異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

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モォーモォー山を制覇する

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 モォーモォー山はA・Bランクの魔獣が闊歩する危険な山である。牛牛王を頂点として、モォーモォー山No.2のホワイトスネークキング、No.3のビックタイガーライオン、No.4のマンモスグマのAランク魔獣、ウッドツリー、怪物フラワー、キラームーンクマなど多数のBランク魔獣が生息する。

 しかし、たった今ほとんどのモォーモォー山に生息する魔獣たちが大きな音により鼓膜が破裂し脳が破壊された。そして、音と同時に発生した振動波によって全身の骨が砕かれて多数の魔獣が死亡した。

 その音の正体は私が発した『ヤッホー』という叫び声であった。私の常識では計りしきれない音声は、大音響とともに振動波を発生させ1000m付近にいたほとんどの魔獣は死んでしまったのである。その時の魔獣の断末魔のような叫び声が、頂上にいる私の元に届いたのであった。


 「私の声はもっと可愛くて透き通るような甘い声なはずよ。もう一回だけ試してみるわよ」

 「それ以上はやめてください!なんでも言うことを聞きますので」


 私の前に大きな耳から多量の血を流し、全身の皮が鋭いナイフによって切り刻まれたような無数の傷を負った5mほどの象と熊が合体したような姿の魔獣が私の前に姿を見せた。


 「象さん?それとも熊さんなのかな?すごい怪我をしているみたいだけどどうしたのかしら?」

 「これ以上大声を出さないでください。あなたの声でモォーモォー山の魔獣は絶滅寸前です。あなたの目的はモォーモォー山に眠る秘宝『万能鉱物』を採取しにきたのですよね。『万能鉱物』は差し上げますので、このまま静かにこの山から立ち去ってください」


 マンモスグマは知能が高いので人間の言葉を話すことができる。


 「なんの話をしているのかしら?私は王都へ向かう途中に山を見つけたので、ハイキングをしにきたのよ」

 「『万能鉱物』を差し上げますので、お願いですから、大声は出さないでください」


 大きな巨漢をブルブルと震わせている姿を見た私は、魔獣の必死さを感じ取り、これ以上山彦体験をするのはやめることにした。


 「なんかよくわからないけど、もう大声は出さないわ」

 「本当にありがとうございます。『万能鉱物』は東の方角にある洞穴にたくさんありますのでご自由にお取りください」

 「ただでもらえるのならもらっておくわ。でも、プリンツちゃんが来るまでここで休憩をしてもよろしいかしら?」

 「大声を出さないのであれば自由にしてください。私たちはあなたに全面降伏を宣言しますので、これ以上私たちを殺さないでください」

 「???言っている意味がよくわからないけど、私は何もしないわよ」

 「ありがとうございます」


 お礼を言うとその魔獣は森の中へ消えて行った。


 「万能鉱物ってなんのことだろう?後でプリンツちゃんに聞いてみよ」


 私はプリンツが山の頂上に戻ってくるまでお昼寝をするのであった。

 一方山の麓で戦っていたプリンツと牛牛王であったが、意外な形で決着がついていた。牛牛王は耳から血を流して乳液の泉に沈んでいた。牛牛王は山頂からでもホルスタインの悲鳴が聞こえるほどの聴力の持ち主である。私の大声によって1500m離れている場所であったが、鼓膜が破裂して脳に損傷を負って死んでしまったのである。


 「結局、ハツキお姉ちゃんの力を借りて僕は勝ってしまったんだね」


 私の声はプリンツの耳にも届いていた。なかなか決着がつかない2人の戦いに、時間オーバーだと判断した私が、決着に終止符を打ったとプリンツは判断したのである。


 「僕はもっともっと強くならないとダメだ。いくらスタミナ切れで足場の悪い環境でもAランクの魔獣に勝てないようでは、黒の厄災の王になんてなれるわけがない」


 プリンツは力尽きて倒れ込み・・・そうになる。


 「ダメだ。自分の足でしっかりと山頂を目指さないと。ハツキお姉ちゃんは今のこの状況下で山に登って来いと言っている。ここで倒れたら僕はハツキお姉ちゃんに捨てられる」


 プリンツは意識が朦朧とする中、一歩一歩踏み出してモォーモォー山の山頂を目指した。


 「やっとハツキお姉ちゃんの元にたどり着いたよ」


 プリンツは、憔悴しきった体に鞭を打ち、やっと山頂まで辿り着き、私の姿を見て安心したのかその場で倒れ込んで眠りに付いた。

 今回は自分より格下の魔獣との戦闘だったが、体力が消耗しきった状況下での魔牛の群れとの戦闘、さらに悪条件での牛牛王との戦闘により、プリンツのレベルは上がった。以前も紹介したがプリンツたちヴォルフ族は、死の危機が迫る戦闘によってレベルが向上する。今回も死を覚悟しての戦闘だったので、プリンツのレベルは上がったのである。

 プリンツはヴォルフ族の中でも臆病な性格なために、ヴォルフ族の中では最弱でありレベル1であった。優秀な兄であるアンファンとヴァンビーノはレベル4であり、ヴォルフロードはレベル8である。ヴォルフ族はレベル10まで成長をするので、ヴォルフロードですら最高レベルに到達はしていない。

 プリンツは強くなるために私の弟子入り【私にとっては可愛いペット】して、火炎竜王との戦いでレベルが2になり『畏怖のオーラ』のスキルを身につけた。そして、今回の戦闘によりレベルが3になり『癒しのオーラ』のスキルを身につけた。

 プリンツは、白のオーラを発して消耗しきった体力を『癒しのオーラ』で回復したのであった。
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