7 / 18
覗
しおりを挟む
「アルバトロス、お前はどちらの果実が好きなんだ?」
「え!どういうことだ」
「とぼけるなよ。お前が見たいと言ったんだろ?」
「ミーラン、何が言いたいのだ」
俺はいきなりミーランが果実の話しをしてきて意味が理解できない。魔界にも人間界のように果実は存在する。どのような果実が好きか聞かれたら答えることもできるが、どちらの果実が好きか聞かれても、比べる対象がわからないと返答しようもない。
「俺は大きく実った弾力のある果実も良いと思うが、小ぶりだが凛とした佇まいの小粒な果実も悪くないと思っている。あのマシュマロのように白くフワフワの大きな果実に顔をうずめて至福の時を過ごすのも良いが、小さくても暖かみのある果実にほおずりするのも悪くない」
なにやらミーランがおかしなことを言いだした。
「中身の問題だろ」
俺はミーランが何を言いたいのかよくわからないが、大きい果実か小さい果実のどちらが好きか聞いているのだと判断した。俺たち魔族は効率的な生き物である。果実を摂取するときに大事なことは、どれくらいの栄養素が入っているかが重要である。いくら大きな果実でも栄養素がすくなければ意味はなく、小さくても栄養素がたくさん入っていれば問題はない。ようは大小は関係はなく果実を形成している栄養素の量が大事だと俺は伝えた。
「正解だ!俺もそう思うぜ。あのいまにも服を破ってしまう破壊的な大きな果実はとても魅力的だが、それをさらに魅力的にさせるのは、元気はつらつで俺たちを鼓舞してくれる明るい笑顔と仲間思いの優しさだ。それが相まってあいつのたわわをより魅惑的に感じさせるのだろう。一方、質素で控えめだが落ち着いた佇まいの小さな果実も魅力的だ。いついかなる時も冷静で強弱の無い声のように凹凸は少ないが、俺たちの心に平穏と安心感と冷静な判断を与えてくれる。物事を大小で選ぶなど無意味で浅はかだと考えさせられるだろう。しかし、時には重大な選択を迫られる時がある。これは究極の選択だ。どちらかをえらばなければいけない時もくるはずだ。俺はその時は小さい果実を選ぶだろう」
ミーランの頬が少し赤く染まっていた。俺にはその理由は今は理解できなかった。
「何を言っているのか理解はできないが、どちらかを選べと言われたら俺は大きい果実を選ぶだろう」
大は小を兼ねるという言葉があるように、大きい果実か小さい果実どちらかを選べと言われたら、大きい方を選ぶのが王道だ。
「そうか!そうか!それは良かった」
ミーランは嬉しそうに微笑んでいた。なぜ、俺の答えを聞いてミーランが喜ぶのか俺には理解できなかった。
「アルバトロス、だいぶ川に近づいてきたぞ。ここからは一瞬の油断も命取りになるから気を付けろよ」
「わかった」
これより先はかなり危険な場所になるのだろう。しかし、そんな危険な場所にメーヴェたちを行かせたミーランは、仲間への配慮が欠けていると俺は感じた。
「バレたか!」
ミーランが小声で叫ぶと同時に小さな氷の塊がミーランを襲う。氷の塊はミーランの足元に直撃して足を凍らせてしまった。
「アルバトロス、俺に構わずに先に進め。そこにお前が求めていた桃源郷があるはずだ」
アルバトロスは足が凍り付いたので動くことができなくなった。
「どうしてだ。なぜ、お前に攻撃をしてきたのだ」
ミーランを襲ったのは魔獣でも魔族でもない。
「焦るな、アルバトロス。お前はまだ気づかれていない。さっさと行け」
ミーランの力強い眼光に俺はなにか熱い思いを感じ取ることができた。
「わかった」
なぜ、視界の悪い森の奥で水浴びをしているのかを突き止めるために、これほどの熱い思いを感じるのか理解できないが、その真相を知った時、俺はミーランの気持ちを理解することになるだろう・・・たぶん。
俺はミーランのアドバイス通りに完全に魔力と気配を消しながら森の中を突き進んでいく。魔獣の気配は全く感じないし怪しい人物もいない至って平穏な森だ。しかし、この奥に何か重大な秘密が隠されていることは間違いないはずだ。俺は最大限の厳戒態勢をとりつつ先に進む。
「クレーエ、ミーランにお仕置きをしておいたわ」
「ありがとうございます。ミーランは正統勇者一行としての義務から解放されて堕落してしまいました。アルのように正統勇者としての資格を失っても誠実な心を持ち続けて欲しいです」
「そうね。でも私はアルになら覗かれてもいいかも」
メーヴェは頬をピンク色に染めて恥ずかしそうに答える。
「何を不謹慎なことを言っているのですか」
クレーエの強弱のない口調に少し乱れを感じる。
「もう、私たちを束縛する足かせは取れたのよ。少しはクレーエも素直になっても良いと思うの」
正統勇者一行、それは人間界を魔王から守る正義のヒーローである。その使命は重大であり、無駄なことに現を抜かしている余裕はない。常に高みを目指して研鑽し、その高めた力で多くの人間を救うことを義務付けられている。しかし、正統勇者一行は魔王に敗れたことによりその義務から解放された。
「私たちは魔王に負けました。天地がひっくり返っても勝つことができない大きな実力差を知りました。しかし、私たちの正統勇者一行の旅は、まだ終わってはいません。私たちの旅の始まりの地であるビアラークテア王国に戻りプラネート国王陛下に敗戦の報告をするまでが正統勇者一行としての最後の役割です。それまでは気を抜くわけにはいかないのです」
「相変わらず堅いわね。もう、聖女としての役割も脱ぎ捨てたらいいのよ。いつまでも神の束縛に振り回される人生は終わりにしましょ」
僧侶クレーエは神の信託を賜ったミルキーウェイ神国のゾンネ神王より聖女と任命されていた。
「え!どういうことだ」
「とぼけるなよ。お前が見たいと言ったんだろ?」
「ミーラン、何が言いたいのだ」
俺はいきなりミーランが果実の話しをしてきて意味が理解できない。魔界にも人間界のように果実は存在する。どのような果実が好きか聞かれたら答えることもできるが、どちらの果実が好きか聞かれても、比べる対象がわからないと返答しようもない。
「俺は大きく実った弾力のある果実も良いと思うが、小ぶりだが凛とした佇まいの小粒な果実も悪くないと思っている。あのマシュマロのように白くフワフワの大きな果実に顔をうずめて至福の時を過ごすのも良いが、小さくても暖かみのある果実にほおずりするのも悪くない」
なにやらミーランがおかしなことを言いだした。
「中身の問題だろ」
俺はミーランが何を言いたいのかよくわからないが、大きい果実か小さい果実のどちらが好きか聞いているのだと判断した。俺たち魔族は効率的な生き物である。果実を摂取するときに大事なことは、どれくらいの栄養素が入っているかが重要である。いくら大きな果実でも栄養素がすくなければ意味はなく、小さくても栄養素がたくさん入っていれば問題はない。ようは大小は関係はなく果実を形成している栄養素の量が大事だと俺は伝えた。
「正解だ!俺もそう思うぜ。あのいまにも服を破ってしまう破壊的な大きな果実はとても魅力的だが、それをさらに魅力的にさせるのは、元気はつらつで俺たちを鼓舞してくれる明るい笑顔と仲間思いの優しさだ。それが相まってあいつのたわわをより魅惑的に感じさせるのだろう。一方、質素で控えめだが落ち着いた佇まいの小さな果実も魅力的だ。いついかなる時も冷静で強弱の無い声のように凹凸は少ないが、俺たちの心に平穏と安心感と冷静な判断を与えてくれる。物事を大小で選ぶなど無意味で浅はかだと考えさせられるだろう。しかし、時には重大な選択を迫られる時がある。これは究極の選択だ。どちらかをえらばなければいけない時もくるはずだ。俺はその時は小さい果実を選ぶだろう」
ミーランの頬が少し赤く染まっていた。俺にはその理由は今は理解できなかった。
「何を言っているのか理解はできないが、どちらかを選べと言われたら俺は大きい果実を選ぶだろう」
大は小を兼ねるという言葉があるように、大きい果実か小さい果実どちらかを選べと言われたら、大きい方を選ぶのが王道だ。
「そうか!そうか!それは良かった」
ミーランは嬉しそうに微笑んでいた。なぜ、俺の答えを聞いてミーランが喜ぶのか俺には理解できなかった。
「アルバトロス、だいぶ川に近づいてきたぞ。ここからは一瞬の油断も命取りになるから気を付けろよ」
「わかった」
これより先はかなり危険な場所になるのだろう。しかし、そんな危険な場所にメーヴェたちを行かせたミーランは、仲間への配慮が欠けていると俺は感じた。
「バレたか!」
ミーランが小声で叫ぶと同時に小さな氷の塊がミーランを襲う。氷の塊はミーランの足元に直撃して足を凍らせてしまった。
「アルバトロス、俺に構わずに先に進め。そこにお前が求めていた桃源郷があるはずだ」
アルバトロスは足が凍り付いたので動くことができなくなった。
「どうしてだ。なぜ、お前に攻撃をしてきたのだ」
ミーランを襲ったのは魔獣でも魔族でもない。
「焦るな、アルバトロス。お前はまだ気づかれていない。さっさと行け」
ミーランの力強い眼光に俺はなにか熱い思いを感じ取ることができた。
「わかった」
なぜ、視界の悪い森の奥で水浴びをしているのかを突き止めるために、これほどの熱い思いを感じるのか理解できないが、その真相を知った時、俺はミーランの気持ちを理解することになるだろう・・・たぶん。
俺はミーランのアドバイス通りに完全に魔力と気配を消しながら森の中を突き進んでいく。魔獣の気配は全く感じないし怪しい人物もいない至って平穏な森だ。しかし、この奥に何か重大な秘密が隠されていることは間違いないはずだ。俺は最大限の厳戒態勢をとりつつ先に進む。
「クレーエ、ミーランにお仕置きをしておいたわ」
「ありがとうございます。ミーランは正統勇者一行としての義務から解放されて堕落してしまいました。アルのように正統勇者としての資格を失っても誠実な心を持ち続けて欲しいです」
「そうね。でも私はアルになら覗かれてもいいかも」
メーヴェは頬をピンク色に染めて恥ずかしそうに答える。
「何を不謹慎なことを言っているのですか」
クレーエの強弱のない口調に少し乱れを感じる。
「もう、私たちを束縛する足かせは取れたのよ。少しはクレーエも素直になっても良いと思うの」
正統勇者一行、それは人間界を魔王から守る正義のヒーローである。その使命は重大であり、無駄なことに現を抜かしている余裕はない。常に高みを目指して研鑽し、その高めた力で多くの人間を救うことを義務付けられている。しかし、正統勇者一行は魔王に敗れたことによりその義務から解放された。
「私たちは魔王に負けました。天地がひっくり返っても勝つことができない大きな実力差を知りました。しかし、私たちの正統勇者一行の旅は、まだ終わってはいません。私たちの旅の始まりの地であるビアラークテア王国に戻りプラネート国王陛下に敗戦の報告をするまでが正統勇者一行としての最後の役割です。それまでは気を抜くわけにはいかないのです」
「相変わらず堅いわね。もう、聖女としての役割も脱ぎ捨てたらいいのよ。いつまでも神の束縛に振り回される人生は終わりにしましょ」
僧侶クレーエは神の信託を賜ったミルキーウェイ神国のゾンネ神王より聖女と任命されていた。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる