


 アイリスは呆れて何も言い返さない。


 「退屈していたから、ブランシュちゃんに会いに行ってくるわ」

 「そうね。ブランシュ王女殿下のお誘いを断るわけにはいかないわね。ハツキちゃん、馬車は私が用意してあげるわ」

 「いらないですよ。走って行ってきます」


 私はプリンツと王都までお散歩しようと考えていた。


 「ハツキちゃん、この前王都に行ったと思うけど、この町からだとかなり遠いわよ」

 「問題ないですよ。本気で走れば3時間もかからないわ」

 「・・・」


 アイリスは、もう私のことで何も驚かないと心に決めたのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)
ファンタジー
「聖女の定年は25歳です」 ――え、定年!? まだ働けるのに!? 神殿を離れた聖女ジェシカが出会ったのは、 落ちこぼれ魔術師、ならず者の戦士、訳あり美少年、気難しい錬金術師。 クセ者ぞろいの仲間と共に送る第二の人生は、冒険・事件・ドタバタの連続で!? 「定年だからって、まだまだ頑張れます!」 笑って泣けてちょっぴり恋もある、 元聖女の“家族”と“冒険”の物語。

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

処理中です...